新城市のメガソーラー問題:人と動物の健康被害

前記事の続き。

 新城市の横川地区に約1700枚のメガソーラが突然出現して以来、山本にコンタクトしてきた女性の家では、ペットを含む家族全員に異変が起きました。アトピーやアレルギー、イライラ感、食欲不振、それによる体重減少など、それまで経験したことのない症状ばかりというので、興味がわきました。

 山本が把握していたソーラーに関する健康被害は、パネル材料として使われているシリコンや有害重金属の、採取・加工・施工にたずさわる作業者の被害、そして稼動後の火災や廃棄物になった時の処理に関するものが主でした。なので、普通に稼動中のソーラーの何が健康被害をおこしたのだろうと考えたのです。

 そこで2017年9月、現地に出かけました。新城市は愛知県の東の端、現地は山に囲まれた美しい山里で、その一角を占領しているパネルと電気器具の列はいかにも不自然でした。すぐ気づいたのは、パネルの下に敷かれた防草シートがかなり劣化していたこと。ソーラーパネルは架台の上に置かれますが、その下の地面がむき出しのままだと草がどんどん伸び、つるなどがパネルにからまって発電効率がぐんと落ちます。そこで草の発生を抑えるため、裸地に除草剤を散布し、その上に防草シートを敷くことが多いのです。

 なお、行政は、どんな農薬をどれだけ撒いたか、土壌汚染や地下水汚染の可能性はないのかについて何ひとつ把握しておらず、業者は聞いても決して答えません。なぜなら、そこには何の規制もないからです。ちなみに、除草剤で最もよく使われているのはモンサントのラウンドアップですが、その農薬成分のグリフォサートが発がん物質に指定されていることも、行政はつかんでいないでしょう。、

 防草シートについても規制はありませんが、現地に敷かれたのはD社のポリプロピレン製品で安全、耐久性も高いとのことです。でも実際は、一年にもたっていないのにシート表面が毛羽たち、細い繊維が当たりに散らばっています。その一部をピンセットと綿棒で採取しましたが、この細かい埃そのもの、あるいはそれに付着した物質が、健康被害を起こしているのかもしれません。

 …それからずいぶん後になって、シート同士を張り合わせている接着剤に「イソシアネート」という有害物質が使われているかもしれないことに気づきました(イソシアネートについては、ここ→イソシアネートがヒトに及ぼす影響 – NPO・VOC研究会を参考のこと。ちなみに柔軟剤など、「香り製品」にも使われていることがあるので、香りつき製品は避けた方がいいでしょう)。

 イソシアネートはアレルギー感作性があること、喘息、肺栓塞症、過敏性肺炎などを発症することが認められています。暴露すると体のすみずみに広がり、調べたすべての器官に存在していたそう。特に多く蓄積していたのが気管で、後は、食道、消化管、肺、筋肉、腎臓、心臓、血液、肝臓、脾臓の順だったそうです。被害者宅の症状とほぼぴったり。

 

 そこで、周辺住民の健康について聞き取り調査をしてもらったところ、ほとんどの家で何らかの健康被害が出ていました。何よりひどい被害を受けていたのはペットたち。人間と違って一日中、汚染大気に満ちた家の中にいるせいでしょう。治らない皮膚炎や、食欲をなくしてしまうなどの症例、死亡した事例もあったようです。人間にも体調不良とか、病院に緊急搬送されるなどの病気が増えているとのことですが、問題は、誰も自分の病気をメガソーラと結びつけて考えていないこと。

 メガソーラを迎えた地域では、こうして病人があいつぎ、人が死に絶え、村は滅亡してしまうかも・・・悲しいけど、これが「自然に優しい」「クリーンエネルギー」のウソに狂わされた人々の末路です。2018.4.10

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/