危機後の大量放出で汚染深刻化ー疑問

 NHKの記事が話題になっているようです。・・・ちょっと違和感があるニュースです。強調山本。

危機後の大量放出で汚染深刻化
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1836 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141221/k10014165631000.html

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質は、核燃料のメルトダウンや水素爆発が相次いだ事故発生当初の4日間ではなく、その後に全体の75が放出され汚染を深刻化させていたことが、日本原子力研究開発機構の分析で分かりました。政府などの事故調査はこの時期に何が起きていたかを解明しておらず、専門家は「放射性物質の大量放出がなぜ長期化したのか、原因の解明が求められる」と話しています。


 福島第一原発事故の規模は、放射性物質の放出量からチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」とされていますが、放出の詳しい全体像は明らかになっていません。日本原子力研究開発機構の茅野政道所長代理らの研究グループは、原発周辺などで観測された放射線量の新たなデータを集め、大気中への放出状況を詳しく分析しました。その結果、事故が起きてから放出がおおむね収まった3月末までに放出された放射性物質の量は47万テラベクレルと推定され、このうち、核燃料のメルトダウンや水素爆発が相次いだ315日の午前中までの4日間の放出量は全体の25%で、むしろ、その後の2週間余りで全体の75%を占める大量の放出が続いていたことが分かりました。さらに、当時の気象条件を基に拡散状況を解析したところ、15日夕方から深夜にかけて起きた大量放出で、今も帰還困難
区域となっている原発周辺の汚染が深刻化していたほか、20日の夜から翌日にかけての放出が関東地方など広範囲に広がり、一部の水道水の汚染などにつながったとみられることが分かりました。今回の分析結果は、事故の進展を食い止められず危機的状態とされた当初の4日間のあとも放射性物質の大量放出を抑え込めていなかったことを示していますが、政府などによる事故調査は当初の4日間に重点が置かれ、
その後の放出の原因については解明されていません。茅野所長代理は、「今後の原発事故の防止や事故の早期の収束のためにも、なぜこのような放射性物質の大量放出が長く続いたのかを解明していかなければならない」と話しています。(以下略)

 ネットでは「これまで隠していた」「放出はもっと多かったのか」などの意見が多いようですが、私の疑問はもっと素朴。第一、排出は3月末で収まったかのような書き方…んなはずないでしょ!それに併せて、第二、すでに「過去」のこととしていること。「その後の2週間…大量の放出が続いていた」「なぜこのような大量放出が長く続いたのか」なんて。3月末以降はゼロに近いようなグラフを出していますが、放出は2014年12月現在まだ続いており、収束の兆しさえないはず。第三、「原因不明」としていること。上の二つの疑問を合わせれば、関係者は「原因はわかっちゃいるけど、言えない」ってことがわかるんですけどね… 私の直感は、この記事は4号機の核燃料取り出し完了のニュースと関係がある、ということです。

<福島第1原発>4号機の燃料取り出し完了 2014年12月20日(土) 15時50分掲載 東京電力は20日、福島第1原発4号機の使用済み燃料プールから最後に残った燃料4体を取り出した。4号機は事故時の水素爆発の影響で耐震性に対する不安が地元などから指摘されたため、最初の工程表から1年前倒ししてプールの燃料取り出しを完了させた。(毎日新聞

 今は「4号炉問題」に触れませんが、大規模な原発事故が起きれば、政府も関係者もとことんウソを突き通します。一つのうそが次のウソを呼び、最後は何が何だかわからないような状況になって、国民全体が深い泥沼に沈みこんでしまうでしょう。私たちに残されているのは「選挙」だけだとしたら、次の選挙を少しまじめに考えねば。2014.12.24

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/