北茨城市の甲状腺がん、廃棄物焼却炉との関係

 茨城県の最北部の町の子どもたちの間で、非常に珍しい「甲状腺がん」が広がっています。その数は、福島県より多い1200人に一人!

茨城)北茨城市、甲状腺がん3人 昨年度18歳以下検査
2015
826 http://apital.asahi.com/article/news/2015082600002.html
 東京電力福島第一原発事故の放射性物質による子どもへの影響を独自検査している北茨城市は
25日、2014年度に18歳以下の子どもに実施した甲状腺超音波検査の結果を発表した。3人が甲状腺がんと診断されたが、原発事故の影響は考えにくいと判断した。
 原発事故を受け、福島県では国が甲状腺検査をしたが、隣接する北茨城市では実施されなかったため、親から要望を受けた市が独自に検査。
13年度は事故当時4歳以下の1184人が受け、甲状腺がんと診断された子どもはいなかった。14年度の対象は、18歳以下の計6151人(13年度に受けなかった4歳以下を含む)。このうち希望した3593人が受けた。その結果、異常なし1746人、経過観察1773人、要精密検査72人、至急要精密検査2人だった。このうち3人について医師と専門家で構成する「甲状腺超音波検査事業検討協議会」が甲状腺がんと診断。しかし、受けたとみられる放射線量や事故後の経過年数などから福島原発事故による放射線の影響とは考えにくいと判断した。

 政府は2012年から福島の全県民を対象に「県民健康管理調査」を実施していますが、2015年5月発表の最新調査の結果では、甲状腺がんが確定した児童は100人超という異常事態が起きていることがわかりました。

甲状腺がん新たに16人 福島の子、確定は103人に:朝日新聞 …
www.asahi.com/articles/ASH5L5QCMH5LULBJ00S.html 
2015年5月19日 –
福島県
は18日、東京電力福島第一原発事故に伴う被曝の健康影響をみる甲状腺検査で、今年1月から3月末までに新たに16人が甲状腺がん確定診断されたと発表した。検査対象となる事故当時18歳以下の約38万5千人のうち甲状腺がんが確定したのは計103人。甲状腺がんは手術を受けて確定する。昨年3月末までの1巡目検査でがんの疑いがあると診断され手術を受けた12人と2巡目検査の4人ががんと確定した。がんやがんの疑いがあるとされた人は1巡目112人、2巡目15人で計127人となった。2巡目検査は来年3月まで続く。県検討委員会では、1巡目と2巡目以降の結果を比べて被曝の影響を判断するが、「現時点で事故の影響は考えにくい」とする。県によると1巡目では、原発周辺自治体と他の地域で、疑いも含めがんが見つかった人の比率に差はないという。チェルノブイリ原発事故後に甲状腺がんが多

発した、放射線の影響を受けやすい乳幼児には、がんは見つかっていない。(大岩ゆり)

 100万人に一人といわれていた子どもの甲状腺がん、これから「疑い」とされていた子どもたちの嚢胞も、時間の経過と共にがんに発展してゆくことでしょう。しかも、このような放射能障害は、福島県だけで済むはずはないことは最初からわかっていました。今年も、海外からこのような指摘↓があがっていたところです。

福島事故、隣県でも甲状腺検査を 医師団体示唆
2015/03/03 22:50
  http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015030301002455.html
【ベルリン 共同通信】東京電力福島第1原発事故から4年となるのを前に、核戦争防止国際医師会議(IPPNW、本
部・米マサチューセッツ州)が3日、ドイツの首都ベルリンで記者会見し「子どもの甲状腺検査が福島県に限定されている」と懸念を表明、事故の影響の全体像
把握には隣県での検査も必要との考えを示唆した。チェルノブイリ事故などの健康被害に詳しいアレックス・ローゼン医師は、福島県が事故後に同県内の全ての子どもを対象に実施した甲状腺検査の結果を分析。甲状腺がんと診断が確定した子どもが、これまでに87人に上るとして「予想よりも多い数に驚いている」と述べた。

 北茨城市を含む福島県南部は、線量が比較的低かったとされていますが、政府はそのような「例外」を認めたくなかったのでしょう。北茨城市に隣接する福島県鮫川村に、8000ベクレル以上の放射性廃棄物を処理する「実験焼却炉」が設置されたのは2013年夏。それが稼働後一週間後に大きな爆発音を出して爆発、大量の放射性降下物をまきちらしていますが、環境省はすぐに炉を修理し、「問題はなかった」と再稼働。・・・今年7月には実験焼却は終了したはずですが、これまでにどれほどの放射性PMが放出されたことか。

 北茨城の子どもたちのがん多発は、この実験焼却炉、そして、各地に雨後の筍のように建設された、ゴミ焼却炉、下水汚泥焼却炉の害をまともに被っているのでしょう。焼却炉から生み出される放射性PMは、バグフィルターで取ることはできないし、長期にわたって大気中を漂い、各地に汚染を広げることがわかっています。チェルノブイリでは、火災による放射能の拡散を避けるため、火災モニタリングシステムを設置し、被害を抑えたのですが、日本政府は、「焼却」によって自ら放射能を拡散している。

 それどころか、この状況において、政府は「小児のガンは過剰診断による」、「(事故は収束しているから)避難すべき理由はない」などとして、エートス作戦を強化しているんですね。犯罪集団・日本国政府をなんとかしない限り、このような福島県・茨城県の状況が、やがて関東地方、そして日本全土に広がります。2015.8.28

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/