再エネで電気料金3倍、企業も逃げ出す

FIT法廃止を決めたオンタリオ(カナダ)

 各国でエネルギー政策の見直しや再エネ政権の交代劇が続いています。カナダのオンタリオ州でも、グリーンエネルギー法を推進してきた前政権(リベラル)が破れ、エネ法廃止を約束した新政権(保守派)が誕生しました。その新政権は、今年9月20日、FIT法を廃止するというプレスリリースを発表し、世界に衝撃を与えています。山本の超訳。原文はここ↓

https://eriemedia.ca/ontario-government-introduces-legislation-to-repeal-the-green-energy-act/

 

 「エネルギー、北部開発、鉱山省」の大臣グレッグ・リックフォードと、インフラストラクチャー省のモンテ・マックノートンは今日、国民のためのオンタリオ政府は、2009年グリーンエネルギー法を廃止する約束を実行しようとしている、と発表した。

 「当初のグリーンエネルギー法の壊滅的なFIT法(feed-in-tariff program、固定価格買取制度)は、オンタリオ市民の電気料金を急上昇させ、行政から高額で不必要なエネルギー計画を止める権限を奪った。電気料金は、前政権の下で三倍になり、オンタリオの家族を苦しめ、製造業はオンタリオから逃げ出した

 「グリーンエネルギー法は、貧困層と中流層の金を富裕層に大規模に移し替えることを意味している」

 「コネのあるインサイダーらは、風車やソーラーパネルを建設し、水力の電気使用者をゆすって電気を作り、大儲けしたが、その電気はオンタリオには必要なかった。そのような(不合理な)納税者の支払いは終わった」

 このほど政府が提案した法律が通過すれば、グリーンエネルギ―法への大きな打撃となると大臣は述べた。新法には、地元自治体から、不要な風力やソーラー施設を阻止する権限をはく奪する規定を廃止することも含まれている。

 「前政権は、グリーンエネルギー法で、オンタリオ州のあらゆる農村部において、家族やビジネス、行政機関の権利を踏みにじってきた。しかし我々は、人々が自分の地域に建設されるものについて最終的な発言の権利があると信じている」

 新法では、電力の必要性が示されない計画を承認しない権限を政府に与えている。これによって、今もオンタリオ州の市民が払えないでいる高い電気料金をさらに上げる追加プロジェクトに歯止めをかけることができる。

 「新政権の最初の仕事の一つは、水力発電料金を 12%削減する計画の一部として、758件にも上る高価で無駄なエネルギー事業をキャンセルすることであり、これで7億9000万ドルが節約できた。これで、事業インサイダーに都合のいい契約と、地元自治体に不人気なプロジェクトを押し付ける日々は終わった」

  • オンタリオエネルギー委員会と独立電気システムオペレーターによれば、2017年の電気代に追加された風力とソーラー発電のコストは37億5000万ドル
  • オンタリオ州の全発電量における風力とソーラーの割合はちょうど11パーセント。しかし電気使用者が負担する全体的調整費Global Adjustment costsは30に上る。
  • 2017年には、風力とソーラー発電の26% が制限されるか、無駄となった。これはオンタリオ住民が支払ったものの、不必要だったか、使われなかった電気である。(翻訳ここまで)

 ここに書かれている通り、「再エネ」は無駄で環境を破壊し、金持ちを富ませ、貧乏人を苦しめ、企業の息の根を止める詐欺的事業です。しかし、それは同時にグローバル経済最前線の事業であり、あらゆる規制を取り払い、住民を沈黙させた上で実行されています。カナダではわざわざFIT法で行政の権限まで奪っていたのですが、日本ではそういう規定は不要。だって日本の行政機関は昔から企業寄り、そして住民無視。再エネに関しては自ら規制権限を手放すという、いわば違法行為を犯しています・・・現地に行くたびに信じられない事態を目にして唖然としますが…これが現実。

 なお、オンタリオ州は、以前から風発のすさまじさで有名な場所。下は少し前の風発地図ですが、今はさらに増えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

https://ontario-wind-resistance.org/

 日本では「憲法」は教えられていても、日々の生活や生存に直結する「権利」についてはほとんど教えられていないため、人々は何かの「公害」や「事故」に会った時、自分を守ることができないし、ましてや自分の権利を主張することもできません。「権利」の概念は、社会および社会体制と個人とのかかわりあいの中で初めて確立されますが、日本ではもともとあいまいだったところに「天皇制」なぞを持ち込んだため、さらにあいまい化してしまったんですね。こういう国では、当然ながら市民運動なぞ起きにくいのです。個人より社会が重要視されるので、波風立てる人は嫌われるからね。特に再エネ事業は、日弁連も推進派なので、被害者あるいは被害予備軍の権利を守ってくれる人はいません。自助努力で事業に立ち向かうしかないのね・・・そのためには理論武装が必要だと思います。2018.10.9 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/