中高年にも役に立たないマンモグラフィ

 マンモグラフィの「害」については何回かお伝えしてきましたが、このたび、マンモグラフィによる乳がん定期検診は、予想より乳がん死の予防に役立たないことがわかったという研究が発表され、びっくりしました。ちょっと待って、中高年女性は乳がんが発生しやすいから、検診は必須だったんじゃないの?
 この常識をひっくり返したのは、ノルウエーのオスロ大学病院のカラガー医師ら。彼らは乳がん定期検診を受けてきた50ー69歳の女性に、適切な専門的治療を行うことで、乳がん死を10パーセント減らしたそうです。ところが! 同じように専門的治療を受けながら、マンモグラフィ検査を受けてこなかった女性(70歳以上)の死亡率も8パーセント減ったそう。…つまり、乳がん検診をやってもやらなくても、たいした違いはないということがわかったのです。
 「死亡率は下がったが、期待していたほどではなかった」
 研究者は死亡率が30パーセントは下がると見ていたようです。それが、乳がん検診を受けない人との違いが2パーセントしかないということは、やっても益がないということ。
 ダートマス医科大のウェルシュ医師は、「この結果によれば、マンモグラフィ検診を受けている50歳の女性2500人のうち、乳がん死せずに済むのはたった一人で、1000人は医師から「疑いがある」と告げられ、そのうち約500人が生検を受け、5-15人の女性が不必要な治療を受けることになるだろう」と述べています。

 この研究は、ただでさえ疑問視され始めている「マンモグラフィの有効性」に、さらに疑義を投げかけたようです。アメリカだって、11月には50-74歳の女性の乳がん検診を、「毎年」から「一年おき」にすべきというガイドラインを出し(U.S. Preventive Services Task Force)、業界の強い反発を受けているとか。
 
 実は、乳がん死の低下は「検診」のおかげではなく、治療技術が上がったからのようですが、「検診推進派」は、それにまっこうから反対している模様。でも、考えて見ると、若い女性に害をもたらす乳がん検診が、中高齢の女性たちにいいってはず、ないですよね。私は、結果を聞くまでの不安な心理が、かえってストレスの元になると思っています。健康診断なんて、受けなければ何も心配することはないんだし。自分の体を信じることが一番なんじゃないかな。2010.9.30
(参考) http://www.reuters.com/article/idUSTRE68L5MN20100923?loomia_ow=t0:s0:a49:g43:r2:c0.083333:b37527018:z0

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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