モンゴルに来ています

 15日からモンゴルに来ています。砂漠の放射線環境調査と称して、「ゴビ砂漠」で有名なドルノゴビに出かけました。ウランバートルから片道約7~8時間の砂漠を、大きなタイヤのランドクルーザーで旅します。
 草原にはまだ緑はなく、ただただ広大な原野が広がるだけ。ゴビ砂漠は動物の宝庫でもありました。遠くを駆け抜ける動物の一隊は、たてがみをなびかせた野生馬の群れだったり、鹿だったり、頭が黒っぽいガゼルだったり。らくだがゆったりと車の前を横切ることもあり、別空間にいるような思いにとらわれました。

 でも、そこに住む動物たちに大きな「異変」が起きています。
 ゲルに泊まった翌日、17日、私たちはノマド(遊牧民)のおじさんの案内で、その現場をいくつか回りました。部落では、前日、お産の途中で死んでしまった馬が、産道が開いたまま横たわっていました。なんとか引っ張り出した子馬も、その途端に息絶えたそうです。
 遊牧民のゲルではもっと事態は深刻でした。まったく体毛がないまま死産した子羊や、生きているけれど蹄に奇形がある子羊を見ました(いずれ写真つきでリポートします)。

 (語ってくれたおじさんは頑丈な体でしたが、膝が痛くて病院通い。立っていることができず、座り込んで話してくれました)
ーーどのゲルでも同じような話を聞きました。ノマドは「これは、砂漠でウランを掘っているせいだ」といいます。この地域では、仏・アレバ社が過去五年、ウランを掘りまくり、その残土(スラッジ、鉱滓)を現地に積み上げたまま打ち捨てていました。そこで、わたしたちはその後、現地アレバ社前で抗議するとともに、空間線量をはかると、余裕で2.3mSv/h超えの値が続出。ぞっとしました。どこかに汚染源があるのです。
 そこで砂漠をなおも走り、ウランの鉱滓捨て場に行ってみると、とんでもなく高い線量が出ていました。全員退避レベル。

 乾燥したスラッジが風にのって各地を汚染し、水や牧草に入って動物や人の異変がおこしているとみて間違いないと思います。しかし、モンゴル人はこの数値の意味がわからない。

 実は、今回のモンゴル行きでは、ウラン採掘についてのセミナーに参加予定で、一人が原発メーカー訴訟について話す予定でしたが、主催者と話して、急遽、私も発表の時間をもらうことになりました。さらに、急遽、ウランバートルで記者会見をすることになり、私も発言することに。
 昨日お昼、記者会見場に行ってみると、50人以上のカメラマン、記者がまちかまえていてびっくり。私は、あす、福島の現状と放射能の被害について話すから、ぜひセミナーに来てほしい、と発言しましたけどね。さて、そのセミナー、あと数時間で開始です。2015.3.19

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/