5原発、廃炉へ、その処理法は? そのつけは?

  この↓ニュースが流れて、反原発の人々は大喜びのようですが、私のような廃棄物バスターズは、これからどうなるのか、と暗澹たる気持ちになります。だって、廃炉に伴って出てくる大量の廃棄物は、省益と企業利益のため、今のところ「燃やす」ことに決めているんだもの。

「老朽原発5基を廃炉へ、18日にも地元に説明」
News i – TBS

2015
年3月12日 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2442687.html 関西電力など電力会社4
社が老朽化した原発5基の廃炉を近く決定し、来週18日にも地元に説明する方針を固めました。廃炉となるのは、関西電力の美浜原発1、2号機などあわせて
5基です。政府が原発再稼働を進める上で、古い原発の廃炉を促しているほか、運転開始から40年を超える原発は、延長のための安全対策にかかる費用が巨額
になることから、各社は廃炉を決断するものです。電気事業連合会の八木会長が、詳細を20日の会見で発表するとみられます。(12日10:42)

 しかも、今回の廃炉の理由は、決して安全のためじゃない。企業会計上の「優遇」が約束されたので、飛びついただけの話。

電力4社、原発5基を廃炉へ
会計制度変更 |
日テレNEWS24


< 2015年3月13日 18:13 >
 政府は13日、電力会社が老朽化した原発の廃炉をしやすいよう会計制度の変更を行った。これを受け、電力4社は早ければ来週にも原発5基の廃炉を正式に決める見通し。これまでの制度では、原発の廃炉をする場合、電力会社は一基あたり約200億円の損失を一度に計上する必要があり、廃炉をちゅうちょする理由になると指摘
されていたが、今後は、損失を10年に分け計上することができるようになる。また、来年予定されている電力小売りの全面自由化後も、電力会社は廃炉費用を
電気料金に上乗せできる上、将来的には、全ての発電業者が使用する送配電網の使用量に廃炉費用を乗せて回収することを認めている。これを受け、関西電力や中国電力など電力4社は、運転開始から40年前後たった原発5基について、早ければ来週にも廃炉を正式決定する見通しで、地元への説明を行う方針。

 おそらく、フクイチ事故以来、「このままではまずい」と思った電力各社と政府が善後策を練っていたのでしょう。その結果、いかに企業に負担をかけず廃炉にするか ⇒ やはり国民につけを回そう、長期の損失計上ならたいして反対もされないだろう、となったのでは。これを受けて、電力がすぐ動いているから、実はどの社も「廃炉」しかないのはわかっていたのです。

原発の廃炉判断しやすく 会計の特例拡大
3月13日
16時16分 
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150313/k10010014211000.html
 

経済産業省は、電力会社が原発の廃炉を判断しやすくするため、財務上負担となる費用の一括計上について、会計上の特例措置を拡大することになり、13日付けで関係する省令を改正しました。現行の会計制度では、電力会社が廃炉を決めると、巨額の費用を一括で計上する必要があるため、厳しい経営が続く電力会社が、財務上負担になるとの理由から、廃炉の判断をためらう可能性が指摘されていました。このため経済産業省は、電力会社が原発の廃炉を判断しやすくするため、会計上の特例措置を拡大することになり、関係する省令を13日付けで改正しました。具体的には、おととしに導入した特例措置で対象となっている原子炉の格納容器などに加えて、今回の改正では、核燃料やタービン、発電機なども10年にわたって分割計上できるようになり、経営への影響を和らげることができます。
 これを受けて関西電力、九州電力、中国電力、それに日本原子力発電は、運転開始からおおむね40年たつ老朽化した原発、5基の廃炉を早ければ来週にも取締役会で決定することにしています。ただ、廃炉の表明の時期などを巡っては、早期の報告を求める経済産業省と、各電力会社や地元自治体との間で調整が続いています。これに関連して宮沢経済産業大臣は、閣議のあとの記者会見で、「この省令改正によって原発を廃炉にするのか、運転延長するのか、事業者が判断するための環境が整うことになる。これを踏まえて廃炉にするかどうか、電力会社が早期に判断することを期待している」と述べました。

 電力会計はまったく知りませんが、どうも政府が会計制度で企業をしばりつけていたようです(つまり、足抜けできにくいようなヤクザな制度を押し付けていた)。でも、毎日、海風にさらされ、高温で運転している原子炉の寿命が40年もあるとは思えません。頻繁な事故、漏洩はそのシステムの潜在的危険性を物語っています。このNHKの記事を読むと、経産省は早期の廃炉を期待しているようですが、それは、「廃炉」以後は、責任が環境省(環境破壊省)に移るかです。そのあたりの軟着陸を目指して、人々を「原発再稼働」で脅かし、次の利権=再生可能エネルギー(自然エネという誤った名前で呼ばれることが多い)=を固めているんですけどね。こういうからくりに気づかず、自然エネに夢中になっている市民団体・・・また、だまされるの?って感じ。2015.3.14

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/