メディアが好む住民運動と嫌う住民運動

   今日にも開始予定の富山市のがれき焼却。その焼却灰を埋め立てる池多地区住民を中心に、19日デモが行われる、と連絡がありました。

6/19 集会&デモ行進「焼却灰搬入を止めるまで長期闘争を宣言する」
 富山地区広域圏事務組合は、6月18日に汚染ガレキを焼却し、翌19日に富山市の山本最終処分場へ埋め立てる計画です。岩手県自身が広域処理に回すガレキはないことを認めているにも関わらず、富山県と富山地区広域圏事務組合はガレキ焼却・埋め立てを行う構えです。 私達は絶対反対です。下記の通り、行政がやめるまで長期闘争を宣言する集会とデモ行進を行いますので、ぜひお集まりください。

 びっくりしました。一日でも早く止めたいのに、わざわざ「長期闘争」を宣言するって、どういう意味?
 主催の「池多未来を守る会」は、試験焼却の灰搬入を阻止しようとしたことを理由に市から告訴されて以来、とてもメディア露出度が高いのですが、その行動は私の理解を超えています。
 たとえば;
 ・なぜ「公害防止協定」に基づき、逆に森市長を告訴・告発しなかったのか?
 ・現地の立看などが数回にわたって壊されながら、なぜ告発しないのか?
 ・一度却下(不受理)された監査請求を再提出するのはなぜか?

 などなど。ところがメディアは、こういう行動ほど、いちいち写真入りで大きくとりあげるのです。
 たとえば、下は監査請求についての記事。

2013年06月01日 
富山市池多地区住民、がれき受け入れ中止求め2回目の監査請求/富山

毎日新聞 5月31日(金)  富山市など五つの自治体でつくる「富山地区広域圏事務組合」が震災がれきの受け入れを検討していることに対して、焼却灰の最終処分場がある富山市池多地区の住民ら115人が30日、同組合に受け入れの中止を求める住民監査請求を提出した。提出は2回目。請求を出した住民組織「池多の未来を守る親の会」の中山郁子代表らは、1回目の請求について「内容を審査せず却下したのは不当だ」と主張。同様の請求が秋田市で行われた際は、監査委員が住民側に補充意見を求めるなどの対応をしていると指摘して、同組合の審査方法に疑問を示した。1回目の請求(3月)に対して、同組合は4月、がれきの処理費用は全額県から支払われることから「組合に損害や損失は発生せず、監査請求の対象にならない」として却下した。

 同じものを再提出したようですが、どうみても監査請求の内容に問題があるんじゃないかと思うけど(私は読んでいません)、マスコミは不問。また富山市は、6月7日、池多地区を対象に、異例の「本焼却前の報告会」を行っていますが、これも写真つきで取り上げられています。

 ところが、この間、私がアドバイスしているイン富山の行動は、ほとんど無視に等しい扱いを受けていました。 この間、森市長の刑事告発が正式に受理されたことを受け、6月9日、がれき広域処理の本当の事業主体である富山県知事あてに「警告書」を出していますが、記者会見に現れたのは3社のみ。翌日の新聞にも数行のベタ記事でした。http://ameblo.jp/savechildtoyama/entry-11550174123.html

 ところがその翌日の6月11日、マスコミは、池多の~が出した震災がれき広域処理への抗議文を、大きく取り上げています。http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/index.html?TID_DT03=20130611155908
 この扱いの違いがどこから来るか、って? 私は常に「違法性」を問題にしています。↑の団体のは単なる抗議。抗議文には一応、「広域処理の原則に反している!」との一句がありますが、広域処理そのものは認めているわけだから、矛盾してない?

 「広域処理にあたっての原則は、あくまでも地元処理が前提であり、岩手県の基本方針や内閣府の特別機関である学術会議でも繰り返し確認されています。それなのに、今から富山県で処理するのは廃棄物処理法第6条の2、特別措置法・政令215号の広域処理の原則に違反しています」。

 
 でも、メディアが喜んで報道するのは、こういう意味不明な運動。政治屋とメディアがグルなのは、中央も地方も同じ。利害が一致しているから、行政を困らせるような運動は報道しないという暗黙の取り決めがあるわけです。ああ、富山は救いがたい。腹が立つ。許せん。2013.6.18

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/