プラごみ対応、日本の無策と海外情勢

 深刻さを増すプラごみに対し、日本は「海洋プラごみ対策閣僚会議」を設け、「行動計画」を策定しただけ。有効性などあるはずもなく、単なるポーズにすぎません。

G20前に姿勢アピールも 抜本的解決策と言えず 海洋プラごみ削減計画

毎日新聞2019531 2140(最終更新 531 2141)

 6月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議を前に、政府は31日、海洋プラスチックごみ削減に向けた行動計画を策定した。「イノベーション(技術革新)」による代替素材の開発を前面に出し、問題解決に向けた総合的な対策としてまとめた。政府はG20議長国として先進的な取り組みを各国に示し、地球環境の保全について主導権を握りたい考えだが、抜本的な解決策とは言えないのが実態だ。 「我が国の経験と技術をフルに活用し、議長国として地球規模の課題の解決にリーダーシップを発揮していく…

  これに対し、海外のプラごみ対策はかなり先を行っています。以下、先進国のいくつかの事例をごく簡単に紹介します。出典をつけておくので、詳しくは翻訳ソフトなどで読んでね。

「ニューヨーク州 プラ袋使用を禁止 カリフォルニア州につぎ2番目」 

 世界一の浪費大国・アメリカでは、2016年にカリフォルニア州がプラ袋禁止に踏み切ったのを手始めに、ニューヨーク州も全土でプラ袋を禁止する法令を制定した。来年3月から実施される。ハワイ州でも同様にプラ袋を禁止している。いずれも対象はシングル・ユースのプラ袋で、小売店は生分解性以外のプラ袋を顧客に提供することが禁じられる。(2019年のニュース)

Plastic Bags to Be Banned in New York; Second …2019/03/28 https://www.nytimes.com/…/nyregion/plasticbagban-.html · このページを翻訳 

「フランス すべての プラ製食器を禁止、世界初」 

EU加盟国では、プラ禁止への取り組みはアメリカより早く、フランスはEnergy Transition for Green Growth Actを制定し、2016年からプラ袋の段階的使用禁止を実施している。またプラ製食器の使用も2020年までに全面禁止を予定しており、これは世界初。代替品はコンポスト可能な(=自然に帰る)な素材でなければならない。 (2016年のニュース) 

France Just Became The First Country to Ban All Plastic …https://www.sciencealert.com/france-just-became-the…このページを翻訳

 ところでフランスの取り組みは一国独自のものではありません。2015年4月にはEUプラ袋禁止指令を出していますが、各国の取り組みはその「指令」を受けたものです。

「EUのプラ袋禁止令、影響広がる」 

すべてのEU加盟国は、EUプラ袋禁止指令にもとづき、一人当たりプラ袋使用数を2015年の200枚から、2019年には90枚に、そして2025年には40枚に減らさなければならない。また小売店は必ずプラ袋の料金を徴収しなければならない。この指令を受けて、ドイツ第2のスーパーマーケットREWEグループは、全店舗でプラ袋をなくし、顧客に紙、綿、麻などの買い物袋を配った…(2016年のニュース)

EU Ban on Plastic Bags Making Impact – Epoch Times August 31, 2016

 このフランスよりさらに先行していたのがイタリア。下は2010年のニュース。

「イタリア、小売店のプラ袋禁止始まる」

 それまで年間300枚のプラ袋を使用していたイタリアでは、小売店は紙製か布製、生分解性(プラ)以外は配布できなくなった。この法律が2006年に上程され、2010年までに全面禁止の予定だったが、産業界の反対で実施が遅れていた。環境相は「公害と戦うための大事な一歩が踏み出せた」と発言、政府は市民の啓もう活動を行った。

Italy to begin ban on plastic bags in shops – BBC Newshttps://www.bbc.com/news/world-europe-12097605このページを翻訳 2010/12/31 

 この流れは途上国にも共通しており、違反した店に罰金を科す国もあるほど。プラ禁止は世界中で急速に広がっています。そして、その動きを作ったのがプラ袋拒否とプラスチック焼却反対を求める市民の運動でした。彼らは産業界の妨害をものともせず、当然の権利を求め続けたのです…安倍政権が無策なのは、メディアのサボタージュと、日本にはそんな運動がないことを反映しているのです。2019.6.3

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/