フリーダム・コンボイ

 今、世界各地で大型トラックドライバーたちによる、「ワクチン義務接種」反対の動きが広がっているのをごぞんじでしょうか? 彼らの動きは「フリーダム・コンボイ」と呼ばれ、各地で熱狂的な支援と賛同を受け、その勢力と行動、そして影響力は日増しに大きくなっています。「Freedom Convoy」で検索すると、たくさんの動画やインスタグラムが出てきます。

カナダの首都、オタワに入ったフリーダム・コンボイ。彼らは、「義務接種が中止されるまでオタワにとどまる」と、連日、抗議活動を続けている。

 原因となったのは、カナダ政府が、国境を越えて入国するトラック運転手らへコロナワクチン接種を義務付けたこと。ワクチンを拒否すると入国できない、あるいは2週間「隔離」されなければいけない、という強硬な政策で、これを拒否したトラッカーは職を失いかねません。しかし、日常的に国境を越えているトラッカーらは、この独裁的な規制に黙っていませんでした。彼らはすかさず、「ワクチン強制は自由の抑圧」として、国境でのワクチン強制接種へのデモを始めました。 ・・・でも、おそらくそれではラチが開かないことがわかったのでしょう。カナダの政治指導者、トルドー首相は各国政府の中でも強硬なワクチン支持者、説明や話し合いに応じるどころか、船団の動きを暴力行為と呼び、トラッカーをレイシストと呼ぶなど、火に油を注ぐ発言を繰り返していたのです。

オタワの冬の平均気温は-10℃。市民は-20℃の厳寒の中でフリーダム・コンボイを迎えた。

 そこでトラッカーらは1月23日、ワクチン強制接種を中止させるべく、首都オタワに向けて――市民運動として記念碑的なーートラックデモを開始しています(この動きが、トルドー政権転覆につながりかねないことにトルドー政権はまだ気づいていない)。首都のオタワは広大なカナダの東の端にあるため(その南は米・ニューヨーク州)、多くのトラックは西部から何百キロも走破しなければなりません。しかし、初め数十台だったトラック船団は、あっという間に各地の市民の支援と賛同を得て巨大化し、1月30日には5万台という規模で首都オタワに到着しています。彼らの動きがツイッターやインスタグラムで拡散されると、多くの市民がそのルートに沿って声援を送り、あるいは自家用車でコンボイに合流し、食糧や宿泊を提供し、共にデモを行っているとのこと。

オタワに入ったフリーダム・コンボイを迎える市民たち。

 「フリーダム・コンボイ(自由船団)」で思い出すのは、イスラエルに封鎖されたパレスチナ・ガザの人々に食料や医薬品を届けるために組織された民間の国際援助船団でした。この時の「フリーダム・フロティラ」の情報は徹底的に封鎖され、日本では知る人もあまりいないでしょう。しかし2010年、この船団はイスラエルに襲撃され、多くの死傷者を出しています。ガザに向かう支援船団をイスラエル海軍が公海で襲撃(デモクラシー・ナウ日本語版)。

オーストラリアのSBS報道。トルドー首相一家はどこかに雲隠れしたと伝えている。

 ↑の動画を見ると、トラッカーたちの敵意は明らかに「トルドー独裁政権」に向かっていることがわかります。そして、彼らの勇気ある行動が、家にこもっていた一般市民を引っ張りだし、「目に見える反乱」となりつつあることが。トルドー一家はすでにどこかに雲隠れしたようですが、政権のエリートはごく少数で、実は「多数の圧力」にとても弱い。一方その「エリート」に支配されている私たち市民は、その何千倍も多いのに、「反対」や「抗議」を表に出さないようしつけられている。なので、ごく少数エリートの悪質な犯罪行為をやめさせるには、少数のまともな市民の勇気―市民運動ーが必要なのです。

オタワ市街を埋め尽くすフリーダム・コンボイの列とそれを支援する市民たち

このフリーダム・コンボイの目に見える成果として、さっそく、ケベック州がワクチン未接種者に課そうとしていた「未接種税」を中止したというニュースが入っています。Quebec premier drops ‘unvaxxed tax’ plan, saying it ‘divided’ peopleKVIA10h 。その理由として「市民の分断につながる」ことがあげられていますが、実際は、まともな市民」の圧力と、国際情勢の変化を敏感に感じ取ったからに違いありません。フリーダム・コンボイの動きは、オーストラリアやアメリカにも飛び火しています。2月6日の講演会ではこの最新の動きを中心にお伝えしたいと思います。2022.2.3

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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