けしからん芦名のがれき受入れアンケート

 黒岩神奈川県知事によるがれき受入れの水面下交渉が、ついにこういう形で表面化しました。
 県の処分場がある横須賀市芦名周辺の自治会連合会、「大楠庁内連合会」のひとつ、秋谷町内会が、↓のような住民アンケートを始めたのです。(赤字山本)
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 さて、去る7月26日(木)夜、芦名の「かながわ環境センター」にて大楠連合町内会臨時総会が開催され、黒岩神奈川県知事より「震災がれき焼却灰の埋め立て案」の正式撤回と地元説明会等をめぐる対応の不備に対する謝罪がありました。その後に新たな提案として「災害廃棄物受入に係る新しい提案」【添付資料参照】の説明がありました。
 そこで、秋谷町内会としては、皆様方に熟読していただきご意見を賜り、全会員によるアンケート(別紙)の結果をもって、町内会の総意としてまとめる事と致しました。会員の皆様は配布のアンケート用紙にご記入の上封筒に入れ、隣組長さんに提出して頂くようお願いします。
 隣組長さん宅には、町内会役員が8月26日(日)に回収に伺います
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 ひどいアンケートですねえ。どこがひどいって、その理由を、赤字部分に即して解説します。
 ①連町は、地元住民の代表でも、決定機関でもない。
 連町は自治会・町内会の会著う・副会長をメンバーにした任意団体、重大な問題を決定できる能力はありません。このような重大な問題は、本来、各自治会・町内会が、総会(臨時総会含む)で決めなければならず、そのためには、会議の目的・討議内容・日時・場所を示した文書を、開会十日前までに住民に通知する必要があります(芦名町内会規約第18条)。でも、今年の5月の総会でも、その是非が討議されたという事実はなく、それどころか、この頃までに住民のほとんどは「がれき問題は終わった」と考えていました。
 ② 「協定書」があるのに、勝手に「新提案」を受けてしまった違法。
 その連町が今年2月、連町役員会を県の窓口とするという撤回要請文を出していますが、これも自治会・町内会が了承したものではなく、それどころか、地域住民は「撤回要請文」そのものさえ知らされていませんでした。従って、大楠連町が、地域住民の付託を受けないまま「協定書」という正式契約の反故につながる新提案を受け入れたことは、信義則にそむく違法行為であり、良好な地域社会を害する行為です。
 ③7月26日は非公開会議。
 同日の「連町」総会は、地元住民には一切知らされず、会長・副会長しか出席していません。場所も、私たちがチラシで注意を呼びかけた後、急遽、環境整備センターに変更されました。しかも、議事録は非公開、知事はそれ以後、市民から逃げ回っています。すべてが不公正、犯罪的。秋谷のアンケートは、そのような秘密会議をベースにしたもので、地元住民に伝えるべき情報が全く伝わっていません。漁網・漁具も、放射能や有害化学物質の影響を受けた災害廃棄物であることに変わりはなく、受入れの是非を問う前に、住民は「なぜ」と聞く権利がありますが、このアンケートは、住民の知る権利だけでなく、発言する権利も完全に無視しているのです。
 ④アンケートはどう生かされるか、不明
 芦名町内会がこのアンケートを、どうまとめるのか不明ですが、隣組―役員回収で、どこの誰がどういう意見かということはわかっているのに、それを「無記名」にしたというのは問題です。これによって、「反対」意見が、無関係の誰かの「賛成」意見と、差し替えられる可能性があるからです。これは、公開開票しても同じ。これまでの経緯から、そういう「県のご指導」があったかもしれませんね。
 ほかにもいろいろあるんですけどねえ・・・結論として、住民のみなさんにこの手のアンケートのボイコットをお勧めします。たとえ8割が反対でも、「大多数が賛成」という答が出るように仕組まれている可能性が高いからです。また、私たちはこのことを呼びかけるチラシ6号を撒いています。協力できる方、コメント欄にご連絡を2012.8.18

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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