「朝鮮問題」を学ぶ

 私は本来なら今年の3月に卒業予定でした。でも、中国語能力試験
がクリアできてない(それどころじゃなかった…)のと、外系(専門以
外)単位を取っていなかった(誰も教えてくれなかった)ため、卒業を
延期することにしました。ほんと、できの悪い中年留学生です。
 で、外系の単位を「中国外交関係」で取ることにしました。1949年
の共産主義国・中国の建国から現在に至る、おおまかな外交関係を、
「中国サイド」から追う授業です。現代史、多国間関係がテーマの
私にはぴったり。しかもこれは中国人向けのクラスではなく、生徒は
アメリカ人と韓国人が主、日本人は今のところ私一人のようです。
楊先生は国際関係の博士号を持ち、アメリカ留学経験もある女性で
完璧な北京語と教え方のうまさで定評があります。
 前回は「朝鮮戦争」でした。まず、最近公開された資料にもとづい
て作られたビデオを鑑賞しました。香港の製作らしく、オリジナルは広
東語、放送は中国語です。英語スーパーつき。朝鮮戦争はまだ終わ
っていないので、クラスのほぼ全員がいわば関係者といえますね(ち
なみに、北朝鮮の拉致問題も戦闘行為の範疇に入ります)。
 やがてビデオからこういう音声が流れました。
 「1945年、日本が無条件降伏した後、アメリカ軍がやってきた。
 彼らは韓国人に残酷な鎮圧政策で望み『第二の日本』と言われた」
 とたんにアメリカ人から声があがりました。「ウソだろ?」「ほんとか?」
 ほぼ同時に韓国人からも声が出ました。「ほんとだ」「そのとおりだ」。
 ・・・どの国の人々も、それぞれの国の大本営発表を聞いている限り、そ
してそれを信じている限り、相手国の実情などわかるはずがないのです。
私も中国で、南京事件を初め、日本軍によるさまざまな戦争犯罪について
の本を読み、人の話も聞いて、初めて加害国と被害国の間に横たわる大
きな溝に気がつきました。その溝は権力構造そのものでもあるから、ちょっ
とやそっとで乗り越えられるものではないですね。
 今回の授業はビデオだけで終わりましたが、次回はこれを元に、背景や
制度を学び、討論を行う予定。朝鮮問題はアジアの導火線のひとつ、若
者たちが初めて知る自国の「過去」にどう向き合うか、どんな意見を出す
か楽しみです。国家は両国間のみぞを埋められない、でも人々がそれを
埋めると信じていますから。2009.3.21

この記事を書いた人

hiromachi