「戦争協力発言」の「伊木氏は市長辞職を

   2017年4月、鳥取県米子市には、産業界の支援を得た伊木市長が誕生します。彼は当然、産業側に立ち、米子産廃問題では市民の感情を逆なでする発言をくりかえしてきました(米子産廃、伊木米子市長のウソ | WONDERFUL WORⅬD)。その彼が、公開の席で戦争を支持する発言をしていたことがわかり、市民の反発を受けて発言の一部を撤回しました。

米子市長、軍事行動支持発言撤回

20181129 / 18:20 / https://jp.reuters.com/article/idJP2018112901001838

  拉致問題に関連し、安倍政権が軍事行動や憲法改正をする際には全面的に支持するという趣旨の発言をした鳥取県米子市の伊木隆司市長は29日、同市で記者会見を開き「皆さまに誤解を与えてしまった」として、発言を撤回した。伊木市長は市議会などから批判が相次いだとして「このような騒動を起こし、ご迷惑をお掛けして申し訳ない」と陳謝。「拉致問題の早期解決のために語気を強めてしまった。決して軍事行動を推し進めようという趣旨ではない」と釈明した。一方「賛同の意見も届いている。拉致問題で全面的に政府を支える考え自体は変わらない」と強調した。【共同通信】

 地方自治体の長としてありえない事態です。なぜなら、憲法は戦争放棄を明文規定しているから。そして、市民生活の最前線で、戦争(紛争)の危険を回避し、勃発の歯止め役として存在しているのが地方自治体だから。普通、国権による「戦争」が起きそうな場合、「平和的に解決せよ」と求めるのが地方自治体のはず。彼はそれと真逆のことをやってしまったのです。

 また、「憲法改正」に関する発言は、日本にも軍隊を作れという意味であり、平和を願う大方の市民意識からかけ離れています(なお自衛隊はもちろん軍隊ですが、憲法違反の存在であり、軍隊として公認するわけにはゆかない)。憲法を無視した伊木市長の発言はとても悪質で、彼は即刻、辞職すべきです。

 でも、この発言があったのは十日ほど前。その時はほとんど報道されず、私も「撤回」が話題になって初めてしりました。

 

政権の軍事行動支持 拉致問題集会で発言

20181121日 東京朝刊https://mainichi.jp/articles/20181121/ddm/012/010/043000c

鳥取県米子市で20日に開かれた「拉致問題の早期解決を願う国民のつどい」で、伊木隆司米子市長が閉会のあいさつの際、安倍政権が軍事行動や憲法改正をする際には全面的に支持し、拉致問題の解決を支援するという趣旨の発言をした。伊木市長は共同通信の電話取材に「言葉足らずだったが、あくまで拉致被害者の帰国を解

 まず、このような会では、どうしても好戦的な声が強くなるし、「好戦派」も入り込みやすいものです。伊木氏はそこなら何でも言えると思って持論を展開したのでしょうが、一方、主催者もこれに暗黙の了解を与えていたはず。なぜなら開会や閉会の挨拶は主催者に原案が渡されることが多く、関係者は事前にその内容を把握していたことが考えられるからです。それを受けて、彼の発言は阻止もされず、拍手があがったのかもしれません。

 でもね、米朝協議が実現し、北朝鮮が核基地撤去に向けて動いている最中に、外交関係に何の権力もない政治家が、平和協議を無にするような発言をするのはいかにも不自然かつ政治的。・・・バックにはおそらく右翼的な組織と防衛産業を含む業界、族議員がいるような気がします。

 なお、米子市のホームページには彼のコメントと一部を削除した後の挨拶全文がアップされていました。以下、https://www.city.yonago.lg.jp/item/30887.htmから一部。

 

発言撤回後の市長挨拶全文

 …現在、日本政府においては、安倍首相を中心として、全力で拉致問題の解決に当たる覚悟を決めていらっしゃいます。そして、そのことを日本国民は全面的に支援をしております。(発言を撤回した部分)この拉致被害の回復、主権の侵害の回復に、私たちも国民として全力で当たりたい、全力で支援をし、そして支持したいと思っております。そして、松本京子さんをはじめとされる拉致被害者の皆様方全員が、再び祖国の地を踏むことを願って、本日の国民のつどいの締めくくりとさせていただきたいと思います。皆様、これからもどうか、強い、強いご支持をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

掲載日:20181129 

お問い合わせ先 秘書広報課 

所在地/683-8686 鳥取県米子市加茂町1丁目1番地 (市役所本庁舎3階)

電話/0859-23-5372 ファクシミリ/0859-23-5395 Eメール/ hisho@city.yonago.lg.jp

 一部撤回は議会や市民の抗議の声を受けたもの。また、その抗議の声の高まりによって、メディアもようやく「撤回」を報道したのです。「市民が行政に関心を持ち続ける」重要性は前記事でも書きましたが、今回はそんなものではすみません。市民を代弁して勝手に「戦争協力」を広言するなど、市長にあるまじき行為。これを許すと他の自治体でも似たような馬鹿市長が出てくることでしょう。どうぞ上の広報課にあなたの抗議を。そしてもし彼が自ら辞職しなかったら、鳥取県民、米子市長は市長リコールを考えて下さい。これはそれだけの重みをもつ問題です!!20181201

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/