「ワクチン拒否は児相送り法」が成立?

 読者から以下のような質問がありました。

Facebookの一部で噂になってる記事があります。ワクチン拒否は児相送り法案が衆議院通過したという記事です。これは本当なのか、調べても手がかりがないためこちらで質問させていただきます。もし本当なら人権無視だし、児相に送るというのは現実的でもないと思いますが、お時間ありましたら教えてください。よろしくおねがいします。

 私はFBもツイッターもしませんが、この「噂」については他からも連絡があったので、とりあえずの判断を述べておきます。

 ここで話題になっているのは、2018126日衆議院を通過、成立した「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(略称「生育基本法」)のことですね。

この法律そのものをもって、「予防接種拒否者を児相送りにする」ことはできません。そういう規定がないから、ではなく、そういう規定を盛り込むこともできないからです。

★なぜなら、これは「基本法」と呼ばれるものであり、多くの個別法(具体的に法律を執行するために策定される)の基礎となる理念を表明する法律に過ぎないからです(そのため「理念法」とも呼ばれる)。…しかも、法文に書かれている言葉はそれほど悪くないので、逆にワクチン拒否者も十分使えると思いますよ(長くなるので説明略)。

★この基本法策定までには15年ほどかかっています。つまり、その頃には少子化の影響が、医師、特に小児科医、産婦人科医の重大な危機として認識され始めたわけ。そこで。顧客減少に直面した業界は、「大事な子どもを守るのは国の責任」「妊娠前からおとなになるまでが対象」として、基本方針を作らせ、そのための措置(金銭負担)を約束させているのです。ま、すべての法律の目的は「カネ」か「コントロール」、あるいはその両方だから。

★問題は、この基本法によって今以上の「濃厚医療」、「管理医療」が実行されるのではないかということ。カネが流れるのはそこだから。今の日本が抱えているさまざまな問題(少子化、妊娠不能、子どもの異常や貧困)の責任は、人権を無視し、企業の手先となってきた政府・行政と、一方的な「上から医療」を押し付けてきた医学界にあるんですけどね。その反省はおいといて、まず、将来の生き残りの道を確保しようと、この法案は「閣議決定」だけでいきなり国会を通過した…そりゃ市民が何も知らず、「手掛かり」がないのも当然です。

★なので、市民は今後、保健医療の分野、そして厚労省管轄の分野での動きを、警戒をもって見守る必要があります。ちなみに、患者情報やデータは、とっくに多様なルートで国際的に流通しているというのが山本の見方です(参考:拙著『大量監視社会』、医療情報の爆発的流通と基盤としてのネットワーク年金情報入力の中国再委託問題で、「SAY企画」

特にワクチンの接種情報は非常に細かいデータが収集されています。

★なお、本当に「ワクチン拒否者を児相送り」(赤ちゃんは児相、親は監獄?)にしようと思えば、予防接種法や児童福祉法を全面的に改正しなければならないし、場合によっては刑法改正も必要です。そうすると、罰則付きの行政法になることから、国会審議が必要になるし、必ず廃案に追い込まれるでしょう。だって、それはこの生育基本法にも反するのだから。

2018.12.29

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/