「ワクチン不足」は、ワクチン在庫一掃セールのため?

今年のインフルエンザシーズンは、メディアを巻きこんだワクチン販促が大々的に行われてきました。たとえば↓の記事、典型的な「恐怖をあおる」作戦です。

 

あなたは間に合わない? 殺人インフルエンザが流行の恐れ、ワクチン100万本も足りない! 201711221248 J-CASTテレビウォッチhttp://news.livedoor.com/article/detail/13926150/

 厚労省は先週(201711月)、インフルエンザが8県で流行期に入ったと発表した。東京都内でも学級閉鎖は、昨年(2016年)を上回るペースという。流行のキモは、「殺人インフルエンザ」と呼ばれる死亡率の高いタイプというのだが、ワクチンが不足している状態が続いている。寒さが本格化する中、大丈夫なのか。

 ワクチンの不足はかなり深刻で、都内では予約を受けられない医療機関が続出している。「必要量の半分以下、10分の1とか極端に少ない。ここまで極端なのは初めて」という医師もいる。厚労省によると、昨年の使用量は2642万本だったが、今年の製造量は2528万本で、100万本以上も少ないという。シーズン前の最初の培養がうまくいかなかったため、必要な分の培養が遅れたということらしいが、その必要なタイプが問題だ。「H3N2」と呼ばれる、俗に「殺人インフルエンザ」というタイプ。今のところ感染率は、38%(国立感染症研究所)だが、高齢者や疾患のある人は重症化しやすく、厳重注意が必要という(以下略)

 「殺人インフルエンザ」と言って、ワクチン信奉者を「打たないと死ぬ」と脅かしているわけだから、たちが悪い。

 そしてこの記事と同じ日に、大手メディアは一斉にこんな↓記事を流しています。

 

インフル患者の異常行動に注意を 厚労省が対策公表へ

2017.11.22 22:14 http://www.sankei.com/life/news/171122/lif1711220056-n1.html

インフルエンザの患者が突然走り出して転落するなどの事故が相次いでいることから、厚生労働省が来週にも、窓の施錠などの具体的な事故防止対策を公表することが22日、関係者への取材で分かった。インフル患者の異常行動をめぐっては、10代以下の子供を中心に毎年50件ほどが報告されており、厚労省はより具体的に広く注意喚起する。

 インフル患者の異常行動は、治療薬「タミフル」服用後の患者の飛び降りが報告され、その後、別の治療薬や薬を服用していなくても「興奮して窓を開けて外に飛び出す」「意味の分からないことを言う」などの異常行動が起きることが分かっている

 昨シーズンには、飛び降りや転落につながる異常行動がタミフルで38件、別の治療薬2種で16件の計54件報告された。厚労省は毎年、インフルにかかった10代以下の子供が自宅で療養する際は、発症から2日間は一人にしないよう保護者に呼びかけるなどの予防策を自治体などを通じて通知。しかし、より具体的な対策を呼びかけるべきだとの意見が専門家から出ていた。新しい通知では、「高層階では窓に補助鍵を付ける」「なるべく1階に寝かせる」などの具体的な文言で予防を呼びかけるという。

 

 これまた「異常行動」がインフルエンザそのものによって起きる、とフルの危険性をあおっていますが、これは数年前にも使わた「手」なので、だまされないように。また、記事でとりあげている54件の「異常行動」例はすべて薬剤の副作用だから、わざわざ「薬を服用していなくても異常行動が起きることがわかっている」と書くのは文脈的にも論理的にもヘン……スポンサーの要請に応じてそう書かされているとしか思えません。

“インフルエンザワクチンの製造量と使用量”的图片搜索结果

 

 なお、厚労省は9月、今年のワクチン不足を見越して、「一人一回に制限せよ、高齢者に打て、買い占めるな」などの指示を飛ばしています。その通知(季節性インフルエンザワクチンの供給について – 厚生労働省)を読むと、フルワクチンの製造量は過去七年ほど、3000万本ほどにものぼっていたのに対し、使用量はほとんど増えていません。したがって、今年の製造量約2500万本(一バイアル1ml1ショット0.5m)は、これまでの生産超過を踏まえた上での生産調整ではないかと思われます。つまり、今年のワクチン不足騒ぎは、産官学媒による在庫一掃セールと見るべきです。みなだまされないように。2017.12.25

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/