「セクハラ解散」を「RDF解散」にすり替え みなかみ町のお粗末その2

 グローバルな話題から、突然、ローカルなニュースに戻ります。7月、RDFの終焉2(みなかみ町のお粗末) (07/29) を書いた時、みなかみ町はおおもめに揉めていました。読者からも「議会解散」のお知らせがあり(ありがとう)、気になっていましたが、私事が重なってフォローできないでいたのです。

 でも、記事の一週間後には事態はこう↓なっていました。

 

みなかみ町議会解散 「町の恥だ」議長怒り 町民「町長辞めて」「悪くない」

セクハラ疑惑の町長が辞職願提出

町議選大敗の責任取る 群馬県みなかみ

2018/09/10 17:20産経デジタル

 団体職員の女性に対するセクハラ疑惑問題が取り沙汰されている群馬県みなかみ町の前田善成町長(51)が町に辞職願を提出したことが10日、関係者への取材で分かった。セクハラ疑惑をめぐり、町議会から不信任決議を受けた町長が議会を解散したことに伴う9日投開票の選挙では、町長に批判的な「反町長派」が大勝した。この結果を重く受け止め、辞職を決断したとみられる。前田町長は選挙戦でセクハラ疑惑の争点化を避け、自身が訴える「議会改革」に賛同することを前提に、9人の立候補者を擁立したが、有権者の支持を得られなかった。周囲には「仲間を落としてしまった。その責任を取る。自分の都合がどうこうではない」と語り、自身の辞職に伴う町長選に出馬するかどうかについては、「考えられる状態にない」と話しているという。前田町長は4月18日夜、町内で開かれた飲み会で団体職員の女性にキスをしたなどとされている。女性は強制わいせつ容疑で県警に被害届を提出したが、前田町長は一貫して、強制わいせつやセクハラに当たる行為はしていないと主張している。町長に対する不信任決議案は7月27日に提出され、可決された。町長は辞職せず、8月6日に議会を解散した。
 

 この町長なら、出直し選に再出馬しかねませんね。本人は出なくても「お仲間」もいるようだし。地域住民が気をつけておかなければならないのは、地方自治体の長は、公共事業のカナメであり、水面下で多くの企業の付託を受けているということです。彼らは必ず何らかの「宿題」を抱えて長に就任し、住民の反対を無視してその宿題を実行に移そうとするものなので、市町村長の行動を監視するなら、まずはその金脈をーー政治資金規正法や公職選挙法を通してーー調べておくことです。

 それにしても、RDF問題はどこに行ったのか?

 で、前記事に引用した読売の記事に抱いた違和感を思い出しました。その記事には、RDFと「町の責任」を言いながら、町長の名前がなかったのです。また、RDFが町の責任にまでなることはあまりないので、ほんとかいなとも感じたのです。そして最大の問題はーー今になってわかったことですがーー上記セクハラ事件や解散の件など何も書いていなかったこと。これはこの記事が、前田氏側の立場で、地元の事情を知らない「外向け」に書かれたことを意味しています。書き手はそのつもりでなくても、客観的にそうなる。これではーー嘘は書いてないにしてもーー新聞としてきわめて不誠実、不正直です。それどころか、「みなかみ町のRDF問題」そのものが、何らかの意図をもって取り上げられたと思わざるを得ません。

 で、検索したら、こういう↓記事がありました。前田町長の背後を見事にあぶりだしています。

 

群馬)ごみ処理で解散、争点は不透明に みなかみ町議選

泉野尚彦 2018年9月8日03時00分 朝日新聞デジタル

 群馬県みなかみ町の前田善成町長のセクハラ問題に端を発した異例の町議選(定数18)は9日、投開票される。町長が議会解散の理由に挙げたのが、前町長から引き継いだ家庭ごみの固形燃料(RDF)事業に対する疑念だった。だが、この問題を積極的に論じる候補者は目立たず、町長が狙った争点化の成否は不透明だ。

 「不可解な点がある」。前田町長は町議会を解散した8月6日、会見でRDFという言葉を唐突に挙げて疑問を口にし、「(解散前の)議会は推進派」という対決構図を示してみせた。RDF事業は当初、町が町内の施設で発電用燃料として利用することで成り立っていた。しかし、施設が故障。現在は年約1億円を白羽って業者に処理してもらっている。このため、町営の温泉施設でRDFを加温燃料として新たな使い道を探る実証実験が計画されている。ただ、会見でも前田町長は踏み込んだ説明はしていない。町長の問題意識が、全国的にコストのの問題などで見直しが相次ぐRDF事業全体を指すのか、実証試験だけなのか不明だ。

 4日の告示前、朝日新聞が候補者29人へのアンケートを実施し、この問題への考えを尋ねたところ、未回答の2人を除く多くが「争点というなら昨年10月の町長選で問題にするべきだった」「今後も議会として調査、研究、議論が必要で、町議選の争点ではない」などと、争点化に否定的な見方だった。ごみ処理として、町のRDF事業を問題視する候補者は前職にも新顔にもいる。「処理費に約1億円使われ、続けていくことは難しい」「RDFそのものが過去の遺物」……。ある前職は、実証試験については町議会で町当局に疑問点をただす動きもあったと証言する。町長が指摘する「議会は推進派」という図式は乱暴に映る。「町長は疑惑があるとするが、公の場で説明がない。誰が指示し、町はどう関わっているのか、明らかにすべきだ」とする意見や、「セクハラ疑惑隠しの問題のすり替え」という回答もあった。(以下略)

 争点化も何も。前田氏は、おそらく、「セクハラ解散」の汚名を避けようとRDF問題を持ち出し、町長としての任務に触れなくて済むように、議会を「推進派」と決めつけて対立の構図を作ろうとしたのでしょう。すり替え、ごまかし、有権者軽視、いろんな形容ができそうですが、その経過の中で、不誠実な新聞記事が登場して私の注意を引いた・・・小さい町の長で、ここまでやる人はなかなかいません。「みなかみ町のお粗末」の源は町長一派だったようですが、叩けばもっと埃が出てきそう。2018.9.11 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/