壊滅させられた厚真火力

 震度7の北海道地震から一週間。全道ブラックアウトをもたらした停電の原因についてまだに納得できる説明はなく、「妄想」が膨らむばかり・・・ま~、最初から怪しいと思って見ているのですが。

 

対応後手、供給遮断間に合わず…ブラックアウト

北海道内の全域が停電となったブラックアウトについて、北海道電力は7日、主力の苫東厚真とまとうあつま火力発電所の停止が急だったため、対応が間に合わなかったことが原因だと説明した。ただ、ブラックアウトに至った経緯の詳細は、なお分かっていない

 専門家は、今回のブラックアウトを避ける手段として、特定地域の電力供給を絞って強制的に停電させる方法があったと指摘する。東日本大震災で福島第一原発などが停止した際、東京電力は一部地域を停電にし、域内全域の発電所が停止するブラックアウトを防いだ。電力会社は、発電する量と消費する量がおおむね一致するように調整している。需給バランスが崩れると、発電所の発電機が破損する恐れがある。東京電力は発電量の減少分に見合うように、強制的に停電させて電力需要を落としバランスを保った。

 

 「詳細はなおわかっていない」はとりあえずその通りにしても、「給電遮断が間に合わなかった」「一部地域を強制停電させればよかった」というのはどうだか。だって、当時、厚真発電所はすでに壊滅状態にあり、周波数を同期させたくても、おそらく電源系統もコントロール不能になっていたと思われるからです。

 

北電の主力「苫東厚真発電所」の被害状況が明らかに 完全復旧は11月以降

2018年09月11日 19時32分 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1809/11/news119.html 

 北海道電力は9月11日、平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震により被害を受けた苫東厚真発電所の点検結果と復旧の見通しを公表した。ボイラー管2本の破損などを確認した1号機は9月末以降、ボイラー管11本が損傷した2号機は10月中旬以降に復旧する見通しだが、タービンから出火した4号機については冷却が終わらず点検できていない。完全復旧は11月以降になるという。
 北海道では、96日午前37分に発生した最大震度7の地震により、道内の火力発電所が緊急停止。電気の需給バランスが崩れたことで道内全域で停電が発生し、一時約295万戸が影響を受けた。その後、各地の火力発電所や水力発電所の運転を再開した他、他の電力会社からの受電や自家発電設備を持つ企業や団体の協力も得て電力供給量を積み増し、98日までに約350万キロワットを確保。停電戸数は8日午前6時時点で約4000戸、911日午後6時現在は約230戸と急速に復旧している。しかし例年9月の最大需要は約380万キロワットと、いまだ10%程度不足しているため、北海道電力では電力需要が増す午前8時30分から午後8時30分までの12時間をコア時間帯として2割の節電を呼びかけている。「供給力の確保、積み増しに最大限努めていくが、苫東厚真発電所の復旧に時間を要する状況を考えると節電は不可欠」(北海道電力)。Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.  
 
 三つある発電施設のうち(3号機はすでに廃炉)、1号機と2号機はボイラー管が損傷、4号機はタービンから出火し、11日時点でも高温で点検さえできない状態でした。つまり厚真火力は壊滅状態になっていたのです・・・こんなことあり? それにもかかわらず、北電が「(厚真火発売は)揺れで自動停止した」「停電の原因は需給バランスが崩れたから」としているのは面妖な話。ほんとなら、「施設損傷によって急激に給電能力が落ち、停電に至った」はずですけどね。なお、北電の給電量がゼロになったのは、地震直後ではなく、発生から一時間半ほど後のこと(北電のサイトhttp://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/energy/electrical-画像は取り込めません)。厚真につながる各地のノードや送電線が少しずつ電気を失っていったのでしょう。
 では、いったいなにが火発の損傷が招いたのか? 
苫東厚真火力発電所、敷地内で液状化 北電が認める

長崎潤一郎、田之畑仁 2018年9月13日09時09分https://www.asahi.com/articles/ASL9D5KBVL9DIIPE01Y.html

 北海道のほぼ全域にわたる停電(ブラックアウト)を引き起こす原因の一つとなった北海道電力の苫東厚真火力発電所(北海道厚真町)で、敷地内の道路の一部などが液状化により、陥没していることがわかった。朝日新聞の取材に北電が12日、認めた。北電は「復旧作業に影響があるものではない。必要に応じて補修をおこなっていく」としている。

 同発電所があるのは、苫小牧港東側の埋め立て地。朝日新聞がチャーターしたヘリコプターに12日、記者と渡部要一・北海道大教授(地盤工学)が同乗して発電所を上空から撮影。周辺の道路や、発電所敷地内の数カ所で、砂が噴き出すなどの地盤の液状化が起きたとみられる痕跡を確認した。痕跡は石炭置き場とみられる場所にもあった。渡部教授は「発電所周辺の海沿いでは、至る所で砂が噴き出していた。建屋近くでも少なくとも2カ所は痕跡が確認できた。ただ、今回見る限りでは、発電所の建物に直接影響している可能性は少ないのではないか」と話している。(長崎潤一郎、田之畑仁)

 

 液状化により施設に亀裂が入るなどして、機械類が損傷し、発火するとしたらそれはありえることでしょう。ところが、北電も専門家も液状化が起きたことは認めながら、発電所には影響していない、復旧にも影響ない、と言っている・・・それなら、いったい何が施設の損傷ーーそれも狙ったように三基すべてのーーを招いたのか実に不思議。常識で考えれば、厚真は狙われたとみるべきなのに。どうも、「厚真火発の損傷」で停電になったという主張はタブーのようで、許されているのは「需給バランスの崩れ」「周波数の調整不調」のようですね。明らかな言論統制だと感じるのは山本さんだけですかね~ 2018.9.14

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/