フクシマでの作業員の死亡を、東電は三日間、隠していたのですね。下の事務的な通知は、東電の非人間性をよく伝えています。
福島第一原子力発電所での協力企業作業員の体調不良について(続報)
平成24年1月11日
東京電力株式会社
平成24年1月9日午後2時29分頃、福島第一原子力発電所廃スラッジ貯蔵施設*において、コンクリート打設作業を行っていた協力企業作業員1名が体調不良を訴え、福島第一原子力発電所5/6号緊急医療室に運ばれ、治療を受けましたが、心肺停止状態であることから、午後3時25分に福島第一原子力発電所から総合磐城共立病院へ搬送しました。なお、作業員の身体に放射性物質の付着はありません。(お知らせ済み)
本日、医師により1月9日午後5時2分に死亡が確認された旨、元請企業より連絡をいただきました。 以上
(ttp://www.tepco.co.jp/cc/press/12011106-j.html)
★まず、原発災害の労働者に心臓関連の病気が多いのは証明されていることを、言っておきたい。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16505616
★ それから、この文書を検討しますが……
11日に発表されたのは下の一行だけで、「続報」という点にご注意。「作業員の死亡について」とすべきところを、検索の手がかりを残さないように「続報」とし、同時に、責任回避(保険金支払い回避)を図ったのでしょう。他の死亡例も同じ扱いかも。
東電は、雇用主として状況をフォローすべき義務がありながら、それを「元請け」にまかせてしまっているのもひどい。そして、元請けの連絡が来たのが11日と遅かったので、発表も遅れたというわけですが、ほんとは、作業員はおそらく現場で死亡したので、東電は世論の注目度を下げるために、発表を遅らせたんでしょう。関係者との口裏あわせもあるし。
もちろん、そのためにはマスコミの協力(共謀)が必要。マスコミは9日の段階で「心肺停止」と伝えるだけで、フォローしていません。そして、上の11日の東電の発表を受けて、12日に続報を出しています。すばらしく息があったコンビ、フクシマの将来の情報も、こうやってコントロールされ続けるでしょう。オルタナティブメディアが必要ですね。
福島第1原発事故 作業中、心肺停止の60代男性が死亡
東京電力は11日、福島第1原発で9日に作業中に心肺停止となり病院に運ばれた協力企業社員の60代男性が死亡したと発表した。死因は急性心筋梗塞で、被ばくとの因果関係はないとしている。東電によると、男性は昨年5月から同原発で作業し、累積被ばく線量は約6ミリシーベルト。9日は朝からタンクの製造作業を行い、午後に体調不良を訴えて病院に搬送されたが、同日午後5時ごろ死亡した。同原発で亡くなった作業員は4人目。東電には11日午後1時ごろ男性死亡の連絡があったという。毎日新聞 2012年1月12日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120112ddm012040139000c.html?inb=yt
汚染と厳寒の中で戸外作業にあたった60代は、息を引き取る前にどんなことを考えたのか。東電と自民ー民社政権の汚染事故の尻拭いをしているフクシマ労働者の権利を、誰がどうやったらちゃんと守ってあげられるのでしょう。2012.1.12
東電が三日隠した「作業員の死亡」
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/