大気汚染は子供のIQを下げる

  妊娠中のママがスモッグなど大気汚染にさらされると、子供のIQが
低くなる―こんな研究がPediatrics(小児科医)8月号に発表にされた。
以下、これを伝えた記事の一部を要約した。
http://news.yahoo.com/s/ap/20090720/ap_on_he_me/us_med
_pollution_iq;_ylt=AmfeCzfeaW46NMIPNcQsmKlpl88F

 これは「子供の環境と健康コロンビア・センター」が、ニューヨーク
市の妊娠中の女性249人の追跡調査の結果、わかったもの。ママた
ちの多くは北マンハッタンとサウス・ブロンクスの低収入層の住宅地に住
み、妊娠後期に48時間大気モニターを身につける実験に参加した。
(記事にはバックパック・スタイルでモニターを身につけている女性の写
真がある)ママたちが遭遇した汚染レベルはさまざまだが、典型的な
都市公害である、自動車やバス、トラックなどの排ガスにさらされた。

 産まれた子供たちは、学校に上がる5歳になるとIQテストを受け
させられた。その結果、産まれる前に多くの汚染にさらされた子供
の成績は暴露が少なかった子供より平均4、5ポイント低かったの
だ。
「この差は大きく、学校における子供の行動に大きく影響する」と、
著者の一人であるフレデリカ・ペレラは述べる。当該研究とは無関係
の医師は、「混雑した都会に住む
子供たちが読み書きできなくなるわ
けではないが、煙を出す工場のすぐそばなど、汚染のひどい場所のそ
ばに住むべきではないことを示している。都市汚染は以前考えられてい
たより、もっと危険なものかもしれない、と述べた。
「低レベルの汚染物質への暴露について、より多くのことがわかってきた。
以前は、許容量以内なら大丈夫だとされていたものが、実はそうではない
ことも明らかになっている」
 妊娠時期の汚染への暴露は、鉛と同じように子供の脳に影響を与える
可能性が大きい。これ以前に行われた調査でも、研究者は、汚染への
暴露と先天異常、頭の小ささ、体重減少、さらに発達の遅れ(3歳児)、
喘息などが関係があるとしている。



 胎盤を通貨する汚染物質(多環芳香族炭化水素)の主たる発生源には
車や工場の排ガスがあげられる。タバコもそのひとつだが、被験者たちは
タバコを吸わなかった。調査した140人の子供たちの56%が、高度暴
露グループとされた。これは、母親たちが混雑する道路やバス停に面した
場所に住んでいることを示している。調査対象の母親たちは黒人か、ドミニ
カ系のアメリカ人だ。なお、研究者は、IQに影響を与える他の要素―タバ
コの伏流煙、家庭の学習環境、誕生後の汚染への暴露―も考慮した上で
妊娠中の暴露の影響が大きいとしている。
(訳者注:胎児がもっとも影響を受けやすいのは妊娠初期だとされており、
なぜ「妊娠後期」を調査対象にしたのかは、記事からは読みとれない。)

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/