HPV論文、「胎児保護しないことがわかった」と撤回

 2018年、「HPVワクチンは早産児を守る」と主張した論文が、実際はその反対であることがわかり、撤回されたという恐ろしいニュースが入っています。…妊婦への薬剤やワクチンの投与が危険なことは、普通の人なら本能的にわかりますが、医師や医薬関係者の「本能」は、「金銭的利益」で眠らされているわけ・・・

 この論文「出産前のHPVワクチンと早産児減少の関係:人口ベースの研究Association of prior HPV vaccination with reduced preterm birth: A population based study」は、2018年、Elsevier journalの「ワクチン」誌で発表されました。

HPV感染で早産や子癇前症など、妊娠の負の問題が関係している証拠が多く出ており、我々はHPVワクチン接種で妊娠に伴う悪い転帰が減ったかどうかを目的に研究した。その結果、HPVワクチン接種女性ではこれらの悪い転帰は有意に低く、連続投与されるたび早産の可能性が減ることがわかった。・・・結論:4価HPVワクチンの事前接種は、早産の有意な減少(13%)と関連していた」 すごい自信。ところがこの論文は、著者自らによって取り下げられます。

 「本論文は著者らによって取り下げられた。理由は、彼らはオッズ比の解釈を誤ったため、HPVワクチンは胎児を保護するのではなく、逆に早産リスクを高める可能性があることを意味している。(中略)その上、著者らは、有効性を確認するために必要な手続きである元データも得ていない(アクセスできなかった)。著者らは、データ処理やその他のエラーがなかったことを確認するために再調査を行い、結論を出したいと望んでいる」

 「最後に、著者らは論文受理前に編集者や査読者に利益相反について通知せず、論文の受理後、一方的に利益相反の声名を追加したことに深刻な懸念を覚えている。著者らはその企業、CSLLimitedからは何の便宜も受けていないと述べ、CSLの方は研究をするということしか聞いていないと述べている。」

 でも、CSLバイオセラピー社はオーストラリアとニュージーランドでHPVワクチンの権利を持ち、研究者や大学に資金援助していることを考えれば、この論文の背景にも何かあったと考えても不思議ではありません。

 一番驚いたのはここ↓

 「大事なのは、分析を行ったのが経験が浅い人間で(彼がおそらくデータセットを反転したのだ)。そこで我々は初めからデータの正しさを確認しようと思ったが、データ提供者が再度の公開を拒んだためそれができなかった。我々は倫理委員会に文句を言ったが埒が明かず、撤回することにした」

 もともと提出すべきでなかった論文なのです。そして著者らがノウノウとしている間、「HPVは胎児を守る」というウソが世界中に広がっていた。…これも医薬産業界の「医学者、科学者、研究者」が抱える闇を示す事例ですね。

2020.9.27

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/