国民全員にワクチン(アメリカ)

  コロナワクチンをめぐり、メディアを通じた「駆け引き」が激しくなっています。巷に流れるニュースに忍ばせた多くのウソ、そして魂胆に、あなたは気づいているでしょうか?

コロナワクチン、4月までに「米国人全員分」 トランプ氏

2020/09/19AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は18日、「米国人全員」への投与に必要な量の新型コロナウイルスのワクチンを来年4月までに製造できるとの見通しを示した。年内に承認が下り次第、すぐに供給を進めるという。トランプ氏は、開発・治験の最終段階にある3種類のワクチンについて「歴史的な進歩」があったと強調。年内に少なくとも1億回分のワクチンを製造するとの見通しを示し、「毎月数億回分のワクチンが供給可能となり、4月までに米国人全員に足りる量のワクチンが確保できる見込みだ」と述べた

 ためしにこの↑報道を分析してみましょう。まず、これは「ニュース」でさえありません。メディアと政治家が伝えようとしているのは、少なくとも以下のことがらです。

1.大統領選向けのトランプ陣営の人気取り

 最近の世論調査では民主党のバイデンが票をリードしており、このままでは「トランプ2期目」は危ない。で、トランプは、人々の不安を解消すべく「全国民にワクチン」をPRして票を伸ばそうとしているわけです・・・

https://www.bbc.com/news/election-us-2020-53657174
これが一期目の選挙で「ワクチンと自閉症」の関係を指摘し、ワクチン批判派みたいな顔をして当選した人間のやることか。政治家は票とカネでいくらでも変わることを証明しています。

2.コロナワクチン開発はうまく行っている

 年内の承認が確実なような記事ですが、すでに当初の予定(年内にワクチン供給を開始)からかなり遅れている。それに、ワクチンの治験がアフリカや南米、東南アジアなどで行われているのは、先進国ではこの実験的ワクチンの危険性が知れ渡っていて治験ボランティアが集まらないからだと考えられます。また、その治験も、副作用問題で中断したり、でうまく行っていない。

3.ワクチンは信頼できる、との刷り込み

 「3種類のワクチンで歴史的な進歩があった」…確かに、開発中のワクチンは全く新しいmRNAワクチンであり、これまで商品化されたことがないから、「歴史的進歩」は間違いではありません。一方、安全性は完全におきざり。ワクチン開発の先端を行く三社ーーアストラゼネカ+オックスフォード大学(イギリス)、モデルナ(米)、ファイザー+バイオエヌテック(米独)ーーは、いずれも治験で副作用が起きたことを報告しています(前二社については本ブログ記事を参考のこと。また、ファイザー社のmRNAワクチンの副作用も、ほんの数日前にニュースが入りました。「副作用は低~中レベルのものばかりで、グレード4の深刻なものはなかった」とのこと。Pfizer sees 'mostly mild to moderate' safety profile in phase 3 …)

 ただし、副作用の詳細は3社とも非公開で、いったい何が起きているかわからない。

4、ワクチンに反対はない

 先進国だけでなく、途上国でもコロナ政策に対し、またワクチン強制接種の流れに対し、大きな反対運動が起きています。でもマスメディアはそのことを伝えないので、メディアしか見ない人は世界で何が起きているか知りません。それにもかかわらず、人々は「何かおかしい」ことに気づいているのです。たとえばロイターが5月に行った世論調査では、米国人の4分の1がコロナワクチンを打つつもりはないと回答していました。生後すぐからワクチン漬けのアメリカ人にとって、この数字はかなり大きなものです。Exclusive: A quarter of Americans are hesitant about a …2020/05/21 –この数字は時間と共に大きくなり、9月には「トランプのコロナワクチンは信用できない」とする論調さえ出る始末。Trump's Coronavirus Vaccine Can't Be Trusted – Foreign Policy foreignpolicy.com › 2020/09/03 › tr… 

5、国民すべてにワクチンを接種する

 記事の最大のポイントがこれです。「米国人全員に足りる量を確保する」→「全国民にワクチンを打つ」。そのためには法律改正あるいは新法が必要ですが、アメリカ人が大人しくこれを受け容れるとは思えません。きっとそれまでに市民の反乱が起きるでしょう。

2020.9.19

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/