徳島市の虚偽説明ーー続き

Q: 施設内で出た排水は、どのようにするのですか?そのまま川に流すのですか?

A: 施設内から出る排水には、洗車やごみピット等から排水されるプラント排水と、職員が利用するトイレや浴室等から排水される生活排水があります。プラント排水は、外部に放流しないクローズドシステムの導入を考えています。クローズドシステムとは、プラント排水を洗車水への再利用や、排ガスの冷却水に用いることにより、施設の外に水を出さないシステムのことです。次に、生活排水は、合併処理浄化槽を設置し公共水域への放流を考えています。合併処理浄化槽から排水される水量は、1日あたり15立方メートル(4人家族15世帯相当)の放流を想定しています。

★ごみ焼却炉では、機器の冷却装置や冷却塔、洗煙装置、そして焼却後に出た灰を洗うのに、大量の水ごみを使います。使用後の排水(プラント排水)には、焼却の過程で発生した化学物質や塩類、溶け出した有害重金属が含まれ、非常に汚染されています。それを「クローズドシステム」で外に出さないというのですが、それは永遠に続けられません。システム中の汚染物質は次第に濃縮し、施設に劣化や錆など深刻なダメージを与えるからです。そのため、多くの焼却炉ではプラント排水を定期的に焼却処理しているのが実情です(東京都などの聞き取り。使用済み「スクラバー」も同様に焼却処理されている)。

★また、「余熱利用」つき施設、あるいは「ゴミ発電装置」を備えた施設では、ボイラー(熱交換器)を使って大量の蒸気や熱水を外部供給しているため、排水の発生も、環境への影響も大きくなります。

★生活排水も焼却排ガスなどで汚染されており、その排水の放流先の河川ではごみに含まれた重金属などが水に溶け込んで、電気伝導率を上げる(=電気を通しやすくなる)ことが知られています。飯谷では予定地に産廃処分場も併設されており、しかも、現地の状況はかなり悪いため(山本は現地視察しました)、すでに付近の河川の伝導率は高いはずです。

 

Q: 煙突から排出されるガスの中に重金属は含まれませんか?

A: 水銀は、重金属の中で最も気化しやすい物質ですが、集じん装置で捕らえることで、大気への排出を防ぐことが可能です。例えば、900度前後で運転するストーカ式焼却炉で水銀を含むごみを焼却すると、沸点が360度前後の水銀は気化し、ばいじんに付着または気体になって燃焼ガス中に混在することとなります。このガスを200度以下に冷却すると、気体であった水銀は凝縮し液体となるため、これを回収します。また気体で残った水銀については活性炭を吹き付け、この活性炭に付着させることで、集じん装置で捕捉・回収します。他の重金属は、融点や沸点の温度から、その多くが焼却灰の一部として回収されますが、気化した重金属類は水銀と同様に、活性炭での吸着を行うことで捕捉が可能となります。ごみ処理施設では、こうした方法により排出ガスを浄化しており、排出ガス中に重金属が含まれることはほとんどありません

★「排ガスに重金属が含まれることはほとんどない」?今の時代にこんなウソ説明をするとは…徳島市は、おそらく、「煙突排ガスに含まれているのは水蒸気だけ」とも説明しているでしょう。でも、排ガスに重金属、有機化合物(ダイオキシンもそのひとつ)、PM(PM10,PM2.5,ナノPM)、酸性ガスが含まれているのは事実。だから、ネット検索すると山のような「排ガス処理施設」の宣伝が出てくるのですが、どんなに優秀なバグフィルターを用いても、基本的に気体はとらえられません。

★環境中に出た重金属類は、気温低下によって焼却炉の近くに落ち、ダイオキシン類は煙突から3キロ付近で再合成することがわかっています(多くの学術リポートあり)。国際的にも、「焼却炉→大気汚染→健康被害」の図式はあまりにもはっきりしており、事業者側は、この汚染ガスをうすめて、なるべく遠くに飛ばすために焼却炉の煙突を高くしているのです。

(参考→http://www.alternative-energy-news.info/negative-impacts-waste-to-energy/)

 

Q :放射性物質に汚染されたごみが持ち込まれませんか?

A: 福島第一原子力発電所の事故後、放射性物質汚染対処特措法によって、事故に由来する1キログラムあたり8,000ベクレル以下の廃棄物について、一般廃棄物としての処理が可能となったことから、新施設において放射性物質に汚染されたごみが搬入され、焼却処分されるのではないかとの心配の声をいただいておりますが、本市及び周辺5市町においては、放射性物質に汚染された廃棄物の受け入れや処理する考えはありません。また、平成27年4月に、県に対して放射性物質に汚染された廃棄物の処理に対する姿勢を確認したところ、1キログラムあたり8,000ベクレル以下の放射性物質の保管を含めた安全性について、国から明確な説明がなされていない現状においては、県民の安全性を確保する観点から受入は困難であるとの回答を得ております。仮に第三者が放射性物質に汚染された廃棄物を持ち込もうとする場合には、本市への通知や県の許可が必要であり、けっして無断で持ち込めるわけではありません。こうしたことから、放射性物質に汚染されたごみが、持ち込まれることはありません。 

 ★これはおそらく徳島県(環境省)の回答の受け売りでしょう。

 しかし、311‐フクイチ事故による放射能汚染は今後さらに深刻化するはずです。それを見越して、政府は全国に均等に「汚染廃棄物」をばらまいて汚染度を均一化する対策を取ったのです。その第一歩として、廃棄物処理法で8000ベクレル以下の廃棄物を「一般廃棄物」としたのですが、上の文章の「放射性物質に汚染されたごみ」とは、一般廃棄物のことを指すわけではありません。市民騙しは公務員の主要な仕事の一つ。法律用語を知り、微妙な表現の違いに気づくようにしておきましょう。

 とにかく、こんな説明を平気で繰り広げているというのは詐欺としか言えません。

 ついでにもうひとつ。もしみなさんの周囲に、突然、黒いフレコンバッグが積まれているのに気づいたら、それは福島から送り出された放射性廃棄物(一般廃棄物あるいは災害廃棄物として)かもしれません。ガイガーで計測してみましょう。

2019.5.6

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/