風車とイヌワシ

 2018年8月も今日で終わり。この夏の高温と異常気象は、さぞ人々に「温暖化」を印象づけたことでしょう。でも、「人為的温暖化」説が「政治」であることに変わりはありません。6月の講演でも、「温暖化」は、再エネを主要電源とする新エネルギー革命を起こすのが目的、その理由は、それによって引き起こされる不都合、不便に人々を慣らす=人民の支配だ、などと述べましたが、私のこの考えもちっとも変っていません。

 でも、日本ではメディア操作や社会的洗脳があまりにもシステマティックなので、再エネ事業による不都合な真実に人間が気づくのはもっとずっと後でしょう。そしてその間、犠牲になるのが生き物たち。風車の場合、最大の犠牲者は大型猛禽類です。

 

イヌワシ生息地、風力発電凍結 滋賀・米原、地元反対強く

2018/8/22(水)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180822-00000023-kyt-sctch  滋賀県米原市と岐阜県関ケ原町にまたがる山林に再生エネルギー会社「ジャパン・リニューアブル・エナジー」(東京都港区)が建設を計画していた大規模な風力発電施設について、同社は21日、計画を一時凍結する方針を市と地元自治会に伝えた。 市によると、同市役所伊吹庁舎で同日午後に開かれた市と地元自治会、同社による協議の場で、担当者が「地元の了解を得られない段階では、環境アセスメントの手続きには進めない。計画を一時凍結する」との社の方針を説明したという。米原市側建設予定地の河内、柏原両自治会は、風車騒音による住民健康被害の懸念や、地盤がもろく下流の集落が土石流に襲われるおそれがある-などとして建設反対を決議し、同社に伝えていた。しかし今年7月、同社が住民を戸別訪問して「市と協議し説明会を開く」との内容の文書を配布。市によると「市が計画に賛同しているともとれる内容だったため、文書の回収と戸別訪問をやめるよう注意した」という。その上で社としての考えを求めたところ、21日に同社から方針説明があったという。事業想定区域は県の「イヌワシ・クマタカの保護、生息環境保全ゾーン」で、国の天然記念物イヌワシや絶滅危惧種クマタカの風車への衝突が懸念されており、1月に出された知事意見では、影響を十分に回避できない場合は、事業中止も含めて計画を抜本的に見直すよう求めていた。

 

  「ノー」を表明した河内・柏原自治会は立派です。でも、この事業は「一時凍結」されただけで、全面停止ではないことに要注意。こんなニュースが流れる時、事業者は水面下で地元の大ボスや政治家に接触し、打開策をさぐっていることが多いからです。当然、そこにはそれなりの現物が飛び交うから、次に計画が再浮上する時には、すっかり話がついていることも。

   少し前までは、猛禽類はその地域の守り神でした。生態系の頂点に立つ彼らが生息していることがわかると、ダムや林道などは建設できず、事業者も比較的おとなしく手を引いたものです。ところが、政府は、そのダムや林道よりずっと大規模な生態系破壊を伴い、CO2削減の役にも立たない風車に関しては、ほぼすべての規制を外して特例扱いにし、建設を推進しているのです。これが、政治。かくて、風車は鳥たちの生息域を壊滅し、水系や森の連なりを分断しつつ建設されています。

 人間は被害を避けるために移転できますが、鳥たち、特に大型猛禽類は、自由に空を飛べても、生息地域が狭まれば生きていけないのです。農薬は小さいミツバチを巣ごと破壊して人間の食料供給を危うくしていますが、風車は多くの鳥類を虐殺して生態系そのものを破壊している・・・これに歯止めをかけるにはどうすべきでしょうか。2018.8.31

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/