高浜原発の事故や裁判のニュースが流れるなか、3月6日、アメリカで老朽原発で火災事故が発生していました。幸い、原発そのものの火災ではなかったのですが、炎と黒炎があがり、住民に「自宅待機」を求める緊急警報が出されました。
爆発した南カロライナ州のオコーニー原発は、全米でも最大規模の原発の一つ。1号炉が1973年、2,3号炉が1974年に商業発電を開始しているから、立派な老朽原発に入ります。何が起きたのか、火災の経過を米NRCのサイトから抜き出しました。()は山本の注です。
「緊急事態宣言出される、主変圧器における火災/爆発で」
15時12分(現地時間、以下同じ)、(オコーニー原発)1号炉の主変圧器に爆発・火災が起き、その結果、原子炉がトリップした(緊急停止装置が作動した、という意味)。
15時20分、免許者(ライセンシー、Duke
Energy.社のこと)は、「異常事態の通知」を宣言し、オフサイト(外部)の支援を求めた。
16時33分、煙と炎が見えなくなった。消防士は再燃を防ぐため防火剤を散布した。けが人はいない。オフサイト支援の要請に対しては地元の三つの消防部局が対応した。
原子炉トリップにより、すべての制御棒が挿入された。蒸気発生器は通常のルートで給水されている。原子炉の電気系統は通常の停止状態にある。
16時58分、火事によって、緊急時、三つの原発すべてに電力を送ることになっている天井部分の送電線が損傷したことから、免許者は事故のレベルを「アラート」に引き上げた。外部電源(オフサイトパワー)は全炉に供給可能である。
17時8分、鎮火が宣言された。免許者は変圧器故障の結果として、RPS actuation(原子炉保護システムが作動したこと)を通知した。
火災は2時間ほどで収まったようですが、原因は不明。火災で電線が焼けてしまうというのはオール電源喪失につながりかねない危険な状態で、オフサイト電源がなければメルトダウンしてもおかしくなかったのです(地震の場合、そのオフサイト電源さえ確保できないというのはフクイチの教訓です)。
この原発はキオウィー湖(冷却水を取水、温排水を放流する)の湖畔にあり、そこで釣りをしていた人々は、複数の大きな爆発音を聞き、同時に黒い煙がもくもく上がったのを目撃しています。そして、拡声器から流れた「異常事態が起きた、職員はただちに・・・」などの指示もビデオに録画されています。Loudspeaker
at Oconee Nuclear Station
もっともメディアは「放射能漏れのおそれはない」をくりかえしていましたが・・・原発のある町に住むというのは、このような恐怖と隣り合わせだということですね。しかも、NRCのサイトを見ると、全米のどこかで、ほぼ毎日、何かしらの事故がおきているのがわかります。レベルはさまざまですが、老朽化する一方の原発事故は、これからも増えこそすれ、減ることはないし、大事故の確率も多くなります。NRCが廃炉を決定しようとしないのなら、市民が主導するしかありません。廃炉の後にくる「核廃棄物」も含め、原発はほぼ永久的に市民の関与と監視を必要とする問題です。やだね。2016.3.10
(参考)
http://www.foxcarolina.com/Clip/12266115/transformer-fire-at-oconee-nuclear-station
U.S.
Nuclear Regulatory Commission
Loudspeaker
at Oconee Nuclear Station