一部事務組合の「予防接種救済事業」の怪

 前記事の続き、千葉県市町村総合事務組合から返事がありました。
 質問はごく簡単でした。
 ①予防接種の健康救済事業はいつ認可されたか、その年月日。そして、
 ②これまでに救済された事例(人数と補償額)を、おおまかに教えて、というもの。
 ところが・・・
「一部事務組合の認可(千葉県)は昭和30年11月です」
「はー? その頃には予防接種の救済なんか入っていないでしょう?」
「・・・そうなんです。予防接種の事務自体は昭和52年2月からで・・・制度の変革があって、市町村から(健康被害の)申請をいただいて・・・法令接種と条例接種が(もごもご)・・・」
「なに?条例接種って」
「昭和45年7月、国が予防接種事故の救済要綱を設置し、51年6月に予防接種法改正で救済措置を設け、昭和52年2月から新制度で・・・」
「で、条例接種って何なのよ」
「法令接種は法律による接種で、条例接種は・・・」
「条例接種じゃなくて、任意接種のまちがいじゃない?」
「あっ、あ~そうです。任意接種です!」(ほっとした感じ)
「で、いつ一組(いちくみ)の規約に書き加えられたの?」
「・・・あの~、規約には位置づけられていません。申請があれば県に進達し、その後、厚労省に進達し・・・」
「ちょっと待って! 救済事業は規約にもない? なに、それ。違法事業じゃないの」
「す、すみません・・・」

 個別の職員をいじめるつもりはなかったけれど、あまりのひどさ、無責任さに、ついつい詰問してしまいました。だって、千葉県の一組は、公然と予防接種法、地方自治法に違反しているだけでなく、憲法にも背き、行政執行上の大原則である「法治主義」も無視しているのだから。
 これでは、前記事にあったように、「ワクチン接種による健康被害の審査請求で処分が取り消されたのは初めて」というのも不思議はありません。どの組織だって、自分たちが接種したわけでもないワクチンの健康被害の責任など取ろうと思わないだろうし、できる限り負担をすくなくするはずなので。つまり、千葉県の住民は、ワクチンに関してまともな救済制度を保障されていない(人権保護が制度的に否定されている→憲法違反)ということなんです。
 一つのニュースのウラにある恐ろしい無責任と無関心。いやあ、千葉県には補償が受けられなくて泣いている多くのワクチン被害者がかなり多いかも。2016.1.31

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/