マスコミがスルーした鮫川村焼却炉の爆発

 鮫川村焼却炉の事故の様子を取材した動画が送られてきました。
 (フリー記者の畠山理仁氏の取材)http://twitcasting.tv/hatakezo/movie/18640341 

 画像(カメラワークが非常に悪い)を見ると、傾斜焼却炉炉下部にたまった灰を、上行ダクトを通して灰溶融炉に送り込むシステムのようですが、このダクトが爆発によって、縦に大きく裂けているのが確認できました。「ぱっくり口が開いていた」とはこのことか。…爆発理由については考察中ですが、動画を見て、取材者が環境省の説明をおとなしく聞いているだけなのが、かなり違和感あり。以下、「 」は環境省の説明、( )は私の感想。
 
「この焼却炉は灰(主灰)がほとんど出ない。出るのはほとんど飛灰です」
 (はあ? そんな炉なんてありえるの? 焼却炉の最大の問題が飛灰なのに、わざわざ飛灰だけが出るようにでもしたのか? なら私の常識外です)
「(主灰)は出ても一時間に1kgくらい。飛灰はその数倍です」
 (普通は主灰100に対し、飛灰が1とかそれ以下のはず。焼却炉を傾斜させるだけでその比率が逆転するの? なお、飛灰の毒性は主灰の数十倍~数百倍になる)
「灰は外に出ていません。ほとんど灰がない状態だったので。だから、別に(飛び散った灰の)掃除もしていません)」
 (見て来たようなうそを言ってる。灰がない焼却炉もありえん! 焼却炉周辺は――見学路以外ー―細かい灰が降り積もっているもの)
「線量(0.07μSv)が変わらなかったので、すぐに連絡しなかった」
 (外部よりはるかに低い。それどころか東京都や神奈川県より低い・・・)

 
 その場で発言に検証を加えない限り、この動画は、環境省の「公的発表」の役割を果たすことになってしまうんですけどね・・・
 第一、事故直後の現場に、事業者がこのようなフリーライターを入れることなんて、普通はありえません。普通、原因不明+高濃度汚染の危険がある現場は立ち入り禁止ですって。なのに、この方は事故翌朝には現場に駆けつけて、環境省の説明つきで取材を敢行しているから、前日までには準備が整っていたのでしょう。
 

 もっとヘンなのは、この取材の現場にマスコミはいなかったという点(市民に確認済み。ただし、ジャーナリスト以外は門から中へは入れてもらえなかったとのこと)。当日朝、周辺市町村から、事故を知った住民たちが抗議に駆けつけたのですが、そこに、大手マスコミは一社も現れず。NHKに「なぜ来てくれないの?」と電話したら、返事は、「今日は他の取材がある。鮫川のはたいした事故じゃないでしょう?」だったそうです。(国営放送のくせに! お~い、みなNHKの受信料なんか払わなくてもいいよ!)

 また、前記事で出した時事通信他の記事についても、原資料を確かめようとしましたが、環境省のHPではそういう発表は見当たらないので、公表はされていないと判断できます。ま、
平たい話が、この事故は情報統制がかかっているというわけね。

 この問題で忙しくしている間に、神奈川県ががれきの第一搬入を決められてしまいました。違法でもやっちゃえという態度ありあり。9月初めに事業開始とのことですが、あんなに大勢いた神奈川県の反がれきの人たち、いったいどこに消えたんでしょうね。2013.8.31

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/