黒岩県知事、パチスロ大手の病院開設に便宜をはかる

  私がワクチン問題に正面から取り組むきっかけになったのが、神奈川県の黒岩知事による、アメリカ追随型ワクチン推進機構、「日本型ACIP」に向けての動きでした。県民でも医師でもないくせに、県知事に落下傘候補として現れ、初当選。就任後は、元国際医療福祉大学の肩書きをひけらかして、ことあるごとに医薬産業界を代理して政策を展開してきたという実績があります。今回の毎日新聞のスクープは、そんな彼の背景の一端に光をあてています。

神奈川:知事支援者に病院許可 休眠中法人、内規適用せず
毎日新聞 20150908日 0945

http://mainichi.jp/select/news/20150908k0000m040097000c.html

土地の係争で開院できない病院。付近でオーイズミが高齢者住宅などを計画する用地も荒れ放題だ=神奈川県厚木市で、松浦吉剛撮影

 神奈川県厚木市に建設された病院が、本来の予定から約5カ月経過しながら開院できない事態に陥っている。毎日新聞が入手した内部文書によると、黒岩祐治知事の関連政治団体に会長が個人献金している企業と提携する休眠中の医療法人に対し、県が内部ルールを適用せずに開設許可を出し、直後に土地が差し押さえられたにもかかわらず法令上の手続きを先送りして着工を了承していた。文書には、知事の特別秘書から「何とか手立てはないか」と問い合わせを受けた後、県の行政指導が変遷した経緯が記されていた。【松浦吉剛、大場弘行】

 ◇特別秘書が担当課に接触

 この企業はパチスロ機器大手「オーイズミ」(同県厚木市)。厚木市内に建てた認知症専門病院(180床)に高齢者住宅とデイケア施設を併設することを計画している。会長が知事の関連政治団体に個人献金し、グループ会社2社が政治資金パーティー券を購入したことがある。病院の安定経営を確保するため、都道府県は開設許可の申請受け付け前に事業者を指導することが多い。 神奈川県には以前から、赤字や休眠中の医療法人が病院開設を希望する場合、診療所で黒字経営の実績を2年間積むよう指導するとの内部ルール(内規)がある。毎日新聞が情報公開請求で入手した内部文書によると、同社幹部が201112月に、赤字の医療法人と提携して病院を開設する意向を伝えた際、手続きの窓口である県厚木保健福祉事務所は実績不足や地元医師会との調整不足を理由に慎重姿勢を見せた。だが、直後に知事の特別秘書の千田勝一郎氏(44)が、同事務所に「オーイズミから『ダメ出しされて困っている』と相談を受けた」と電話を入れると、担当課長は「人員と設備の基準をクリアする形で持ってきたら許可は出す」と回答した。


 法人指導を担う本庁医療課は当初、従来通り診療所で実績を積むよう求めた。だが、同社が126月、東京にあった休眠中の医療法人に提携先を変更すると、「東京の法人」であることなどを理由にルールを適用せず、県は133月に開設許可を出した。しかし翌月、法人所有の建設用地が債務不履行を理由に金融業者に差し押さえられ所有権を巡る訴訟に発展。着工が滞る状況が続くと、千田氏は142月に県担当部トップの医務監に「何とか(事業を)進める手立てはないか」「訴訟が片付くまで待つしかないか」と尋ねた。同席していた医療課グループリーダーは翌月、訴訟の影響を避けるため同社が法人の土地を買い取って病棟を建設し、法人が一括賃貸する方式に計画を変更することを容認した。これに対し厚木事務所は、訴訟中は土地の所有権が確定せず、開設許可を賃貸方式に変更するための許可申請書類を提出できない状態だったことなどから工事延期を指導したが、医療課グループリーダーらがこれを覆す形で手続きの後回しと着工を了承させた。


 医療課は訴訟終結まで開院を許可しない条件を付けたが、厚木事務所側に送ったメールには「本来なら変更許可後の着工が順序」と、異例の対応である
ことを認める記述があった。一連の経緯をまとめた別の文書には「(オーイズミが)早期の病院開設を望んでいる」「特別秘書が相談を受けている」と記されていた。病棟は今年1月に完成し、4月に開院予定だったが、訴訟が継続して差し押さえが解消されていないため、開院できない事態が続いている。千田氏は菅義偉官房長官の公設秘書だったが11年に知事の特別秘書に起用された。県議会との確認事項で「政策形成に直接関与せず職員に命令や指示をしない」とされている。取材に対し、千田氏は「職員に指示や命令はしていない」と回答。県医療課は「内規は県外法人にも適用されるが、法的拘束力はない」と回答。着工を認めたことについても「医療法上は県には着工の可否を判断する権限はない」としている。


 ◇知事「利益誘導ない」


 黒岩知事の関連政治団体「黒岩祐治後援会」の政治資金収支報告書などによると、病院建設を計画した当時オーイズミ社長だった同社の大泉政治会長(72)は、2011年に30万円▽12年に5万円▽13年に12万円▽15年に6万円--の個人献金や選挙資金の寄付をしている。1311月には、会長が代表を兼務するグループ企業2社が、知事の後援会が主催する政治資金パーティーの券を100万円分購入していた。千田秘書は知事側のパーティー券販売の窓口を務め、100万円のパーティー券を購入してもらった4カ月後に県側に「何とか進める手立てはないか」と問い合わせていた。黒岩知事は取材に「秘書の行為は口利きに当たらず、オーイズミや医療法人への利益誘導もない」などと文書で回答。オーイズミは献金などについて「政治活動に対する通常の支援で、その他の意図は全くない」と説明した。【水戸健一】

 普通の自治体なら訴訟絡みの案件に許認可を出そうとはしません。下手すると担当者に火の粉がかかるしね。しかし、この場合は県知事の特別秘書が、厚木医療福祉事務所と本庁医療課へ働きかけている。特別秘書は、↓の記事にあるとおり、知事本人の政治活動を下支えする役回りであり、彼は知事の指示を受けて動いたとしかいえないのですが。

黒岩知事が特別秘書に千田氏起用へ/神奈川(神奈川新聞2011年7月14日) 黒岩祐治知事が自身の政治活動を支える知事特別秘書に、菅義偉元総務相の公設第1秘書を務めた千田(ちだ)勝一郎氏(40)を起用する方針を固めたことが13日、分かった。神奈川県政史上2人目の特別秘書で、近く任命される見通し。千田氏は横浜市港南区在住。立教大学卒業後、大手商社勤務を経て松下政経塾に入塾。2006年から自民党岩手県参院選挙区第1支部長を務め
07年の参院選に出馬、08年6月に現自民党神奈川県連の菅会長の公設第1秘書に就任した。黒岩知事は神奈川新聞社の取材に対し、千田氏起用の理由について「人格的にも能力的にも素晴らしい方で、神奈川のこともよく知っている」と述べ、側近としての手腕に期待を寄せた。特別秘書は、地方公務員法に基づき条
例で設置できる特別職。神奈川では松沢成文前知事の2期目にあたる08年4月に設置条例が施行されており、県議会の同意などを必要とせずに知事が任命でき
る。松沢県政では、今岡又彦氏が約2年10カ月にわたり務めた。

 自民党の対米追従型人脈につながっていた黒岩知事、やはり医療分野で神奈川県をアメリカに売り渡そうとしていたのか。2015.9.10

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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