奈良市で新ごみ「絶対反対」

 ごみ焼却炉計画が出てくる時、まず行政が仕掛けるのが自治会連合会などをたばねた「検討協議会」のような横断組織を作ることですが、その設立を、自治会連合会が自ら見送ったという珍しいニュース。これはなにより。いったん出来てしまうと、あとは間違いなく「建設ありき」で着工に向けて動き出すので。

協議会設立見送り – 奈良市ごみ処理施設建設

2015年9月6日 奈良新聞 http://www.nara-np.co.jp/20150906105316.html
 奈良市が計画するクリーンセンター移転建設問題で、候補予定地の東里地区自治連合会(西窪弘之会長、10自治会)が設
立を模索していた「検討協議会(仮称)」が、地元の意見がまとまらず、見送る決定をしていたことが5日、分かった。地元はクリーンセンター受け入れに反対
しており、「協議会を設置すること自体、施設受け入れを容認したと誤解される」として慎重論が根強く出ていた。協議会設立を待って、移転に向けた地元交渉を始める予定だった市側のもくろみは大きく外れる格好となり、一層の難航が予想される。市環境清美工場(4炉)は建設から30年余が経過。市と、現工場がある左京5丁目など北部住民らによる公害調停成立を経て、平成18年に有識者や住民らによる「市クリーンセンター建設計画策定委員会」が設置され、移転候補地を選考。その結果、23年3月に市は中ノ川町と
東鳴川町にまたがる民有地(33・3ヘクタール)を「最終候補地」とし…
県道脇に立てられたクリーンセンター移転反対の看板=3日、奈良市の中ノ川町付近


 「ごみ処理広域化計画」そして「循環型交付金」がやって来る前は、どの市町村もそれなりにリサイクルやごみ減量化にまじめに取り組んできました。でも、これらの手厚い補助金制度以降、今はどこも「焼却炉建て替え」しか頭にありません。悪法は悪人を作る。
 でも住民は、本当は焼却炉などいやなので、計画が発表されるとどこでも問題が起きる(何の問題にもならなかったのは、現在進行形の横須賀の新ゴミ処理施設計画だけです)。その計画を止めるには、とにかくこのような協議会などの設立を断固拒否し、住民主導のごみ処理を実施させることです。そのためには、地域のごみの質や量、関連法令やその手続きとデータを調べ、現在の処理法、そしてどこまで減量化が可能か、調べるといいですよ。

 そうやって調べていくうちに、これらはほとんどが外部に委託されていて、行政はびっくりするくらい何も知らないことがわかるでしょう。市民がすべてを行政に丸投げしてきた結果、全国津々浦、焼却炉の煙突は当たり前の風景になり、海外の人に「日本は狂焼病=Mad Burn Disease=に罹っている」なんて言われているるようになっているのです。 
 全戸にコンポストを配るだけで燃やすごみは半分に減ります(重量ベース、もっと減るところだってあるでしょう)。でも、そうなると焼却炉メーカーが困るので、環境省と市町村は「ごみが減らない、減らない」と言いつつ、ごみ焼却炉を建て続けている。結果はごみの増大と目に見えない大気汚染・・・特に「ごみ発電」の場合、ごみが不足しないように、リサイクルなんかしてもらったら困る、という事態もおきるのです。
 ところで上の写真の看板には「(建設に)断固反対」とありますが、新聞社の説明は「移転反対」。これってまずくない? だって、「移転反対=今の場所ならいい=建替え賛成」。公害調停まで行って施設の撤去に成功しつつある現在地の住民には許しがたいでしょう。2015.9.9

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/