不在の間に、ごみ関連のニュースがもう一つ入っていました。この件についてはこれまでも 「行政にすり寄った鳥取地裁のひどい判決 (2015/03/28),鳥取地裁のひどい判決、続き (2015/04/18) で書きましたが、住民の不勉強と、下手な裁判に持ち込んだのが失敗の元。おそらく、最後は「金目」で押し切られてしまったのでしょう。記事中、強調山本。
県東部ごみ焼却場 国英地区14集落と基本協定 東部行政管理組合 /鳥取
毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20160803/ddl/k31/010/574000c
鳥取市など県東部の1市4町でつくる東部広域行政管理組合(管理者、深沢義彦鳥取市長)は1日、鳥取市河原町国英地区で建設を計画しているごみ焼却施設について、地区内にある全14集落と基本協定を結んだ。締結を受けて組合は具体的な建設整備に着手する。ごみ焼却施設を巡っては、唯一反対していた郷原集落が今年2月に同意。これを受けて5月、14集落の住民が「国英地区可燃物処理施設検討対策協議会」を設立し、基本協定の締結に向けて組合と協議してきた。協定では、施設の稼働期限を30年間とし、ごみの処理方式や収集区域、種類なども明記した。また、地震や水害などで発生する災害ごみの搬入が必要となっ た場合は事前に全集落と協議することなども盛り込んだ。今後は地区に同様のごみ処理施設を建設しないことも確約するなど、組合側は住民の生活環境に配慮し た。調印式で、深沢市長は「皆様のご理解に感謝申し上げる。安全安心な施設の建設・運営に全力を尽くし、地元集落と1市4町が一緒になって大事業を成し遂げ たい」と述べた。協議会の山根良広会長は「問題を一つ一つ解決し、ここまできた。安全安心を担保してほしい」と組合側に訴えた。12月には債務協定を締結し、その後着工する予定。【小野まなみ】
焼却炉はれっきとした公害施設。地域住民は何より「公害防止協定」を締結させるべきでしたが、前の協定でさえ裁判所に否定されてしまっては、行政の言うなりになるしかなかったのか・・・そういえば、唯一反対していた「郷原集落」に私が行った時も(講演ではなく、「相談」)、「他の集落から嫌がらせされている」「組合は賛成した集落にはすごい金をばら撒いている」などという話を聞きました。カネとムチ。この地域が焼却炉阻止に失敗したのは、「なんとしても止めたい」という人がいなかったからです。無邪気にも問題の解決を訴訟に持ち込んでしまったくらいだから(行政訴訟は、よほど市民がしっかり勉強していないと負ける)。
・・・ところが敗訴が確定した後、住民たちは「ほんとは勝てたかも」ということに気づいたのです。昨年12月の話。
県東部ごみ焼却場 建設巡り新たに質問状 鳥取・郷原集落/鳥取
毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20151211/ddl/k31/010/511000c
鳥取市河原町国英地区で東部広域行政管理組合(管理者、深沢義彦市長)が計画するごみ焼却施設建設を巡り、地元の郷原集落は7日、八頭環境施設組合(同)に出した公開質問状の回答を公表し、問題があるとして新たな公開質問状を送った。同管理組合から岩美町を除いた4市町で構成する同施設組合は郷原集落などと2001年、可燃物処理施設「クリーンセンターやず」(09年6月末に廃止) の次期施設を同センター周辺に設置しないとする協定を締結したが、同集落が起こした訴訟で協定は同管理組合を拘束しないとの判決が確定している。協定の意味などを尋ねた最初の質問状に同施設組合は「建設予定地は、協定を踏まえて選定されており、意味の無い条項であったとは考えておりません」と回 答。集落側は「訴訟でも全く出てこなかった新たな事実」と指摘し、具体的な事実関係や資料を明らかにするよう再度質問状を出した。21日までの回答を求め ている。一方、同管理組合側も取材に「協定には拘束されない別々の組織ではあるが、同じ鳥取市長が管理者であることもあり、協定は尊重した」と述べた。【高嶋将之】
ひっくり返せたのにね。過去記事でも書きましたが、裁判の焦点となった官民協定は、一般の契約よりも強い拘束性があり、それを一方的に破棄することは公序良俗に反して違法です(この場合は自治法、憲法違反)。たとえば、富山県のイタイイタイ病被害者は、カドミウム汚染源の三井鉱山と結んだ公害防止協定をもとに、以来45年も施設に立ち入り調査を続けており、協定の効果は絶対なのです。従って公害防止協定を軽視したり、否定する輩は、完全な無知か、行政寄り人材と判断した方がいい。
それに行政機関や政治方針は「継続性」が求められており、「別々の組織」で通るはずはないんですが・・・ここまでくるとやはり市民側の勉強不足だったのでしょう。それにしても、現地には共有地があり、それさえ手放さなければ計画は阻止できたはずだったのですが・・・またひとつ公害施設を許してしまったなんて、ほんとに残念無念。2016.8.7