飯舘村の指定廃棄物焼却炉、1月にも稼働

 フクイチ後、止まるどころかさらに激しさをましている日本の「狂焼病」。来年早々、飯舘村で「指定廃棄物」を燃やす施設が正式に稼働します。指定廃棄物とは8000ベクレル/kg以上の放射性物質を含むごみ。以前は8000~10万ベクレル/kgでしたが、今回環境省サイトhttp://shiteihaiki.env.go.jp/faq/を確認したところ、上限が外されていました。「※1 長期管理施設に入れる量を減らし、性状を安定なものとするために焼却処理することで濃縮し、10万ベクレルを超える場合もあります。」

<仮設焼却施設>来月12日にも稼働開始
2015/12/26
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201512/20151226_61003.html

 東京電力福島第1原発事故で全村避難する福島県飯舘村の蕨平地区に国が設置した仮設焼却施設が、来月12
にも廃棄物の焼却を開始することが25日、分かった。環境省によると、今月15日に県による使用前検査を済ませ、21日に稼働の認可を受けた。すでに村内の除染廃棄物や周辺市町の指定廃棄物など500トン以上を施設に搬入。年内に焼却を始めると、年末年始の休業を挟んで作業効率が悪くなるため、年明けに開始することで調整している。施設は村内の除染廃棄物や家屋解体で出た廃材などに加え、近隣の福島市や伊達市、南相馬市、川俣町、国見町の5市町の稲わらや堆肥などの農林業系廃棄物と下水汚泥も受け入れる。処理量は1日約240トンを見込んでいる。稼働は5年を予定し、約36万トンを焼却する計画。周辺自治体の指定廃棄物も処理する初めての施設で、宮城県加美町の猪股洋文町長が今月13日、同県内の指定廃棄物も集約し処理することを提案した。飯舘村の菅野典雄村長は拒否する考えを示している

 飯舘村は避難指示区域で住民こそいませんが(避難指示解除準備区域は立ち入り可)、こんな事業をやるべきではありません。農林業系廃棄物や下水汚泥は放射性物質による汚染がもっともひどく、それを熱処理によって拡散することになるので。
 逃げることのできない植物は、フクイチのトリプル・メルトダウンによる死の灰を全身で受けました。何日も何ヶ月も。樹幹や葉にたまった放射性物質の一部は、やがて雨に流されて土に染み込み、そこから生える植物に取り込まれるという負のサイクルが続いています。下水汚泥は各地から集まってくる放射性物質を含む汚水を濃縮したものなので、放射能濃度はさらに高い。・・・これらは本来、一箇所にまとめて動かさないで保管すべきで、決して燃やしてはいけません。燃やすことによって、物質を構成している分子は活発化し、ガス化したものはそのまま外界に出ていくので(バグフィルターではガスはキャッチできない)。
 汚染の再拡散というわけです。しかも、汚染物質は国境を超えて地球上に広がってゆくーーこういうことを考えつく業界・企業、それを平気で承認した政府、根拠もなくOKサインを出す学者、彼らはみんな、「人道に反する罪」を犯しているのです。ま~、私は、原発政策そのものも「人道に反する罪」だと考えていますが。
 この焼却炉は、福島県・鮫川村の指定廃棄物焼却のための「実証炉」で得られたデータを元に建設されたものですが、爆発事故を起こした欠陥炉の何をモデルにするというのか、意味不明。現在、その実証炉の報告書を公開請求中ですが、その公開日時の決定が引き延ばされているのは、この飯舘村焼却炉の稼働時期との関係でしょう。来年も「戦うしかない」年になりそうです。みなさんもがんばって!2015.12.31

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/