風車取り壊し決定、今後も広がりそう(英)

 今年の最後にひとつうれしいニュースを。

 イギリスの「湖水地方(lake district)」といえば美しい景観とワーズワースの詩で有名ですが、そこに次々と建設された巨大な風車群が取り壊されることになりました。人々の力です。以下、The Timesの記事の超訳です。

 

イギリス、風車解体を開始  湖水地方の反対運動成功を受けて

湖水地方の周囲に建設された1ダースもの巨大風車(高さ42メートル)が来年夏には解体されることが決まった。今後、景観を取り戻すために、さらに多くが撤去されることになるだろう。

カンブリア州ファーネス半島のカークビームーアの風車は、イギリスに風車が出現し始めた1991年以後、撤去が決まった最初の巨大風力発電所になる見込みだ。建設が許可された1992年当時、風車は2018年8月までに撤去される計画だった。そのあと、事業者は2027年までさらに風車を稼動させることを求めたが、NGO「湖水地方の友(FLD)」や「オープン・スペース・ソサエティ(OSS)」などが、湖水地国立公園の景観を損なうとして風車撤去の運動を展開。議会はその活動を受けて、事業者の申請を拒否したもの。湖水地帯のはずれから最も近い風車までは800メートルしかない。FLDの活動家はこう述べる。

「この決定が先例となって、視覚的に問題のある他の地域でも、事業者が当初の期限が切れて稼動延長を申し入れても抵抗しやすくなるだろう」「この決定は地域コミュニティの勝利だ。1990年代に政府が再エネを押し付けて以来、地域住民は風車開発の影で暮らしてきた。この決定は、自分たちの声を届けたいという彼らのたゆみない努力を反映したものだ」。

 またOSSの総書記は「風車は自然景観の大きな障害物だ。どの方向からもはっきり目に入り、特に国立公園の景観をだいなしにするため私たちは反対してきた」、「それだけでなく、風車は登録された共有地のかなりの面積を占領している。人々はその共有地を歩き、家畜を養う権利がある。ムーア(草原)にはたくさんの道も通じている」「私たちは、今の同意が来年切れた後には、何の痕跡もなく風車が撤去されることを求めている。そうすればすばらしい共有地が復活し、往時の栄光が戻るだろう」

 

 記事には書いてありませんが、世界中に何万もの風車ができた今も、CO2はほとんど減っておらず、それどころかエネルギー生産量も一桁台と伝えられています。そして、電力料金はうなぎのぼり。建設や稼動のコストに対する政府の厚い補助金があるにもかかわらず…日本でも同じ。FITの再エネ分担金を通じて再エネ制度を支えているのは国民なのですが。

 中でも「再エネ優等生」の、ドイツ、デンマーク、南オーストラリア州(オーストラリア)の電力料金高騰はひどく、オーストラリアでは、料金を支払えない電力難民が現れ、事業から撤退したり、移転する企業も少ないとか。風車の低周波による周辺住民の体調不良、身体被害はいまさら言うまでもありませんが、計画中、あるいはすでに建設されたところでは、その被害を徹底的に無視するという事態も世界共通。いったん建設されると、地域は壊滅に追い込まれることを知っておきましょう。

 さらに、胸が痛むのは、毎年、多くの鳥類が犠牲になっていること。特に猛禽類、蝙蝠など、生態系に大切な鳥たちが何千羽、何万羽と命を落としています・・・。

 2018年は、日本の再エネ教の人々も、いいかげん神話から目覚めてほしいものです。

 今年もいろいろありがとう。来年もよろしくね~ 2017.12.31

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/