野焼きとぜんそく

 渡良瀬のヨシ原の件で、「野焼き」と「ぜんそく」で検索したら、すぐにひっかかってきたのがこのQ&Aです。埼玉県深谷市の主婦が「野焼きについて」の苦情と、それに対する回答。2008年1月10日付け。文章は多少編集してあります。http://www.city.fukaya.saitama.jp/hisyositu/tegami/cat2/000044.html

【ご意見】 我が家には喘息の子供がいます。毎年、秋から冬にかけて近隣でのたき火や野焼きの煙によって、発作が誘発されてしまうことがあります。(中略)家中が煙くなるほど、外が煙で白く見えるほどひどい時には、発作が起きないか心配で、外に出るのもためらわられる時すらあります。確か、たき火・野焼きは禁止されているのではと思うのですが、違うのでしょうか。農業で必要でやっているものはある程度しょうがないときもあるとは思いますが、個人のお宅での焚き火に関してはゴミに出せば済むことだと思います。幼稚園・小学校の近辺でも個人のお宅でたき火されていて、子供たちの健康について心配に思うこともあります。
 市長もご存じの通り、喘息は発作が起きると非常に苦しい病気です。
 普段どんなに気をつけて生活していても、薬をきちんと飲んでいても、1回の野焼き・たき火による激しい煙を吸ってしまうことにより、発作がおきてしまうこともあります。個人で気をつけるには限度があります。ここを引っ越すわけにもいきません。第一、乾燥している時期にたき火や野焼きをするのは、危険だと思います。市としてはたき火・野焼きに関してどのような考えなのか、また罰則等を設けることはできないのか、消防署と連携し広報や自治会を通して野焼き・たき火を制限することはできないのか、回答をお待ちしています。

 「ゴミに出せばすむ」ことではありませんが、野焼きに苦しんでいるのは、おそらくこの子だけではないはず。でも、「習慣」とか「行事」と言われると反対できないのです。
 これに対する市の回答は、非常にいいかげん。

【回答】野焼きにつきましては、法令で禁止されており、罰則規定も定められておりますが、例外として農家が行う害虫駆除を目的とした焼却や、たき火などは、煙や悪臭等で周辺に著しい悪影響を与えない限り認められております。こうしたことから、野焼きの行為を発見した際には、市環境課へご連絡をいただければ、現地におきまして指導を行ってまいりたいと考えております。また、市では野焼きによる悪臭や煙害などの発生を防止するため、今後とも、県や消防署等と連携を密にして、市内のパトロールを実施するとともに、市の広報や公民館だよりで野焼き禁止の啓発を行ってまいります。

 「原則禁止」のはずが「原則OK]と聞こえるのは、市が野焼きを「悪臭や煙害」の元としてしか考えていないからでしょう。実際は、野焼きによって発生した微小PMは(場合によってはPM2.5よりはるかに小さい)、心臓や肺に大きなダメージを与え、子供の傷害を引き起こすほどの汚染物質なのです。従って、無届野焼きは公害防止義務違反で現行犯逮捕してもいいくらいなのに、公務員の無知! 考え方を変えてよね。ヨシ焼きは止めなさい(怒)。手で刈ろう、と呼びかけた方が、首都圏から喜んで人が集まるはず。2013.3.7

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/