環境省は、福島県にもう一つ、指定廃棄物の焼却炉を完成させていました。処理対象は、高濃度に汚染された下水汚泥や汚染土砂だけということで、記事にあるように「全国初」…実験施設をいきなり事業化するという手口は環境省ならでは。
減容化施設が完成 県県中浄化センター
放射性物質含む汚泥焼却
2013/08/06 08:59 http://www.minpo.jp/news/detail/2013080610114
東京電力福島第一原発事故により下水の汚泥がたまり続けている問題で、汚泥を減容化するための焼却施設が5日までに全国で初めて、郡山市の県県中浄化センターに完成した。設置した環境省は9月から運転を始める予定。同日、県と関係市町村、報道機関に施設を公開した。焼却施設は、約850度で高温燃焼させ、容積を約20分の1にする。臭いの発生も抑えられるという。24時間連続運転し、1日当たり90トンを処理できる。汚泥置き場に隣接する前処理テントで木の枝や石などを取り除いた上で焼却する。
同省が焼却するのは、「指定廃棄物」となる放射性セシウム濃度1キロ当たり8000ベクレル以上を含む汚泥約1万1千トンと臭い対策でかぶせた覆土約4千トン。今年度末をめどに処理する。焼却灰は同2~3万ベクレルになると見込む。10万ベクレルを超えない限り、敷地内のコンテナ内で一時保管し、富岡町の既存の管理型処分場へ搬送する予定。町側と調整している。敷地内の4カ所にはモニタリングポストを新たに配置し、ホームページ上で測定データを公開するという。同浄化センターに保管されている汚泥は現在約2万8千トンで県内最大。センターの供用エリアは郡山、須賀川、本宮、矢吹、鏡石の5市町で、1日当たり約80トン発生している。昨年4月以降、発生する汚泥はおおむね同8000ベクレルを下回っている。同省の処理対象にならない上、肥料の原料にも使える基準値(1キロ当たり200ベクレル)を上回っているため、手付かずのまま、たまり続ける状況は今後も続く。県は新たな汚泥置き場として敷地内に約8500平方メートルの「第三保管場」の整備を進めている。同省は4月から、福島市の堀河町終末処分場に汚泥を減容化させる下水汚泥乾燥施設を稼働させている。
記事の最後にある「乾燥施設」の報道は知ってたけど、焼却炉とセット、しかも行き先が普通の管理型処分場、期限付きの処理で責任逃れのシステム・・・これをモデルに、同じ処理を全国展開しようというのが環境省=ごみ処理産業界の魂胆でしょう。福島は特にねらい目。
でも、誰もが「羊」というわけじゃないから。問題の深刻さを知っていれば、たとえ燃やすのが2トンでも、住民は反対に立ち上がるものです。
松戸市の汚染焼却灰
住民反対で手賀沼終末処理場への搬入断念
千葉
MSN産経ニュース-2013/08/01
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130801/chb13080122460010-n1.htm
千葉県松戸市は1日、国の基準値(1キロ当たり8千ベクレル)を超える放射性物質を含む焼却灰を、手賀沼終末処理場(印西、我孫子市)に設置された県の一時保管施設に搬入する作業を再開しようとしたが、地元住民らの反対行動で中止した。今後の搬入は未定という。同日午前9時すぎ、焼却灰2.44トンを乗せたトラックがクリーンセンターを出発。終末処理場入り口付近で住民ら約40人に取り囲まれたため、到着から約6時間後の午後4時半ごろ、搬入を断念して松戸市内に引き返した。松戸市は昨年12月から今年1月にかけて、市クリーンセンター(同市高柳新田)で剪定枝などの焼却を行った際に出た基準値を超える焼却灰約52トンを終末処理場に搬入。2月以降は搬入を中断していたが、センター内の保管場所が切迫したため再開を決めた。この問題では我孫子市が再開中止を強く求める要請文を松戸市に出している。
ましてや福島市や郡山市の下水汚泥や溶融スラグからは、30万~40万ベクレルが測定された「実績」があるのですが(2011年5月)、誰もそれに対処してこなかったようです。
http://www.asahi.com/national/update/0508/TKY201105080250.html
本来、環境に関する公共事業は、「無害の証明」がなされるまでやってはいけません。
そのためにも、公務員が無知でいることは許されない。だから、「わかりません」「答えられません」と公務員が言うような事業は、限りなく犯罪に近いのです。福島県では、公務員も市民も現実に目をつぶることで責任を逃れようと考える人が多いのかもしれないけど、生き延びようと思えば、知識を身につけ、現実を直視しないとね。2013.8.7