途上国に出張、ワクチンは?

  ワクチン反対の会のFBに、「インドへ行くことになったが、A型肝炎や腸チフスや狂犬病ワクチンも危険かどうか教えてほしい」との質問がありました。同様の質問は割と多いので、私の考えを簡単にまとめておきます。

 まず、インドは発展途上国でありながら、ワクチン大国でもあり、1歳までの子どもたちに腸チフスワクチンを含む11種のワクチンが打たれています(多くが追加接種あり)。インドに赴任する大人にも、いわゆる「トラベラーズワクチン」の接種が強く勧められていますが、基本的に都市に住み、清潔な水や食物、良好な衛生状況が確保されていれば、このような病気にかかることはほとんどありません。逆に、ワクチンを打つことによる副反応のリスクはゼロではありません。従って、渡航者は自力でこれらの病気について、そして各ワクチンについてリサーチし、十分な知識をつけて判断することが必要です。

   各ワクチンの「添付文書」が最も参考になるでしょう。

以下、山本の簡単チェックです。

A型肝炎ワクチンhttp://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00025507.pdf

日本産ならエイムゲン(KMバイオロジクス㈱製造、アステラス製薬㈱販売)で、製品には「アジュバントは入っていない」と宣伝されています。でも、もともとアフリカ緑ざる腎臓由来細胞で製造されたワクチンで、安定剤などとしてMSGやポリソルベート80など神経毒物も含まれていることから、重大な副反応も出ると考えられます。しかし、添付文書には発熱や下痢など、比較的「軽い」副反応しかあげてありません。これは日本ではHepAの発症が少なく、ワクチンを接種する人も多くないためでしょう。

海外製品はGSK社のHavrixTwinrixHavrix には普通のワクチン副作用に加え、「まれ」な症状として寒気、頭痛、声が出ない、胸がしめつけられる、などさまざまな症状が記されています。詳しくは薬剤副作用を追っているこちらの↓サイトで確認してください。https://www.drugs.com/sfx/havrix-side-effects.html

Twinrix :https://www.gsksource.com/twinrix

  「海外ではA型肝炎とB型肝炎が混合されたワクチンや、A型肝炎と腸チフスが混合されたワクチンが使用されており、今後、日本での承認が期待されている」とのことです。トラベラーズワクチンとしてのA型肝炎ワクチン

 

★腸チフスワクチン 腸チフスワクチンについて – IDSC Infectious Disease …

 日本ではパラチフスワクチンとともに1970年代まで接種されていましたが、強い副作用のために中止されました(医薬産業界は完全に忘れたふり)。現在、世界で流通しているワクチンは経口タイプ1、注射用2と3種類ありますが、いずれも日本では未承認—-副作用が出ても補償されません。

①弱毒生ワクチンのTy21aタイプ。商品名:Vivotif Berna。弱毒菌入りカプセルで、対象6歳以上。1カプセルを1日おきに34回服用させる。効果の持続は5年。

②筋注用のVi 多糖体ワクチン、商品名Typhim Vi。チフス菌のVi莢膜多糖体抗原を精製したワクチン。対象2歳以上。1回の接種で効果が2~3年持続する。2年ごとに追加接種する。全菌体不活化ワクチンと同様の副作用があるが、その程度は比較的軽い。

③全菌体不活化ワクチン(加熱フェノール不活化またはアセトン不活化)。加熱フェノール不活化ワクチンは、日本でも使用されていた。アメリカでは現在も経口ワクチンが使用できない人に使用されている。商品名は、Typhoid Vaccine, U.S.P., Typhoid Vaccine(Acetone-killed and dried)である。初回4週間間隔で2回皮下接種し、3年ごとに追加接種を行う。効果は2~3年持続するが、発熱、頭痛、全身倦怠感、局所の腫脹、接種部位の疼痛・硬結などの副作用が非常に強い。 

 

狂犬病ワクチン

 狂犬病ワクチンについてはまだ詳しく見ていませんが、とりあえず見送ってもいいかと。なぜなら;

 ①動物(犬に限らず)に噛まれた「後」の接種でも同等の効果が得られるとあるからです。

海外などで動物に咬まれた場合には、その直後から連続してワクチンを接種する暴露後ワクチン接種により発症を抑えることができます。狂犬病ワクチンは、ウイルスの毒性をなくし、免疫をつけるのに必要な成分を取り出してワクチン化した不活化ワクチンで、予防のためにあらかじめ受けておく暴露前接種と同種のものを使用します。このワクチンを受傷直後(0日)、以降371430および90日の計6回皮下に注射します(国内標準法)。また加害動物が明らかな場合、その動物が加害以後10日以上生存していることが確認された場合は、加害動物に狂犬病の感染はないと判断されワクチン接種は中止となります。

 打つワクチンは「予防接種」と同じ、それなら、無理して事前に打たなくてもと思います。

 ②また、日本の狂犬病ワクチンは、例の「違法製造」事件で(動物ワクチンでも不正があった)すっかり信用をなくした化血研が製造していた(100%のシェアを誇っていた)ので、慎重になってもいいと思われるからです。ちなみに同社の事業は今年7月にはKMバイオロジクス㈱に承継されていますが、これについてはいずれリポートしますね。

 ということ。医薬産業界にとって、途上国は「不潔の巣」に見えているのでしょうが、アトピーやアレルギーだけでなく、精神的病も日本の方がずっと多い。インドに行くなら、地べたに寝っ転がったり、聖なる牛とたわむれたり、ガンジス河で沐浴するなどしない限り、汚染や不衛生による病気に感染することはありません。そのあたりを考えて合理的に判断してね。2018.11.22

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/