行き詰まるごみ広域処理:田川市(福岡県)

 「ごみ処理広域化計画」は、技術的な面での失敗に加え(売り物のガス化溶融炉、灰溶融炉で火災、爆発、故障、漏洩などがあいついだ)、コスト面でも行政の負担が大きいことが明らかになっていますが。また「広域離脱」のニュースです。まず福岡県田川市。

田川地区新ごみ処理場:「特別委は不要」 市議会委、単独運営容認に傾く/福岡
毎日新聞 2013年10月19日 地方版 
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20131019ddlk40010356000c.html
 田川市議会の厚生委員会が18日あり、新ごみ焼却施設建設に関する特別委員会設置の可否を審議した。特別委は新施設での広域処理を念頭に置いたものだったが、委員長を除く委員5人中4人が「広域処理は今更無理で特別委は不要」などとした。21日の市議会代表者会議で審議結果が報告される予定で、特別委の設置が遠のくことで、市議会も市の単独運営容認に傾きつつある。市は当初、川崎・福智・糸田町と共に新施設を建設・運営する計画だったが、3町が求めた白鳥工業団地(田川市)での建設を伊藤信勝市長が拒み、福智と糸田町が離脱。川崎町も独自施設を造ることを決めた。連携相手を失った市は最終的に白鳥工業団地に独自施設を造ることを決めたが、周辺の企業や住民は「狭い地域に複数のごみ施設は不要。住民の負担も増える」と広域処理を要望。9日の市議会代表者会議でも、広域処理を視野に入れた特別委設置を求める意見が出ていた。【荒木俊雄】

 単独運営に「戻った」というのに、「周辺企業や住民」が広域を希望? 大気汚染を含む、広域の「害」を知らないんじゃないの? それに、田川市の人口は5万人足らず。その気になれば、離脱組の自治会と共同で「焼却炉に頼らないごみ処理」も可能なはず。ちゃんと勉強してほしいものです。 次は岐阜の広域組合。住民の反対で計上した予算を使えないという事態に陥っているという話。

行政ファイル:ごみ処理場用地取得費を不執行/岐阜
毎日新聞 2013年10月19日 地方版http://mainichi.jp/area/gifu/news/20131019ddlk21010070000c.html
 岐阜、羽島、岐南、笠松の4市町でつくる「岐阜羽島衛生施設組合」の組合議会は18日、羽島市内に計画している次期ごみ処理施設建設予定地の用地取得費10億円を不執行とする2012年度決算を可決した。地元の反対で用地買収の交渉が暗礁に乗り上げているため。今年度も不執行となる可能性が高いという。現在稼働中のごみ焼却施設は16年3月末で停止の予定。4月以降は既存の処理施設がある岐阜市以外の3市町でごみ処理ができなくなる恐れがある。

 これが「組合議会」の判断というから驚かされます。さまざまな力関係・政治的背景があったのでしょうが、普通の市町村議会が首長与党と化している中で、地元の反対を受け止めた形となったのはすばらしい。こちらも、現行焼却炉の停止までに、住民を入れた現実的な打開策を探ってほしい。…あるいは、もう打開策があるのかも。「燃やさないごみ処理」のヒントをお求めなら、山本までご一報下さい。2013.10.23

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/