芦名、協定書は改訂されている!

 横須賀市の処分場がある地域の代表が、昨2月17日、がれき受け入れ案の「撤回要請」を知事に手渡しました。http://www.youtube.com/watch?v=YUdCq9aR540&feature=youtu.be
 「がれき受け入れ」で大騒ぎがおきた去年12月以来、この役員会は全くの沈黙を守っており、私は県と水面下交渉をしているのだろうとにらんでいました。そこに出てきた撤回要請、以下の四項目を求めていますが、残念ながら予想があたりました。 
一、神奈川県は黒岩知事が表明した震災がれき焼却灰の持ち込み案を撤回すること。
二、神奈川県は芦名町内会との間に結ばれている「産業廃棄物最終処分場の建設と運営管理に関する協定書」の改定を断念し、従前の規定を遵守すること。
三、神奈川県は放射能に汚染されたすべての廃棄物については、今後も「かながわ環境設備センター」に搬入しないこと。
四、神奈川県は、本件に関して地域と個別に交渉をしないこと。本会が必要と認めた場合に限り、窓口は大楠連合町内会役員会とすること。
 これはまるっきり行政の作文です。以下、一項目ずつその理由をあげます。
一、「黒岩知事が…持込案」以外はかまわない、という意味。一般の人たちはそうは取りませんが、行政的な解釈は「それ以外はOK」となるのです。
二、本当にがれき焼却灰を入れたくないと思えば、「住民(もしくは町内会)は、協定書の改訂に決して応じない」、この一行で済みます。なのに、県に「断念せよ」とせまってどうすんの?
三、ここ注意。この文章には法的なことが一つも書いてないので、ここでいう「放射能に汚染された」というのは、100ベクレル以上のものを言います。つまり、「100ベクレル以下ならOKよ」という意味。しかも、実際に廃棄物や焼却灰を現地に持ち込むのは業者だから、「業者の持ち込みは別にかまわんよ」という意味にもなります。
四、これはひどすぎ。大楠の長老連は、今後、実際の焼却灰受け入れは自分たちだけが窓口になると言っているわけ。保守系政党などのバックアップもあるでしょうが、非民主的、独裁的で危険です。芦名の処分場を誘致したのも同じ長老たち。この連中を変えない限り、現地の苦難は続きます。
 これまでの取材によって、この役員会は一度も住民相手にこの問題を説明することも、総会を開くこともなかったのがわかっています。今回の撤回要請も17日まで公表されませんでした。総会を開いて、「絶対反対」「協定を改訂するな」との決議になるのを避けたのでしょう。
 おそらく、協定書は秘密裏に改訂されているでしょう。
 その理由は二項にある「従前の」という形容詞。新に対する旧を言うので、政財官はすでに、現実的な受け入れに向かって動き出しているはず。問題をはっきりさせ、あらためて有効な文書を入れさせることが必要です。横須賀三浦地域だけでなく、神奈川県内のみなさん、ご協力を。
2012.2.18

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/