「今は、南本牧の焼却灰埋立は凍結されています」との言葉を誰かから聞いて、ん?と思いました。横浜市が突然、下水汚泥焼却灰受け入れを発表したのに、市民が反対して抗議活動をくりひろげ、この事業を「凍結」させたのは去年9月です。でも、ごみの焼却灰・飛灰の受入れはずっと続いているのですね。
南本牧処分場、セシウム対策に新堤防 灰隔離し吸着物混入 横浜市が設置方針/神奈川
横浜市は13日の市議会常任委員会で、ごみ焼却灰を埋め立てている臨海部の南本牧廃棄物最終処分場(中区)で、放射性セシウムが周囲の海水に溶け出す恐れがあるとして、新たな堤防を設けるなどの対策を取ることを明らかにした。埋め立てているのは焼却灰と、焼却炉内で飛散していた「飛灰」で、セシウム濃度は昨年11月で焼却灰が1キロ当たり160~220ベクレル、飛灰は同500~1310ベクレルだった。同処分場は海を堤防で仕切った内側に焼却灰を埋め立てており、外側や内側の水からセシウムは検出されていない。しかし市は今後、濃度の高い飛灰からセシウムが溶け出すことが予測されるため対策を決めた。堤防新設工事では、高さ5メートル程度の堤を110メートル築いて新たな区画を作り、そこに飛灰を隔離する。飛灰にはセシウムを吸着する鉱物「ゼオライト」などを混ぜる方針。堤防設置には費用約1億3000万円がかかる見込み。毎日新聞 2012年1月14日 地方版
http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20120114ddlk14040302000c.html
飛灰は放射能レベルだけでなく、重金属やダイオキシン含有度も高いことで知られる有害物質。東京湾から横浜ー川崎にかけての海面処分場一帯にはもう相当、汚染が広がっているはずで、本当は、下水汚泥焼却灰だけではなく、汚泥焼却そのもの、ごみ処理のあり方まで切り込まないと、問題の解決にはならないのですが……なお、この件に関して、横浜市は「開始時期は延期」と述べる一方、「十分な説明をするまでの間、凍結」、とよくわからないことを言っています。
「9月14日の市長の記者会見において説明させていただきましたとおり、下水汚泥焼却灰の埋め立てについては、まず、周辺にお住まいの皆様や港湾関係者をはじめ関係する方々のお声を聴き、説明をしっかりと行っていくこととし、開始時期については当面延期することとしました。関係する皆様への十分なご説明を行うまでの間、埋立てそのものは事実上「凍結」しています。」
この行政的言い回しを普通の日本語に直すと、「一時的には停めてやるが、あきらめてはいないぞ」というところでしょうか。担保をとらずに、行政の「凍結」や「中止」をそのまま信じるのは危険。油断めされるな。2012.1.26
終わってない本牧の焼却灰埋立
この記事を書いた人
山本節子
調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
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