米子産廃問題、医療廃棄物の違法埋め立て、県市も共謀

 鳥取県米子市、米子の水源地に計画されている「鳥取県による」「産業廃棄物(業界のための)処分場」問題で、新たな不祥事が表面化していました。現地の反対グループからの情報で初めて知ったニュースですが、ネットの情報も少なく、地元でも一部の人しか知らないのではないでしょうか。

 

『淀江の産廃計画 隣接処分場の調査申入れ 下泉自治会員

(日本海新聞H31216 米子市淀江町小波で計画される産業廃棄物管理型最終処分場建設に反対する同市の下泉自治会員が14日、計画地に隣接する一般廃棄物最終処分場をめぐり、鳥取県が県西部広域行政管理組合と委託事業者に勧告を出したことを受け、市と組合に一般廃棄物最終処分場の調査を申し入れた。県は昨年12月、一般廃棄物最終処分場に19891月から数か月間、医療系廃棄物が埋め立てられたと言わざるを得ないとして、法令遵守や再発防止を勧告。これに対し、組合は1月の組合議会で、医療系廃棄物を特別管理廃棄物とする改正廃棄物処理法の施行前だったと説明した。申し入れでは、過去20年以上にわたって事故や環境上の問題がなかった一般廃棄物最終処分場に隣接することを、産廃処分場計画地の選定理由とする県環境管理事業センターの説明が崩れたと指摘。市と西部広域による委託事業者の調査が必要とした。(田子誉樹)

 

わかりにくいし、肝心の業者の名前も書かないという極めて不誠実な記事ですが…委託事業者とは環境プラント工業㈱。新産廃処分場計画でも、初めから事業者に決まっていたのは、鳥取県、米子市、産業界、廃棄物業界とつながりが強いからでしょう。そして、この企業は、埋立てが禁止されている医療系廃棄物を公然と受け入れ、不適切な管理を行っていたのだから、これはとんでもないスキャンダルです。

これに関しては地元の反対グループから届いた説明↓がわかりやすい(強調山本)。

「昨年1216日に開かれた産業廃棄物管理型最終処分場建設計画に対する、意見調整会議において、「平成2026日、西部広域行政管理組合と環境プラント工業との最終処分場堰堤築堤工事に係る事務打合わせ」において、重大な問題が論議されたことが明らかになりました。この会議は、第2処分場の小堰堤建設が必要となり、埋め立て廃棄物上に構造物建設の場合には、その基礎処理をどのようにするのかが大きな問題となっており、環境プラント工業社長は、地盤改良工事のため掘削されることを非常に危惧していたときの会議録です。環境プラント工業の河本社長が「第一処分場なんかね、あの中で火を何回も燃やしてますから、ああいうところを掘れと言われたらうちは一番怖いんですよ。(中略)それから医療関係のものみんな入っているでしょうそれが腐っているかと言ったら、全く腐っていませんから。だからそういう事を言われると痛い目があるんで」など、驚くべき事実を明らかにしています。こうした発言に対し西部広域行政管理組合の内田局長は「社長が先ほど言われたように、本当に地下というのは、どうなっているのかわからない」など最終処分場の危険性を証明する発言もしています。これは第2処分場も危険だと社長自らが証言している発言と取れます。

この会議録によれば、西部広域行政管理組合、米子市は連携して環境プラント工業の「廃掃法」違反の事実を隠蔽していることが明らかです。そして、環境プラント工業の「開発協定」違反を知りながら、米子市も、県も、環境管理事業センターも一体となって産廃処分場計画を推し進めていることは、住民を愚弄し、住民の安心安全を投げ捨てた態度に驚きと怒りを禁じ得ません。県は、「環境プラント工業が20年にわたって安全に運営してきた。同社の安全、安心の運営のノウハウが活用できる」と繰り返し回答してきましたが、その信頼性が裏切られた今、環境プラント工業に任せるのでなく、きっぱりと中止することが住民の安全安心に答えることになります。(文責:山根一典)

 

そういえば、現地では、処分場から処理水を流している川には生物の姿が見えない、紫色や緑の浸出水を目にしたことがある、悪臭と頭痛など、事業実態の劣悪さをものがたる話をいろいろ聞きました・・・でも、これは廃棄物処分場周辺ではごく普通に見られる事象です。今のような廃棄物焼却や処分が行われている限り、どんなに最新な施設でも、「安全」とされても、周辺は汚染され、住民の健康は害されるのです。そして状況が悪化すると、やがて「がんの村」や「病人ばかりの村」が出現する…だからEUでは、廃棄物処分場が健康被害と環境汚染を招くことが明らかになったとして、「埋め立て指令」を出し、その建設を禁止しているのです。廃棄物処理事業は環境犯罪・傷害罪相当です。これはやがて世界的認識になるでしょう。

ところが、産業活動を最優先する日本では、その事実を知りつつ見て見ぬふり。それも、行政が事業者に代わって(=市民の税金で)ごみ処理事業を行っているため、共謀して、そして総がかりで隠ぺいが行われ、誰も責任を取らなくていいシステムとなっています。私が目を通した西部広域の資料にも、これに類する説明など一切ありませんでしたが、墨塗りが異常に多いことを考えると、公式な資料には残されていないのでしょう。ひどい話です。

もちろん、ぼけっとしている市民も悪い。私が見る限り、淀江地区は政治屋と地元ボスと完全に抑え込まれ、声をあげたくてもあげられない地域です。こういうところには悪質な事業者が集まりやすい。今回、鳥取県が勧告を出した背景はよくわかりませんが、2月14日の通知(「一般廃棄物処理施設に係る事業者等への指導について」2019214報告事項(PDF:815KB))を読むと、「内部通報」ではなく事業の都合によるのかも・・・つまり、事業の前提に何らかの変化が起きているわけですね。

この通知を受けて、地元の下泉自治会員がすぐ「市と組合による調査を」を申し入れたとありますが、今さら悪質事業者、悪質西部広域(米子市など)に調査を求めても、「安全、問題なし」という答えしか返ってこないでしょう。それよりも、進行中の「淀江産廃処分場計画」の手続きをすべて中断した上で、住民の安全と健康がないがしろにされ「続けてきた」ことを問題視し、知事や市長、環境プラントに「それぞれ」説明を求めるべきでしょう。2019.2.24

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/