神奈川県が教えようとしないインフル「警報」の仕組み

 神奈川県のインフルエンザ「警報」について、県から闇夜のカラスのような答えがありました。以下はそれをまとめたものですが、市民感覚とのズレは大きい…。

 ●「警報」を出したのは、各医療機関(345の観測定点)から保健所に届けられる患者数が増えたため。前週の7329から11689になった(ただし各定点の数字は不明)。
 ●医療機関から来るデータをまとめるのは保健予防課。生資料はウチ(健康危機管理課)にはあがっていないし、出せとも言えない(理由不明)。ただの報告なので(??)行ってすぐもらえるようなものではない(??)。窓口は衛生情報課(??)。担当者や内線番号は…わかりません(??)
 ●「警報」の根拠は、感染症情報センター(国立感染症研究所)が出している「感染症発生動向調査事業実施要綱」でした。

 生データも取らず、根拠法も知らずに仕事していた・・・それで通じる? まるで医療マフィアの「患者が増えたぞ、警報を出せ、ワクチンを勧めろ!」という指示に、「ははーっ」と従っているだけのようで、納税者として納得できません。独自に判断する能力も意欲もないのに、「医療行政」なんてできるのでしょうか?

 それに、この回答にはいくつもごまかしがありました。
 ●平均値を出している根拠については答えず。
 ●保健所からあがってきた患者データをとりまとめているのは、「神奈川県衛生研究所(http://www.eiken.pref.kanagawa.jp/000_about/00_main.htm#intro1)」ですが、彼はこの機関の名さえ言わず、連絡先も不明としたのです(衛生情報課とはこの研究所の窓口)…教えるな、という指示があったのでしょう。
 ●神奈川県衛生研究所は、平成12(2000)年から、それまで保健予防課が行ってきた感染症情報の業務の移管を受け、さらに、平成24(2012)年4月から県の基幹感染症情報センターとして機能しています。保健所の定点データは、この研究所及び本庁に直接報告されることになっているから、「ウチにはデータがない」などと言えるはずがない。
 ●感染症発生動向調査事業実施要綱 – 厚生労働省にも、「都道府県などの本庁にあっては、それぞれの管内の患者情報について、保健所からの情報の入力があり次第、登録情報の確認を行う」「都道府県等の本庁にあっては…地方衛生研究所から送付された病原体情報について、直ちに中央感染症情報センターに報告する」とあります。

 つまり、感染症情報は本庁に優先して集約されるシステムなのです。これは、政治的判断を行うのは本庁だから、ごく当然で、県の「警報」は研究所の
「インフルエンザの流行警報がでました!」とほぼ同じ。でも、こんな基本的なことさえ県民に伝えないのが今の黒岩県政・・・県には衛生研究所を突っ込んでほしくない理由がありそうです。

 なので、1月末~2月初めに、「麻しんワクチンとインフルエンザワクチンについて」というテーマで、次の話し合いを求めておきました。でも担当者はひたすら逃げ腰。「連中とはもう話をするな」という指示でも出ているのかもしれませんが、責任ある行政には情報収集は欠かせません。自らその情報を取れないのなら、市民が得ている情報を活かすのが一番なはずです。新年にあたり、逃げ回らず、私たち県民とちゃんと対面することを約束してほしいもんです。2015.1.13

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/