帰国した翌日(9日)、早朝に起き、雨の中、お客さんを連れて、東京
江東区のごみ処理施設(焼却炉、灰溶融炉、処分場)を見学しました。
お客さんとは私に大都市のごみ処理について取材を申しこんできた、
香港市立大学の「(環境)政治学」を学ぶ女子学生四人。この「東京・
ワースト・サイト・ツアー」には江東区議会議員さんや活動家の方も
参加してくださりとても有意義でした。
私は以前、香港市会議員にごみ焼却処理の問題点をレクチャーし、
マスコミに取り上げられたことがありました。彼らはそのルートで私に
アクセスしてきたようです。2005年当時出ていた、大陸側への焼却
炉建設計画には、NGOなどが強く反対していましたが、今出ているの
は無人島への建設計画です。それでも議論はやはり大きいそう。
焼却炉など見たことも、ごみ処理の現実的イメージもない若者を、こ
んなツアーに連れてゆくのは実はちょっと冒険です。江東区の施設は、
たとえば焼却炉をとっても、事業費880億円という、思いっきりカネを
つぎこんだメーカーのショウケース、「素晴らしい」と焼却賛成派に回ら
れてはたまりません。現に、朝会った時点では、「私たちはまだ焼却
炉がいいとか悪いとか結論は出してません」だと。あらら…
結局私が通訳することになりましたが、驚くべきことに、どうしても口
からは中国語が出そうになるのです。英単語は全く浮かばず・・・これ
は「慣れ」ですね。おまけに最後は、汚染施設に行くと必ず襲ってくる
頭痛が……他のメンバーがフォローしてくれて助かりましたが。
時間も限られていて、私自身は学生たちに何の講義もしていません
が、先進的な施設や美麗字句で固めたビデオを見た彼らは、かえって
疑問をもったようです。最後に駅前でお茶を飲んだ時、「美しい香港島
を守るのはあなたたちの役目、帰ったら焼却炉に反対し、香港の自然を
守ってくれる?」と聞くと、彼らは私の目をまっすぐ見て「はいっ!」「そう
します」と答えてくれました。うーん、ジャーナリスト冥利につきます。
この日は私の読者の一人も参加してくれ、中国人とのいいかけ橋に
なってくれました。こういう若者たちを増やすのが、私の今後の課題です。
まったく楽観はできませんが、すこし将来に希望が持てるような気がした
一日でした。(2009年1月10日)