関東では、沖縄のことはあまり報道されませんが、見過ごせない「事件」が、米軍の沖縄ヘリパッドの工事現場でおきました・・・といってもぼうりょくじけんではなく、「暴言」事件ですが、多くの人々が心の中で血を流したはず。
ちなみに、問題の動画はここ→https://www.youtube.com/watch?v=RN4quKDmf3s
「ぼけ、土人が」機動隊員が反対派に
毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20161019/k00/00e/040/225000c
大阪府警から派遣の20代 沖縄県警「不適切な発言だった」
米軍北部訓練場(沖縄県東村、国頭村)の約半分の返還に伴うヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事を巡り、現場の警備に大阪府警から派遣されている2人の20代の男性機動隊員が、工事への反対活動をしていた人たちに「どこつかんどるんじゃ、ぼけ、土人が」などと差別的な暴言を吐いていたことが分かった。沖縄県警が19日に「不適切な発言で、極めて遺憾」と事実関係を認めた。同県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は強い不快感を示している。県警によると、18日午前9時45分ごろ、東村高江の工事現場付近で、市民ら数人が侵入防止のためのフェンスをつかむなどして抗議していたのに対し、機動隊員の1人が「どこつかんどるんじゃ、ぼけ、土人が」「触るな」と発言した。また同日午前9時半ごろ、工事現場付近で抗議する人たちから「目が血走っているぞ、交代しろ」などと言われた別の機動隊員が「黙れ、こら、シナ人」と発言した。暴言が出た当時の様子が動画投稿サイト「ユーチューブ」にアップされ、沖縄などで批判が高まり、県警が調べを進めていた。翁長知事は19日、県庁で記者団の取材に応じ、「(土人は)未開の地域住民を侮蔑する意味を含んだ言葉で、発言は県民としても知事としても言語道断で到底許されず、強い憤りを感じている」と述べた。知事は近く県警本部長に会って機動隊の適切な管理を求める。【佐藤敬一】
現場にいたのが誰かは関係ありません。この「土人が」という言葉は、明らかに反抗する沖縄の人々に向けられており、いやでも「琉球征伐」、「琉球処分」という言葉を思い出してしまいます。1872(明治5)年、明治政府が、警察と軍隊を送り込み、首里城を占領するまで、沖縄は平和な独立国家でした。しかし明治政府は約450 年間続いた琉球国を廃止し、琉球藩として大日本帝国の領土に組み入れたのです。これを「琉球処分」といいます(「琉球征伐」は17世紀の薩摩藩の軍事侵攻)。「征伐」や「処分」とは動物や、劣った相手に対して使う言葉であり、軍国日本が周辺国家をいかに見下していたかを示しています。その考えが、本土から派遣された機動隊にも脈々と受け継がれているのですね。おそらく隊員教育でもこのような言葉が不断に使われているのでしょう。これに対し、沖縄県警本部長など関係者はすぐ謝罪していますが・・・
「報道やり過ぎ」「反対派も過激」大阪府知事 差別擁護に批判 背景に基地集中容認
2016年10月21日 11:03 http://ryukyushimpo.jp/news/entry-379240.html
米軍北部訓練場ヘリパッド建設の抗議現場で、大阪府警から派遣された機動隊員が「シナ人」「土人」などと発言した問題で、大阪府の松井一郎知事は「命令に従って沖縄のために無用な衝突が起こらないように職務を遂行している」などと機動隊員を擁護する見解を示した。ヘイトスピーチに詳しい識者は「行政が差別をしっかりと非難し、二度と繰り返さないようにするべきだ」と指摘した。
松井一郎氏■大阪府知事が言及
【大阪】松井一郎大阪府知事は20日午前、登庁時に報道各社の取材に応じ「表現は悪かったし、反省すべきだと思う」と述べた上で「(発言した)彼自身、命令に従って沖縄のために無用な衝突が起こらないように職務を遂行しているわけで、あまりにも個人を特定されて、大メディアも含めて徹底的にたたく。これやり過ぎでしょう」と述べ、発言した警察官への報道が個人への攻撃になっているとの見解を示した。「土人」と発言した警察官が警察庁や国家公安委員会によって処分されるとも述べた。松井氏の、短文投稿サイト「ツイッター」への投稿を巡っては、日本維新の会県総支部が抗議することを決めたが、松井氏は撤回しない考えを示した。松井氏は北部訓練場周辺の抗議行動に対して「もともと混乱地で、無用な衝突を避けるために、警察官が全国から動員されている。じゃあ、混乱を引き起こしているのはどちらなんですか」と述べた上で「反対派の皆さんもね、その反対行動、あまりにも過激なんじゃないか」と述べ、市民らの抗議行動が過激だとの見解も示した。松井氏は19日夜、短文投稿サイト「ツイッター」で「表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのが分かりました。出張ご苦労様」などと投稿していた。一方、府庁には20日午後5時までに計385件の電話やメールが寄せられ、大半が松井氏への批判だった。
■背景に基地集中容認 ジャーナリスト安田浩一さん
本来なら率先して、機動隊員の差別発言を許されざるものだと意志表示すべき立場の大阪府知事が擁護するような物言いをした。許されることではない。ヘイトスピーチをあおるのは匿名多数の人だけではない。公人の責任が大きい。これは個人の警察官の問題ではない。「琉球処分」以降、日本が連綿と抱えてきた、沖縄に対する蔑視、差別がたまたま一人の警察官の口から出たということだ。差別は地理的問題だけでなく、沖縄を差別してもいいと思っている人たちがいるということだ。基地が沖縄に集中してもかまわない、むしろ沖縄だからいいんだと考える政治、日本社会がある。沖縄の「基地が多過ぎませんか?」という実にシンプルな問い掛けを、わがままだと思う日本社会がある。その意識が発言に結び付いた。国会答弁を聞いていると、今回の発言を「不適切だった」で終わらせようとしていると感じる。不適切かどうかを議論しているのではない。この発言は歴史的経緯や文脈から明確に差別だということだ。行政のやるべきことは、きちんと非難し、二度と繰り返さないようにすることだ。6月施行のヘイトスピーチ対策法は、国や自治体、国民にヘイトスピーチをなくす努力を求める法律で、今回のような特定の発言を罰することはできない。しかし、市民の抗議活動に公務員である警察官が差別的発言をするのは法律以前の問題だ。
・・・松井知事がまだ居残っているとは知りませんでした。もともと見識が疑われる政治屋。戦争バンザイ、米軍大歓迎というところか。立場を考えると彼の言動は国際問題に発展しかねませんが、そういう頭もないのでしょう。もともとヘリパッド建設は住民の大反対を押し切って強行されているもの、第二次大戦で最大の激戦地となった沖縄の住民が反対するのは当然でしょう。それを「混乱地?」「過激」と評するセンスは中学生並み(中学生にも失礼ですね)。それ以前に、本来、住民の安全を守るのが任務のはずの警察官が、米軍を守る任務についていること、その過程で、有権者や土地所有者をののしり、威嚇するのがどれほど異常なことかを知ってほしい。住民には自らの土地と命を守る権利があります。
「土人」「シナ人」発言、2警官を戒告処分