柏市南部クリーンセンター爆発!(これも日立造船)

 これはひどい。柏市は、新聞がこうしてすっぱ抜くまで、10月22日の爆発事故を公表していなかったんですね。

<焼却工場>爆発で焼却停止 放射性物質飛散せず/柏市・千葉
毎日新聞 2013111()730分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131101-00000012-mai-soci
 千葉県柏市南増尾の清掃工場「市南部クリーンセンター(CC)」の焼却灰を運ぶコンベヤー付近で1022日に小規模の爆発があり、市が炉の稼働を停止していることがわかった。何らかの理由で発生したガスに引火したのが原因と見られ、市はプラントメーカーに詳細な原因調査を依頼している。市によると、22日午後5時半ごろ、生ごみの焼却灰を炉から移送するコンベヤー付近で爆発があった。灰の飛散を防ぐのを目的にコンベヤーを囲っている鉄製カバーの長方形のふた数枚(1枚長さ約1.5~約2メートル、幅約1メートル)が、爆風で外れ、作業用歩道に落下した。爆発は2005年の操業以来初めて。放射性物質を含んだ灰の一部が付近で舞い上がったが、建物は密閉されており、外部への飛散はないという。市職員が計測した付近の空間放射線量は、0.10.0¥4マイクロシーベルト。灰に含まれる放射性物質の濃度は、1キロ当たり200ベクレルと推定している。市は「爆発時、数人の職員は中央制御室にいて、爆発のあった場所は無人だった。外部への放射能の影響もない」としている。周辺住民には29日に回覧板で通知しており、1日には住民代表らに原因と対策について説明する。市は「早急に操業を再開したい」としている

 「コンベヤ付近で爆発」「ガス引火が原因と見られる」「放射能の外部への飛散はない」「住民には即知らせず(一週間後に回覧板で通知)」あらら、どこかと全く同じ。違うのは、福島県鮫川村の指定廃棄物焼却炉の爆発では、「灰は外部に出なかった」と言い張っている点だけ。この類似性はなんだ、と柏市のHPを見ましたが、放射線関連情報は大量にあるけど、この件は見当たらず。クリーンセンターのサイトにも、爆発事故があったなんてどこにも書いてない・・・なんだこの情報隠しは。http://www.city.kashiwa.lg.jp/soshiki/080600/index.html

 で、調べたら、南部CCの炉は、何と鮫川村の焼却炉と同じく日立造船製でした。なるほどねえ、連続2回の爆発はマズすぎるから、何とか隠そうとするのは理解できる。
同社のHPには件の炉は、2005年竣工、以後2025年までの20年間使用予定、などとあります。http://www.hitachizosen.co.jp/news/2005/04/000396.html

 
柏市第二清掃工場の完成について ~完成後は20年間の運営事業を実施~
2005年04月12日 日造・前田・椎名・小倉特定建設工事共同企業体は、このたび千葉県柏市(本多 晃 市長)向け柏市第二清掃工場を完成しました。本施設は、高度な公害防止、安全性及び機能性を考慮し、合理的、経済的な施設であり、また発電設備を有するエネルギー効率を高めたごみ処理システムとなっています。本施設の竣工後は、Hitz日立造船の100%出資会社である柏環境テクノロジー㈱が、平成37年3月末までの20年間、同清掃工場の運転、維持管理、補修・更新および付帯業務等の各業務を受託、実施します。

施 設 規 模
ごみ焼却設備-125t×2炉(250t/日)
灰溶融炉-23t/日(23t/日1炉+交換炉1炉)
処 理 方 式
ごみ焼却設備(全連続燃焼式ストーカ炉)   灰溶融炉(電気式灰溶融炉)
工 期
平成13年12月25日から17年3月15日まで

 問題は、運転管理も日立子会社の柏環境テクノロジーが請け負っていること。これはごみ処理がほぼ民営化されているということだから(収集は市でしょうが)、市に情報を流さなくても、公表させなくても不思議じゃありません。
 柏のこの焼却炉は、実はいわくつきなのです。
 焼却灰から7万ベクレルの放射性物質が検出され、大騒ぎになったのは2011年7月のこと。

放射性物質:焼却灰から7万ベクレル超を検出 千葉・柏http://mainichi.jp/select/science/news/20110711k0000m040035000c.html
◇可燃ゴミ、2カ月後受け入れ中止も
 千葉県柏市は10日、市内の清掃工場で発生した焼却灰から、1キログラム当たり7万ベクレルを超える放射性セシウムを検出したことを明らかにした。東京電力福島第1原発事故の影響とみられ、焼却灰の埋め立てを6月末から中止している。現状では、約2カ月で灰の保管スペースがなくなり、一般家庭などからの可燃ごみの受け入れが不可能になると予想される。(中略)同市によると、公園や一般家庭の庭などで放射線量を下げる目的で、草刈りや樹木の枝・葉の剪定を実施し、可燃ごみとして清掃工場へ持ち込まれたため、数値が上がった可能性があると。2カ所の清掃工場のうち、6月下旬から7月上旬まで3回の検査の最大値は南部クリーンセンターで同7万800ベクレル、北部クリーンセンターで同9780ベクレル。両センターの焼却灰の最終処分場で同4万8900ベクレルだった。同市は1日平均280トンの可燃ごみを2清掃工場で受け入れ、同21.3トンの焼却灰を最終処分場に埋め立てている。【早川健人】

 高線量は草や樹木だけではなかったはずですが、とにかく焼却神話が根強い日本。「燃やせばなんとかなる」と、どんどん焼却した結果、灰の放射能濃度が大幅にアップし、南部クリーンセンターは、同年10月には放射能汚染による焼却炉運転休止に追い込まれています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111001-00000009-mai-soci

 その後もごみは北部焼却炉で燃やされていたようですが、その理由は「施設が古く、同量のごみを焼いても、焼却灰の量は多いが、汚染濃度は埋め立て可能なレベル以下のため」。つまり、放射能の総量はちっとも変わっていないのですが、単位あたりの「濃度」の違いを以って「下がった=埋立可能」としたのですね。
 この後、出てきたのが、行き場のなくなった高濃度焼却灰を一時保管するための場所探しの問題。結局、環境省と森田千葉県知事が手を組んで、手賀沼に保管場所を作ることになったのですが、その説明会における、住民の怒りの発言はこちら↓http://ameblo.jp/abiko-mamorukai/entry-11281435258.html

 
 南部クリーンセンターは、その後、2012年8月に運転を再開していますが、この時も住民周知なし。そして、2012年12月、住民が反対のピケを張るなか、手賀沼に指定廃棄物の搬入が開始され・・・てな風に、千葉の焼却灰問題は今なお継続中。環境省は、千葉での手ごわい反抗に手を焼き、鮫川では最初から「騙し」で行くことにしたのかも知れませんが、福島県人の怒りはどこより強いんだからね。
 どうすれば、って? 焼却を一時停止し、排ガスによる拡散(大気汚染)と焼却灰への濃縮(土壌・地下水汚染)を止めるしかないでしょう。徹底したごみ減量を打ち出さんかい。
2013.11.03
除染」努力が、実は焼却による放射性物質の広域拡散を招いているのに

ず、

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/