放射能木くずが堆肥化されていた件

   各地で騒ぎとなった「放射能木くず」問題。滋賀県知事が決して行き先を言わなかったのも、このような「再利用の実態」を知られたくなかったからかもしれません。行き先を知れば、問題はさらに大きくなった(=事実を知る人が増えた)でしょうしね。下は東京新聞書き起こしの一部。原文は検索するとすぐ出てきます。

放射能汚染木くず 千葉で堆肥化 東京新聞 6/1

 滋賀県の琵琶湖畔に放射能汚染木くずが不法投棄された事件で、木くずの一部が千葉県市原市の造園会社で堆肥化され、放射能濃度を測定することなく外部に搬出されていたことが分かった。福島原発事故で汚染された木くずの処理は野放し状態だ。
 (中略)
「汚染されているとは知らずに、場所を貸して堆肥にした。宮崎県などの木くずという話だった。迷惑している」 市原市の造園会社の担当者は、困惑した表情でそう打ち明けた。問題の木くずは現在、どこにあるのか。この担当者は「木くずは昨年3月ごろ、千葉県木更津市の土木業者から運び込まれ、50トン近くを培養して堆肥にした。土木業者が数カ月後に搬出し、どこにあるか分からない」と説明する。だが、土木業者は「横浜市の団体役員から堆肥化を依頼された。搬出先は知らない」という。
 団体役員は、滋賀の不法投棄事件への関与が疑われている人物だ。団体役員は本紙の取材に「造園会社でほかの堆肥と混ぜられて使われたはずだ」と主張した。真相はやぶの中だ。確かなのは、汚染木くずからつくった堆肥の放射能濃度が全く分からないことだ。堆肥として使用できる国の基準は1キロ当たり400ベクレル以下。滋賀の汚染木くずから同最大3900ベクレルが検出されたことを考えれば、基準値を上回る堆肥がばらまかれた可能性は否定できない。(後略)

 そりゃもちろんですよ。政府が「8000Bq/kg以下は安全」と言ってるんだから、滋賀の汚染チップ3900のどこが悪い?というのが業者の受け止め方。堆肥の基準だってーー何の根拠もないけれどーーいったん政府が「400Bq/kg」と決めれば、その数値が一人歩きするものなのです。つまり、「混ぜれば(=濃度を下げれば)、安全」って。首都圏の汚染焼却灰も、この論理で埋め立てられている。

 これは堆肥の使用者も同じでしょうね。流通している以上、安全、と、フクイチ前と同じような感覚で使い続け、その結果、作物の放射能汚染があきらかになると、「だって、知らなかったんだも~ん」。汚染された堆肥を使うということは、原発事故を甘受する=事故など起きなかった=ことになるのだ、ということがわからない。これがJAPAN。

 ・・・沖縄侵略(琉球征伐)も、韓国侵略(朝鮮征伐)も、台湾侵略(台湾征伐ー尖閣諸島問題からむ)も、中国侵略(満州国設立・・・)も「なかったふり」で今に至っているのだから、来ているから、この反応は当然といえば当然です。でも、日本の、このような「ウソが通る社会」が、地球環境を危機に陥れているわけだから、これ以上、ウソを放置するわけにはゆかないでしょう。自分の身近なところから、異議申し立てするくせをつけないと、今の政治家・公務員の「退行状態」はさらにひどくなる。2014.6.2

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/