巨大なごみの山崩壊、115人死亡(エチオピア)

 「ごみ問題」関連で、エチオピアから痛ましいニュースが入っています。

エチオピア ごみ山崩れ 食べ物探していた人など46人死亡 | NHKニュース

www3.nhk.or.jp/news/html/20170313/k10010908961000.html

アフリカ東部のエチオピアにある、ごみ集積場で、巨大なごみの山が崩れ、食べ物などを探していた女性や、子どもなど少なくとも46が死亡しました。エチオピアの首都アディスアベバの郊外にあるごみ集積場で11日、巨大なごみの山の一部が崩れました。
地元のメディアなどによりますと、この事故で少なくとも46人の死亡が確認されたほか、近くの家などが押しつぶされ、多くの人の行方がわからなくなっているということです。犠牲になった人の多くは、ごみ集積場で食べ物のほか、鉄くずなど換金できるものを探していた貧しい女性や、子どもだったということです。この集積場にはアディスアベバに住む、およそ300万人分のごみが集められていて、ごみを拾って生活の糧にしてる人たちが毎日500人ほど通ってきているということです。エチオピアはアフリカの中でも高い経済成長を続けていますが、慢性的な食糧不足も続いていて、1人当たりの国民総所得はおよそ7万円と、最貧国の水準にとどまっています。

 

写真を見るとわかるように、ごみで生計を立てている人々(スカベンジャー)のかなりの部分は、巨大なごみの山の上に掘っ立て小屋を建てて住んでいました。その山が崩れたとなると、当然、家にいた女性・子どもが犠牲になることでしょう。

 最初、GAIAから入った情報では、死者は30名ほどでした。それが時間を経るにつえ増え、3月16日時点では115人に達し、さらに増えると報道されています。ちょっと驚いたのは、海外の大手メディアが一斉にこの問題を取り上げていること(日本以外)・・・これは、他に何か国際的政治課題がありそうだ、と思っていたら、下の記事が。

 

エチオピアのごみ山崩落、死者113人に

2017年03月16日 12:57 http://www.afpbb.com/articles/-/3121595

アディスアベバ/エチオピア【3月16日 AFP】エチオピアの首都アディスアベバ(Addis Ababa)郊外でごみ集積場の巨大なごみの山が崩れた事故で、市当局は15日、死者数が113人になったと発表した。11日に起きた事故では、アディスアベバ郊外にあるエチオピア最大のごみ集積場で最も大きなごみの山の一部が崩壊し、不法住民の家屋が押しつぶされた。政府広報室のネゲリ・レンチョ(Negeri Lencho)室長によると、犠牲者の多くは女性。現在も捜索活動が続けられているという。このごみ集積場には、拾ったごみを売って生計を立てる人々が数百人集まって暮らしていた。ごみ山の上ではブルドーザーを使ってバイオガス工場の建設が進められていたことから、AFPの取材に応じた住民らは、この工事が崩落の原因だと主張している。レンチョ室長は、今回の悲惨な事故について調査を行っていると述べた。同氏は先に、不法住民の不注意が事故原因の可能性があると発言していた。(c)AFP 

 

 発展途上国では、最貧困層は常に廃棄物集積所近くに住み着くものですが、彼らはごみの山から有価物を分別、掘り出し、それを売って生活費にあてるという、最下層のリサイクラーで、そうは見えないけれど環境保護に一役も二役もかっている人々。政府もその存在を黙認してきたはずなのに、事故が起きたとたん「不法住民」?

 この発言を引用した上のPressTVは、さらに、政府は昨2016年、このコーシュごみ捨て場を閉鎖し、他地域に移転させようとしたが、移転予定地の住民の大反対で計画がつぶれてしまっていた、と伝えています。その移転計画とバイオガス工場建設計画の関連性はよくわかりませんが、バイオガスなんて発展途上国が思いつく計画ではないし、ましてや建設能力などあるはずない。・・・おそらく先進国の「ごみ屋」がかかわっているんじゃないか。で、調べてみたら、すぐ出てきました。

 

コーシュごみ処分場に50MWのごみ発電施設建設中

VIDEO: 50MW Waste to Energy Plant Part of Sustainable …

09.03.2017 11:58 エチオピア電力(Ethiopian Electric Power Corporation (EEPCo) )とイギリスのケンブリッジ・インダストリー(Cambridge Industries)は、アジスアベバに50MWのコーシュごみ発電施設を建設中だ。この施設(契約額1億2000万ドル)は、アフリカで初めてのもので、年間35万トンのごみを処理する予定で、完成すれば首都の30%の家庭に電力を送ることが見込まれている。エチオピア電力は施設に供給するごみを確保するため、アジスアベバ市と協働していると伝えられている。

 世銀によれば、ここ数年、エチオピアはすさまじい経済発展を遂げており、2004から2014年までのGDPは平均10.9%も上昇し、2000年の最貧国第二位の地位から、2025年には中程度の収入の国家になるとしている。収入増加と共にごみの増加と都市化が進むだろう。ガーディアン(英誌)のリポートによれば、ごみ発電プロジェクトは、2030年までにCO2の排出を2010年レベルより引き下げるという、エチオピアの「気候変動グリーン経済計画(climate resilient green economy ,CRGE)の一部に過ぎない。(エチオピアの)環境・森林大臣は、「こうすることによって、我々の発展は持続可能であることが確かめられる。その他にも、グローバルな利益に対し、積極的に貢献してゆきたい」と述べたと伝えられる…

(以下略。要約山本。見出しは勝手につけたのでご注意)。

 事故のわずか二日前の記事。動画はとっくに削除、バイオガスではなく、もろごみ焼却炉計画。イギリス資本、現地電力会社と共謀…建設場所は不明ですが、常識的にはごみ山の上になぞ建設しない。でも、写真を見るとかなり高台にあるようだし、現地の建設会社を使っているとしたら・・・・う~ん。

 それりょりも、焼却炉が当たり前の日本と違って、海外では焼却炉は、大気汚染、土壌汚染をもたらす最悪のダーティな施設として拒否される施設です。ましてや発展途上国となると、スカベンジャーの収入の道を閉ざすため、反対はさらに大きい。従って、記事には書いてありませんが、この計画を推進するために、エチオピア政府は相当な強行策をとってきたはず。11日に起きた山崩れが13日になってようやく報道されるなど、強い情報統制があると感じています。とりあえず今日はここまで。2017.3.17

 

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/