NHK大津放送局(滋賀県) から久しぶりに「木くず」のニュース。この件、本ブログでも何度かとりあげましたが(滋賀湖畔の汚染木くずが河口湖畔に捨てられていた …2014年3月15日、放射能木くずが堆肥化されていた件 | WONDERFUL WORLD 2014年6月2日)、そこから浮かび上がってくるのは、原発業界を守るために、官民総がかりで汚染拡散とその情報隠しを実行しているということです。(記事は一部編集あり、強調山本)
汚染木くずは前橋市に搬出判明
2015年(平成27年)9月16日 http://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/2065004131.html
高島市の河川敷に原発事故の放射性物質を含む大量の木くずが不法投棄された事件で、滋賀県は高島市から撤去された木くずが、前橋市にある産業廃棄物の処理施設に搬出されたことを示す文書を初めて公開しました。
高島市の河川敷におととし、原発事故で放出された放射性物質を含む大量の木くずを不法投棄したとして東京のコンサルタント会社社長が去年、廃棄物処理法違反の罪で、執行猶予のついた有罪判決を受けました。木くずは高島市からこの社長が撤去しましたが、その後の搬出先の自治体名は裁判で明らかにならず、滋賀県も伏せてきました。これについて市民団体の男性が情報公開を請求し、先月、県の審査会が公開すべきと答申したことを受け滋賀県の三日月知事は、搬出先が前橋市の産業廃棄物処理施設であると示す文書を初めて公開しました。ただし県は木くずは施設で処理されたあと、北関東の企業の敷地に運び込まれその後の行方は確認していないとしています。市民団体の池田進代表は、「搬出先を隠し通してきた滋賀県の責任は重い。これをきっかけに事件に関係して木くずがどこに拡散したか、全容が明らかになることを望む」と話しています。一方、滋賀県は、「風評被害につながるとして公開しなかった判断は正しかった」と話しています。検察庁は裁判の中で「木くずは北関東や九州でのざらしになっている」と、事件に関係して木くずが各地に拡散したことを指摘しました。
別の市民団体の男性が捜査資料の開示を求め、ことし7月、大津地方裁判所が開示を命じたため、検察が最高裁判所に特別抗告しています。
09月16日 21時07分
以下、事件の簡単な時系列です(間違いがあれば訂正するので教えてね)。
●2013年3月、滋賀県高島市の鴨川河口に約310tの放射性木くずが不法投棄されていることが発見された。京都市民環境研究所が測定したところ、線量は1万2000Bq/kg(滋賀県の発表では3900Bq/kg)、
空間線量は毎時0.9マイクロシーベルト。
●滋賀県は木くずを何ヶ月も放置したあげく、業者と密約を交わして撤去させた。撤去にからんで、TV局などが大追跡調査を開始、一時期、大問題になった
●2014年1月30日、「滋賀県放射能チップを告発する会」は、いやがる県に代わって関係者を廃棄物処理法と河川法違反の疑いで大津地検に刑事告発。
●これを受けた検察は、木くずは撤去されていたにも関わらず、異例の起訴に持ち込んだ。(市民側記者会見:https://www.youtube.com/watch?v=wsnzmX6IRyY)
●2014年12月2日判決。東京のコンサル社長の有罪確定。執行猶予3年、罰金100万円http://www.47news.jp/CN/201412/CN2014120201001489.html
●それでも滋賀県は業者名等を公表しようとしなかった(犯罪者保護の原則?)
●そこで市民は滋賀県情報公開審査会(会長・毛利透京都大法学研究科教授)に不服審査請求したが、答申(8月17日)はやっぱり県寄り。
…なんと、搬出先の処理業者名と所在地は非公開、産廃処分業許可証と施設設置許可証に記された許可自治体名と印影も「処分業者が特定されるとまでは言えない」ので部分公開(搬出先自治体名の公開答申 汚染木くず問題で滋賀 … – 京都新聞2015年8月17日)との答申でした。冗談じゃない。市民はまさにその「処分業者を特定」し「全容を解明」しようとしているのに、そこに平気で水をかけるとは。委員は全員クビにしないと。
●今回の開示は、この答申後、かっきり30日後に出されたもの。知事の「非公開とした判断は正しかった」という言葉は、今後も汚染廃棄物の処理については公開するつもりはないということを意味しています。
●もっとも奇妙なのは、公開されたにも関わらず、メディアが企業名を報じないこと
●また検察に対する捜査報告書などの資料開示請求では、裁判所が開示を命じたにもかかわらず、大津地検は徹底抗戦。
木くず問題で検察が特別抗告
2015年7月13日 http://shiminken.blog50.fc2.com/blog-entry-88.html
おととし、高島市の鴨川の河川敷に、東京電力福島第一原発の事故で放出された放射性物質を含む大量の木くずが不法投棄された事件では、去年、東京のコンサルタント会社の社長が、廃棄物処理法違反の罪で、執行猶予のついた有罪判決を受けました。裁判の中で、検察は木くずが運ばれた都道府県や市町村名を明らかにしなかったため、事件を告発した市民団体の男性が詳しい捜査資料を開示するよう求めました。大津地方裁判所は今月6日、「日本各地に木くずを投棄したことは、裁判でも問題とされた。どこの自治体に投棄したか、閲覧を認める必要性は相当程度、高い」と指摘し、検察に木くずが運ばれた都道府県や市町村名を開示するよう命じる決定を出しました。これについて、大津地方検察庁は、13日、決定を不服として最高裁判所に特別抗告しました。検察は特別抗告の理由について明らかにせず、「上級庁と協議の上で、決定した」としています。申し立てをした市民団体の石田紀郎代表は、「私たちは、先日の大津地方裁判所の決定を越えるものはないと考えている。大津地方検察庁の判断には憤りを感じるし、受け入れることはできない」と話しています。
最高裁=自民保守本流だから、大津地検の言い分が通るのでは? そうなると、日本の三権分立は「形式」でしかないことを証明するわけですけどね。
なぜこうなるか。日本の法制度が行政の「無謬主義」を基本にしているのがそもそも間違い。その証拠には、フクイチ事故でも誰ひとり責任を取っていない。本来なら、全社会総がかりで「放射能汚染」に立ち向かわなければならないのに、政府は市民の関心が「安保法制」に向かっている間に、こそこそ全土汚染策を実施しているわけです。「汚染問題」は、常に企業のアキレス腱でした。「汚染廃棄物」にかかわる情報が、行政機関総がかりで隠蔽されるのは、「公害の時代」からずっと続いてきたことです。私たちはそのことを忘れてしまっている。2015.9.17
PS関連記事にこういう↓ものがありました。いずれもコワイ~