この記事、アップを忘れていました・・・大阪市で試験焼却当日の11月29日、30日に明らかになったPM2.5の上昇は「中国大陸の黄砂のせい」「船舶や車の排ガスのせい」などの情報が流れているとのことですが、これは間違い。
・まず、黄砂=PM2.5ではありません。PM2.5は燃焼など産業活動に伴う人工の産物なのです。(詳しくは拙著『ごみを燃やす社会』を読んでね)。
・黄砂=PM2.5説は、日本の産業界、環境省が汚染責任を中国になすりつけるためのデマ。黄砂にも石炭燃焼由来などのPM2.5(中国の暖房の多くは石炭)が含まれており、それはPM2.5を分析すればすぐわかるのですが、日本はそれをやりません。
・それに、黄砂=PM2.5なら、大陸に近い九州・山陰地方のPM2.5が上昇するはずですが、当日の地図では山陰の測定値はすべて基準値内のブルー/グリーン。上昇が見られるのは大阪市など大都市圏です。第一、冬は黄砂の季節ではないしね。
問題は、上昇したのはPM2.5の値だけではないということ。測定表を見ると、さまざまな有害物質が、がれき焼却開始と共に一斉に数値を上げているのがわかります。下は焼却炉がある此花区役所測定局(27104010 此花区春日出北1-8-4)の、2012年11月24日~2012年12月1日の表です。
PM2.5 此花区
非メタン化水素 此花区
一酸化窒素 此花区
その他、NO2もSO2(二酸化イオウ)もNO2(二酸化窒素)も一斉に上がっています。他地域の傾向もほぼ同じ。これらの物質の有害性について、環境省の説明は以下の通り(↓を元に編集)。
http://soramame.taiki.go.jp/index/setsumei/koumoku.html#kijun
二酸化硫黄(SO2) | 1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ1時間値が0.1ppm以下であること。(48.5.16告示) | 四日市喘息などのいわゆる公害病の原因物質であるほか森林や湖沼などに影響を与える酸性雨の原因物質ともなる。 |
一酸化炭素(CO) | 1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること。(48.5.8告示) | 血液中のヘモグロビンと結合して、酸素を運搬する機能を阻害するなど影響を及ぼすほか、温室効果ガスである大気中のメタンの寿命を長くすることが知られている。 |
浮遊粒子状物質(SPM) 粒径10μm以下の大気中の粒子状物質 | 1時間値の1日平均値が0.10mg/m3以下でありかつ1時間値が0.20mg/m3以下であること(48.5.8告示) | 大気中に長時間滞留し、肺や気管などに沈着して呼吸器に影響を及ぼす。 |
二酸化窒素(NO2) | 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であること(53.7.11告示) | 呼吸器に影響を及ぼすほか、酸性雨及び光化学オキシダントの原因物質となる。 |
光化学オキシダント(OX) | 1時間値が0.06ppm以下であること。(48.5.8告示)(オゾン、パーオキシアセチルナイトレートその他の光化学反応により生成される酸化性物質) | いわゆる光化学スモッグの原因となり、粘膜への刺激、呼吸器への影響を及ぼすほか、農作物など植物への影響も観察されている。 |
微小粒子状物質 | 1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。(H21.9.9告示) | 疫学、毒性学の数多くの科学的知見から、呼吸器疾患、循環器疾患,肺がんの疾患に関し,総体として人々の健康に一定の影響を与えていることが示されている。 |
すべてが、呼吸によって体内に取り込まれ、組織を傷つける毒物だということがわかります。そらまめ君の地図の色別表示は、まさにこの濃度(危険度)を視覚的に表したもので、黄色以上は基準値越えを示し、赤はもろ「危険!」なのです。
この環境基準値は、住居地域を対象に設定されたもので(小学校や役所が測定場所になっているのはそのため)、工場や焼却炉がある工業専用地帯などは基準なし・・・どれだけ排出してもOK,大気中で薄まるから、という考えから出ているのでしょうね。そらまめ君が真っ赤になったのは、試験焼却で何かがおきたことを、強く示唆しています。大阪の方たちは、データを集め、分析し、すぐに関係省庁と交渉を始めるべきでしょう。100トンの試験焼却は、十分その危険性を告げているのだから。2012.12.4