赤痢が発生した、それも集団発生が疑われたというのに、市と幼稚園はいっしょになってこれを隠していたというニュースが入ってきました。・・・また北九州市です。
<赤痢>園児ら8人感染 北九州市、保護者に伝えず 集団感染の疑いも/福岡
毎日新聞2014年10月25日(土)15:13 http://news.goo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20141025ddlk40040425000c.html
北九州市は24日、八幡東、戸畑、小倉北の3区で1~41歳の男女8人が赤痢菌に感染したと発表した。いずれも快方に向かっている。同じ幼稚園に通う幼児3人と保護者1人がいたが、市と園は感染の事実を保護者に伝えていなかった。集団感染の疑いもある。市は25日に説明会を開き、園児、職員140人以上を対象に感染検査を実施する方針。
市保健医療課によると、八幡東区の幼稚園の男児(6)が9日、下痢や血便などの症状を訴え14日から入院した。検査の結果、16日に赤痢菌の感染が確認された。市と園は17日、話し合いの上で、混乱を防ぐため保護者に事実を伝えなかった。その後、女児(4)とその父親(32)、同級生の男児(4)からも赤痢菌が検出されたことが判明したため、公表した。市保健医療課は「最初の男児で確認されたときに園児を対象に検査するなどきちんと対応すれば、感染拡大を防げたかもしれない。今後改善策を検討する」と話している。市の赤痢菌の発生届け出は昨年、一昨年ともに0件だった。【宍戸護】北九州版
記事には書かれていませんが、はたして赤痢感染を診断した病院が、それを保険所に「報告」したかどうか微妙です。(細菌性)赤痢は、コレラ、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフスと並んで「3類感染症」に指定されており(感染症法)、診断した医師は、これを保健所に「ただちに報告」しなければなりません(感染症法12条、報告は県→厚労省へ)。感染のさらなる拡大を防ぐため、速やかに関係者に周知する必要があるからです。(念のため厚労省のサイトhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.htmlで確認したら「医師へのお願い」だって。でも、報告は任意ではなく義務です。「お願い」というのは医師会との従属関係を表しているようで、不快です。)
それを、あろうことか保健所(市)と幼稚園が共謀して「黙っていようね…」とは悪質。赤痢のような昔から知られている伝染病は、まず広く事実を伝え、感染者を「隔離」、そして「衛生に注意」するだけで拡大を押さえ込めるものです。幼稚園は風評被害を避けたかったのかもしれませんが、市が「事実を伝えなかった」というのは、れっきとした違法行為(感染症法違反)です。そのために被害が拡大したとしたら、感染者から治療費や慰謝料を請求され、支払い義務が生じることもあるのです。
それより不気味なのが、県と厚労省がこの件で沈黙していたことで、どこぞのメーカーの意を受けて、「赤痢治療薬」の治験の場を求めているのかと思いたくなります。考えすぎ? いやいや、製剤メーカーというのは、それくらいのことはやるし、今の厚労省は医薬業界に支配されているから、十分ありえるのです。しかも、今は赤痢菌がほとんどの治療薬に耐性をもってきており、メーカーはおそらく新薬の開発にしのぎを削っているはずなので。
2000 年に指定感染症医療機関で分離されたShigella の薬剤感受性試験成績によると、国内例、輸入例とも84%以上がST 合剤、およびテトラサイクリン(TC)に耐性であった。ホスホマイシン(FOM)耐性株は国内例、輸入例ともに検出されており(表1)、今後増加することが危惧される。http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ka/cjd/392-encyclopedia/406-dysentery-intro.html
ま、北九州市らしいニュースですね。同市はこれまでも、「がれき」「エコタウン」「PCB処理延長」、「JESCO(指定廃棄物受け入れの可能性)」で、情報隠蔽をはかってきたという実績があるから、企業や省庁とタッグを組んで、市民を害することをやりかねない。私たちは、福島の子供たちの甲状腺がんとフクイチ事故の関係さえ認めていない国で生きています。そんな悪しき「国策」に反対して住民を守るのが市町村なんですが、市民が行動しないとやられっぱなし。ほんと、象徴的な事件です。2014.10.26