8月30日、アメリカの連邦検察官が、テレビカメラの前で「ワクチンで自閉症になる」と発言し、大きな波紋を広げています。
動画はわずか21秒。合衆国国旗が飾られた執務室で、彼はこう述べています。
「私はニコ・ラフッド。テキサス州サンアントニオ市の刑事事件の州検察官です。今日ここで皆さんにお伝えしたいのは、ワクチンは自閉症を起こせるし、(現に)起こしているということです」
動画を配信したのは、ワクチンと自閉症の関係を追った映画『VAXXED』チームによる「自閉症メディアチャンネル」。そこに登場している人々は、すべて家族や親族の「ワクチン障害」を訴える人ばかりですが、彼もそうだろうか?・・・で、検索したら、ラフッド氏の幼い息子もまたワクチン傷害を受けていたことがわかりました。以下の出典はここ↓。
(http://www.ksat.com/news/politics/district-attorney-nico-lahood-vaccines-cause-autism)
ラフッド氏の息子は18ヶ月でワクチンを接種したのですが、「彼はそれまでと全く違う人間になった」。
「私の意見(ワクチンで自閉症になる)は、個人的な意見に過ぎない。父親として、夫として、たまたま地方検事の職にあるだけだ。人々はアメリカ憲法修正第1条によって、表現や宗教の自由を保障されている。これはポリティカル・コレクトネス(社会的差別)の問題ではない」
彼はさらに、オバマ大統領もリック・ペリー前テキサス州知事も、子どものワクチンを公然と支持しており、自分もまたそれへの反対意見を述べる権利がある、と述べたとのことです。
「私は自分の意見を押し付けようとしているのではない。単に自分の意見を述べているだけで、その資格があると考える」
「両親が自分たちで決められるようにすべきだ。その前に、自分たちで調べ、何が子どもにとってベストか考えて」
ベア郡(サンアントニオはその州都)裁判所の裁判官(長官?)ネルソン・ウルフ氏は、動画を事前に見て、その公開に賛成し、さらにこう述べています。
「彼はすばらしい父親だ。子どものことをいつも気にかけている。彼の息子は自閉症だ。私には自閉症の姪がいる」
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記事はさらに、市の健康局はワクチン推進の立場を変えていないこと、そして小児科医の言葉を紹介しています。
「小児科医として私たちはワクチンを推進します。病院に来る子どもたちに対し、私たちがやってあげられる中で、ワクチンはもっとも大切なことです」。この医師は、さらに、ワクチンは安全で有効なこと、それを拒否した結果として、「はしかが大流行しました。過去十年、おたふく風邪も大流行しました」と述べたとのこと。
ばかな。アメリカではワクチン拒否者は1パーセントにも満たず、95パーセントの子どもがACIPスケジュールどおりにワクチンを受けているのですよ(受けないと学校に行けない!)。はしかやおたふく罹患者の多くも接種履歴があったこともわかっています(本ブログでも何回も紹介しています)。それに、過去十年、はしかによる死者は米でも日本でもゼロ、それに対し、はしかワクチンによる死者はアメリカでは100人以上。
もっと心痛むことは、アメリカではすでに350万人以上が、自閉症スペクトラム・ディスオーダーと診断されていることです(Buescher et al., 2014)。横浜市の人口(約368万人)とほぼ同じ。しかもこの数年で激増している。このすさまじい数字は、「自閉症は遺伝」説のウソを明らかにしているのですけどね。2016.9.1