国際会議で勝手に戦争協力を約束していいのか?

 現時点で、日本人が真剣に考えるべきは、G7で岸田政権が行った約束には正当性があるのかということですが、人々の関心は、すっかりその後続いた怪しい事件に向けられています。特に、現在進行形の中野市の銃発砲の件(四人死亡)は、世論を政治から引き離すためのマインドコントロールがらみの演出が疑われますが…アメリカも状況は似ていて、市民への銃撃事件がやたら多い。地域社会で「普通の市民」による無差別銃撃事件というショッキングな事件が起これば、人々は「自分の身を守る」ことしか考えず、その裏で国家が何をやっているかなどについて関心を持たなくなってしまうのです。

 従って、岸田政権によるウクライナへ軍事支援や、NATOとの軍事協定という、本来、もっとショッキングなニュースに関心をもつ人はごく少数でしょう。それどころか、一年前の安倍氏「殺人」事件も「過去」の話になっているし、つい最近の自衛隊機墜落事件も、ほぼ報道から消えている・・・今の社会は動きが速く、メディアが隠蔽に加担しているため、「真実」を見極めることが難しくなっていますが、それでも私は、岸田氏が勝手にネオナチ国家(ウクライナ)、およびテロ組織(NATO)と協定を結んだのは違憲であり、取り消すべきだと思います。

 なお、G7の「成果」は、ほぼ前記事の予想通りでした。しかし、①のNATOの東方展開については、岸田氏は「NATOに加盟する気はない」、NATO事務所の開設についても「決まっていない」と発言していますが、これは海外、特にアジア諸国からの批判にこたえたポーズでしょう。事務所開設にゆいては駐米大使が総理の頭越しに動いていたようですが、これはあり得る。外務省北米局はCIA出先機関と言われるくらいだから・・・

NATOの加盟国、準加盟国になる計画はない=岸田首相(ロイター) – Yahoo!ニュース [東京24日ロイター] – 岸田文雄首相は24日の参院本会議で、日本が北大西洋条約機構(NATO)の加盟国・準加盟国になる計画はないと語った。NATOは日本に事務所設置を検討しているが決定したとは承知していない、とも述べた。・・・富田浩司駐米大使は今月9日にワシントン市内で、東京にNATO連絡事務所を開設する方向で動いていると明らかにしていた。

 「ポーズ」というのは、岸田氏はその後すぐ、7月のNATO会議に出席すると発表しているからです。昨年に続いて2回目。世界最大の軍事同盟との「協力強化」を目的にしているということは、NATOの戦争経費を日本が肩代わりするという意味ととるべきで、彼は7月の会議で何らかの協定書あるいは契約書へのサインを迫られるはずです。それがアジア地域の安定を揺るがすことになるのは想像するまでもなく、もともと政治的センスゼロの日本の政治家が、法律で決まってもいない国際会議に参加したり、勝手にいろんな約束をしたりするのはいい加減やめさせなければなりません。

岸田首相 7月のNATO首脳会議に出席する方向で調整 2023年5月24日 21時41分https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230524/k10014077521000.html 岸田総理大臣は、7月にリトアニアで予定されるNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席する方向で調整を進めています。ロシアと中国の連携への対応を念頭に、日本とNATOの協力強化を図りたい考えです。欧米各国などによる世界最大の軍事同盟、NATOのことしの首脳会議は、バルト3国の1つ、リトアニアで7月に開催され、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの支援などについて議論が行われる見通しです。政府関係者によりますと、岸田総理大臣は、このNATOの首脳会議に、パートナー国として出席する方向で調整を進めています。G7議長国として広島サミットを開催したことを踏まえ、ウクライナ情勢をめぐり、日本として今後も積極的に貢献する方針を伝えることにしています。また、ロシアと中国の連携への対応を念頭に、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分だという立場を強調し、日本とNATOの協力強化を図りたい考えです。これまで、NATOの首脳会議に岸田総理大臣は、去年6月、日本の総理として初めて出席し、今回実現すれば2度目となります。

 そして②ウクライナ支援に関しては自衛隊車両100台を贈与することを決め、その発表の三日後には引き渡し式が行われました・・・実際は事前に根回ししていたわけです。武器そのものの贈与ではなくても、これが軍事協力であることは否定できません。日本製の車両は中東の戦闘にもテロリストが大量使用し、戦火を拡大させていると批判されましたが、自公政権は凝りていない。なお、ゼレンスキーとの個別会談で何を約束したのかは不明。

ウクライナへ 陸上自衛隊の車両100台規模提供で引き渡し式 5月24日 17時59分  ウクライナへの支援として、陸上自衛隊が保有するトラックなどが100台規模で提供されることになり、24日、防衛省で引き渡し式が行われました。岸田総理大臣は、今月21日にウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、追加の支援として、自衛隊が保有する10人乗りのトラック「高機動車」や、がれき処理の対応にあたる「資材運搬車」などおよそ100台と、非常食およそ3万食を提供する方針を伝えました。24日は防衛省で引き渡し式が行われ、井野防衛副大臣が提供する資材の目録をウクライナのコルスンスキー駐日大使に手渡しました。(以下略)

 その後、アメリカの債務上限を巡る騒ぎが浮上。米の債務問題は初めてのことではありませんが、今回の騒ぎは、おそらく大統領選を控えての「意見表明」でしょう。つまり、アメリカはこれ以上の軍事支援を続けられないことを暗に示しており、その底には、以後のウクライナ戦の戦費を日本に肩代わりさせようとしているのではないという、当然の疑いが出てきます。岸田政権がこれを拒否しようとしても、もうできない。なぜなら、こういう場合、テロ事件や地震、台風などさまざまな脅しが次々に加えられるからです。…地震や異常気象を起こす「気象兵器」は英米NATOは、すでに通常兵器として多用していますが、来週、襲来が予想されている「非常に強い」台風2号もその一つかもしれません。みなさま、嵐への備えは手抜かりなく。 

 また、G7の成果③として、前記事ではアジアへの戦火拡大の懸念をあげましたが、中国や北朝鮮は、当然ながら、日本のNATO接近に強い警告を発しています。

中国、日本のNATO事務所設置検討に警告 May 25, 2023 01:30 Asia/Tokyo 中国外務省の毛報道官は24日、NATO・北大西洋条約機構が日本に代表事務所の設置を検討していることについて警告しました。ファールス通信によりますと、毛報道官は24日の会見で、「アジア太平洋地域はNATOを歓迎しない」「日本は、過去の侵略の歴史に鑑み、軍事による安全保障に関しては極めて慎重に行動すべきだ」と述べました。今月9日、日本の冨田浩司駐米大使はワシントンで記者会見し、NATOが日本に連絡事務所を開設する方向で検討を進めていると明らかにしました。開設されれば、NATOにとってはアジア初の事務所となります。北朝鮮外務省も以前、NATO代表事務所設置に前向きな日本の姿勢について、「間接的な宣戦布告だ」としました。北朝鮮外務省は、こうした日本の姿勢を、東アジア地域の平和と安定を壊すものとしています。

 「過去の侵略の歴史に鑑み」、などと言われて恥ずかしく思うのは私だけではないはずですが、無恥な右翼は、「侵略」を「進出」と言いかえ、同じ過ちを何度でもくりかえします。…なお、ウクライナはロシアにとって玄関口、そこが他の旧ソ連邦諸国に続いてNATOに加盟し、ロシアを射程にするミサイル網が配備されれば、ロシアは国家としての生存権を脅かされると考えるのは当然です。そしてアジアでは、台湾が中国にとってのウクライナ。日本のNATO接近は、「アジアでの戦争」を起こしたくてたまらないグローバリスト・アメリカによる、台湾海峡に強い緊張をもたらすシナリオです。その「挑戦」に、中国がどれだけ耐えられるか・・・日本は敗戦から百年も経たないうちに、戦勝国のそそのかされて新たな戦争の火種を作ろうとしているのです。2023.5.27

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/