北九州市、がれき本格焼却前夜

 9月17日、北九州市が西日本初の、がれき本格焼却を始めます。本ブログでも、北九州市の試験焼却でセシウムが行方不明になっていること、子どもたちの鼻血など異常が出ていることなどをお伝えしていますが、がれき焼却派れっきとした公害事件であり、現地の人々は異変に備えた準備が必要です。
 





がれき 北九州市、焼却準備始まる
毎日新聞 2012年09月14日 15時35分(最終更新 09月14日 15時54分)
 北九州市は14日、宮城県石巻市のがれきを焼却する準備作業を始めた。西日本初となる震災がれきの広域処理で、17日から市内のごみ焼却工場3カ所で焼却処理される。がれき約800トンはコンテナ106基に積まれ、専用船で13日、北九州市門司区の太刀浦コンテナターミナルに運び込まれた。14日午前9時半、ごみを保管する同市小倉北区の日明(ひあがり)積み出し基地への搬入がスタート。夕方までにコンテナ20基分約140トンを運び込む予定で、市は基地の敷地境界など5カ所で空間放射線量を測定した。その結果、普段と変わりはなかったという。同基地から約500メートル離れた道路では、警察と市がバリケードを設置。前では、がれき受け入れに反対する市民ら約20人が「放射能ガレキNO!」などと書かれた横断幕を掲げた。
http://mainichi.jp/select/news/20120914k0000e040240000c.html
 それにしても巨大な専用船から降ろされるコンテナを見ていると、改めてがれき広域処理に対する強い違和感を覚えます。私でさえそうだから、地元の人々の憤りはもっと強いはず。
がれき到着に市民ら抗議、北九州 市役所で連日の座り込み09/13 20:56
 西日本初の広域処理のため、宮城県石巻市の震災がれきが専用船で運び込まれた北九州市で13日午後、受け入れに反対する住民ら数十人が、搬入撤回を求め市役所内で抗議活動をした。住民らは午後4時ごろ市役所に入り、市長秘書室やがれき処理の担当課の前で「搬入反対」などと声を上げて抗議、閉庁時間を過ぎても座り込みなどを続けた。福岡県警の小倉北署員や機動隊員らが取り囲むようにして玄関に誘導し、午後6時半ごろ、全員庁舎外に出た。北九州市役所では12日にも市長との面会を求めて数十人が座り込み、職員や小倉北署員の説得を受け約8時間後に退出する騒ぎがあった。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/dogai/403914.html

 市民が汚染事業に反対するのは、権利ではなく、私たちの義務です。子どもや将来世代を守る義務。一方、事業を行なう行政側にも説明するという義務がありますが、彼らはほどんど完全黙秘と言っていい状態。私は8月26日に北九州入りし、翌日、いくつかの部局と行政交渉しましたが、彼らを支配しているのは①会わない、②答えない、③出さない、という鉄の掟でした。例えば、「がれきは安全」なんてパンフを児童に配った教育委員会はガンとして取材を拒否、担当課は公開請求しても文書は存在しないといい続けるありさま。行政が黙秘に走るというのは、普通の自治体じゃなく、すでに産業界の窓口になっていることが多く、行政組織としての北九州市の壊滅は遠くないかも。・・・今年3月初めの時点では、ほとんどの市町村はまだまともだったのにね。
がれき受け入れ86%が難色 放射性物質の拡散懸念
2012/03/04 03:03   【共同通信】
 (写真略)岩手県宮古市のがれき処理現場を視察する全国の自治体担当者ら=2011年11月
 東日本大震災をめぐり共同通信が実施した全国自治体アンケートで、岩手、宮城両県のがれきの受け入れについて、回答した市区町村の33%が「現時点では困難」、53%が「まったく考えていない」とし、全体の86%が難色を示していることが3日分かった。11日で震災1年を迎える中、放射性物質が拡散するとの懸念がくすぶり、広域処理は進んでいない。2014年3月末までに処理を終える政府目標の達成は困難な情勢だ。調査は2月、都道府県と市区町村の計1789自治体を対象に実施。がれき処理関連は、1742市区町村のうち1422市区町村(82%)が回答した結果を集計したhttp://www.47news.jp/CN/201203/CN2012030301001522.html

 これを受けて、産業側の強烈な巻き返しが始まったのですが、その時からすでに北九州はターゲットになっていた。で、今後、以下のようなシナリオがありえるので、反がれき行動に参加されるみなさん、十分注意を。
1 17日の抗議行動では、市民の暴力的な部分をアピールするような仕掛けが組まれている可能性が高い。見知らぬメンバーに注意し、カメラ・音声できちんと記録を。
2 マスコミは「暴力事件」を大々的に報道し、反がれき運動への批判の声を強調するでしょう。
3 一番まともなグループが非難され、やがて「受け入れやむなし」に世論が誘導されてゆく
4 住民団体の一部も、条件付で受け入れに賛成する
 ま、これはよくある社会的コントロールの手法ですが、今の時代、まんまとこういう手に載せられてはいけません。文明の利器を使って、応戦して下さいね。負けるな!北九州市民!
2012.9.16

この記事を書いた人

山本節子

調査報道ジャーナリスト・市民運動家。「ワクチン反対市民の会・代表」。
立命館大学英米文学科卒業。中国南京大学大学院歴史科修士課程卒業。
住民運動をベースに、法令や行政文書を読み込んで、自治体などを取材するという独自のスタイルで、土地開発や環境汚染、焼却場・処分場問題に取り込み、数々の迷惑施設事業を阻止して来た。2011年以降、福島原発汚染がれきの広域処理、再エネ、ワクチン、電磁波などもカバーしているが、昨年からはコロナ問題に全力で取り組み中。市民育成も手掛けている。著書「ごみを燃やす社会」「大量監視社会」等多数。
ブログ「WONDERFUL WORLD」https://wonderful-ww.jp/